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DEPP-HPA③MOSFET版・前編

バイポーラの音にも特色がある気がするんでモスフェットはどうなのよと、
ちなみにモスフェットという読み方に嫌悪感を感じる人もいる様ですが。(爆)






モスモス、あんた誰?







MOSFETで実験する目的は音質のキャラクターを探る事がメインで、
それにプラスして特性を満足して使える品物があるのか?
という点です。

よってMOSFET版というのは実験途中の暫定バージョンな訳です。
回路的にはインバーテッドダーリントン接続を捨てる訳ではありません。
そこの所を留意した状態で実験を行い、判断するものと致します。

MOSFET版の回路は下図みたいな感じですな。
Q1とQ2は選別して同特性のものを探す必要があります。
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*(2017.08.21この一行追記)不等号が・・・(爆) まあ判るんべ。
*当然ですが、絶対最大定格に余裕がなければなりません。
*MOSFETのゲート容量 + 音量ボリューム
 によってLPFを構成しています。
 ゲート容量が大きいと単純にf特の高域が落ちるという事になります。
*そうじゃなくても、
 ゲート容量 = 音質的に疑問のあるコンデンサ
 ゲート容量は極力小さい方が良いと思います。










【使えそうなMOSFETはあるか?】 
いけそうな物をピックアップしました。
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入手性からすると2SK213〜2SK216はNGですな。ディスコンですし。
2SK213〜2SK216はオーディオ界では有名な先生方も使っていますが、
音質の特徴なども知れ渡っており当方は面白くありません。
値段の割に大した事もないですし。(爆)

そういう事で安物のMOSFETを実験しようと思います。
しかし何事にも完璧という奴は無いので気になる所があります。
そして音質が不明です。
それらを確認してみようと思いました。









【2SK4150の選別】
まずはON抵抗がデカ過ぎかも知れない2SK4150です。
これで使えれば他のMOSFETもだいたい使えそうな気がしました。
さて、
DEPP回路に使用するためには選別を行う必要があります。
ある電流を流せるVGS電圧を測定します。具体的な測定回路は省略。(爆)
手取り足取り記載すると欲にまみれたモノが寄ってくるので伏せました。
そのうち何かに記載するかも知れません。(爆)
下図は測定結果です。
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テーピング品は揃っている事が多いですな。
8割が1.08Vでした。
これを基板に組み込んで実験してみます。










【2SK4150の実験基板】
バイポーラの通常ダーリントン版基板から改造しました。
VGS=1.08というのはVBE*2に何となく近い値でバイアス電圧も微調でOKでした。
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【動作確認と測定】
ON抵抗が大きいのでどうかと思いましたがOKみたいですな。
下図は34Ω負荷時の1kHz正弦波で2Vrms近い出力電圧ですが正常な範囲です。
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このまま出力を上げていったのが下図です。
良好ですな。
ON抵抗4.1Ω程度じゃ大きな影響は無さそうです。
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下図は歪率です。
通常のダーリントン接続に近い値と思います。
若干悪いかも知れませんが似たり寄ったりの範囲です。
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という事で、
いけそうという事が判りました。











【MOSFET版の基本回路図】
音質は抜きにして、動くというだけの話の基本回路。
バイアス電圧調整回路は可変範囲を重視した実験用回路です。
音質重視ではありません。
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【MOSFET版 2SK4150の音質】
基本的な音質のキャラクターは同じ傾向です。
今回のDEPPシリーズの特徴なんだと思います。
バイポーラでは届かなかった透明感の部分ですが、少し良くなってますな。
高域が綺麗に伸びて聞こえます。
しかしこのMOSFET版回路のままでは低音が少し弱いです。
やはりインバーテッドダーリントン接続にする必要があります。
更に、
音量が2dBくらい下がってますな。


んー、
次はまた別のMOSFETに変えて確認!
というのが通常ですが、ちょっと気になる所があります。
バイポーラからMOSに変えても耳で聞こえる雑音量が同じなんですよ?
そして似たような音質の癖みたいなものがあります。
これはもしかして、という事で
定電圧電源回路をいじろうと思います。











【12V定電圧電源を変更する】
かんたんにNJM7812を使用してみましたが、
NJM7812は下図の様に高域のインピーダンスが低くありません。
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出力側に1000uFくらいを入れれば高域のインピーダンスも下がりまして、
ほぼフラット近くまでインピーダンスを下げる事は出来ます。
そこで簡単に、下図の様にデカップリングCを設けるのが普通の方法ですな。
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しかしこれじゃ電解コンの音になっちゃうんですよ。
よくあるオーディオの音。(爆)
オラ御免だね。









【オリジナル電源回路】
そこで下図の電源回路を使用する事に致しました。
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*いつもはQ2のC-E間に2700pFを付加し、C1容量も2700pF程度ですな。
 しかし今回は超高音質が目的なのではありませんで、特徴を出したいので、
 C1容量を4.7uFまで大きくしました。4.7uFのキャラクターを活かす訳です。
 それによって発振余裕度が高くなりますのでQ2のC-E間コンデンサは無しです。

リプルリジェクション性能ですが、
シミュレータ上では下図の感じです。
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*アナログアンプ用なので20kHz以下がフラットであれば音質も良好です。
 (デジタル信号を扱う回路には向きません。20kHz以上の特性が足りません。)
*だいたい82dBくらいありますな。

負荷変動に対しては下図になります。
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*R2の80Ωを負荷として信号を印可していますが、
 それに対して64.7dBの抑制というグラフですな。(シミュレーションですが。)
 単純に60dBとすれば1/1000なので、80Ω÷1000=0.08Ω
 このレギュレータ回路の出力インピーダンスは0.08Ω以下程度という話です。
 しかも20kHz以下はフラットです。
*まあ簡単な回路で特性も悪くなく音も良いんじゃないでしょうか。










【定電圧電源基板を作成】
部品の選択も色々あるんでしょうが、2SC2078を採用してみました。
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ちょっと動作確認しましたら、電圧がちょっと足んなかったです。(爆)
それなのでツェナーDを変更しました。
下図。灰色の極小基板に面実装のツェナーDを乗せて置き換えしました。
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【雑音が・・・】
えー、
定電圧電源基板をNJM7812からオリジナル回路の基板に入れ替えまして、
最初にすぐに判ったのは、雑音が消えた事。(爆)
音量VRをミニマムにしてもかすかにサーッと聞こえていましたが、
それが消えました。(爆)
やっぱり78**はダメなんかいね。(爆)

数値で出るか測定しましたら、出ましたよ。
まずは変更前のNJM7812を使った時の雑音@IHF-A
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これに対しオリジナル電源回路にした場合が
下図です。
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ちょっとの差ですが下がってますな。
グラフの方も下がって見えます。
サーッという聴感ですが、2dBどころか、もっと下がった様な感じがします。










【雑音以外の変化】
音質に癖がありましたが取れました。(爆)
伸び伸びした音になりました。

残念だよ78**。(爆)

これで気になっていた課題は全部潰せそうな気がしてきました。
MOSFETの綺麗な高域にはまだ可能性がありますので、
MOSFETの別の品種も確認してみる必要があります。
という事で、
MOSFET版は次回も続きます。













ヤベーなこれは、
お世話になった、なつかしの、紫色っぽい四角いタイル敷き。(爆)
(2017.08.10ご存じ無い方に追記。ある方法で元の写真に戻せるんですよ。)
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機密保持ツールとして現役で使えるかも?(爆)

4文字で表す回路方式。












当方は一切のサポートを致しません。だって古典回路だもん。(爆)
古典回路なので誰でも自由に自己責任の範囲にてご利用可能です。
局部帰還にして独自化した部分も大した方法じゃないのでご利用OKと致します。

しかし当記事の定数や部品のまま使うのではなく、自分で設計して下さい。
解らない所があったら参考書を見れば載ってますよ。
そして皆さんが設計されたものに関して当方は一切関知致しません。
たまたま定数が一緒でもそれは偶然の一致です。当方は無関係。(爆)
面倒な事を持ち込まれる可能性があるので、お墨付き(許可)は付与致しません。



by ca3080 | 2017-08-08 22:00 | オーディオ&電子工作
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