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DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす

インバーテッド、ダーリントンでっすぅ〜。(バカ)





DEPP回路をダーリントン接続で検討してきましたが、
今回みたいなアホ回路の場合には、
インバーテッド・ダーリントンへ変更した方が良好な場合もあります。
経験上そんな感じがありますのでインバーテッドで実験してみました。

回路は下図になりますな。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_07241183.png
*R19とR18を追加しています。
(2017.07.09 混乱するのでR17→R19に変更して表記を統一。すいません。)
 これの効用は以下をちょっと読めば判ると思います。
 まあいいから。(爆)











【差動バランスは大丈夫なのか?】
普通のダーリントン接続で問題になったのは差動バランスを調整する所でした。
それを単純にインバーテッド・ダーリントンへ変更して問題無いんでしょうか?
という事で、
例によって下図の様に、Q6の品種を別のものに変更し、バランスを崩してみました。
(今回はバランスを崩すのも難しい? 近い特性のTrでは崩れない??)
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_07244107.png

過去記事④差動の縛りとTr選定に記載した時と同じように、
差動バランスが崩れた状態になりました。
この状態からトランジスタを変更せずに抵抗の定数変更で調整してみます。

下図の様にR18を 1kΩ→1.5kΩ の変更で調整できました。
簡単過ぎ?
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_07253986.png

ダーリントン後段じゃなくて、前段にバラツキがあったらどうなのよ?
それでも同様に、R19 or R18 を調整すれば簡単に改善されちゃう様です。
あっけないです。(爆)
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_07261925.png

ん〜〜〜?
それじゃ普通のダーリントン接続の時もベース・エミッタ間抵抗を入れれば
問題解決するんじゃ無いの?
アホですか?

いや〜ちょっと、
駄目みたい。(爆)
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_19471179.png
普通のダーリントン接続では駄目なんですよ。
ここの抵抗ではバランス調整できません。
  他のR12、R13を変えちゃうのは低域の時定数も変わっちゃうから嫌ですし。
  音質面から見ると手を入れられる箇所が少ないんですな。

とにかく、
インバーテッド・ダーリントンにしてR19 or R18 を調整すればOK!
めんどくさいので詳細は省略致します。(爆)

これは簡単に実験できますし、シミュレータでも再現できますよ。
質問するほどの物では無いでしょう。
クリップ波形を見ながら調整するだけでOKですよ。
皆さんもご自分の力だけで問題解決致しましょう。












【対称回路じゃ無くなっちゃう!】
R19とR18の抵抗値は同じにすべき! 差動の右と左で対称なんだもん!(バカ)
あーはいはい、
しかし動作上は対称じゃ無いんですよ。
このページの一番上に掲載した回路図には各部の電圧が記載されていますね。
その電圧を見ると左右非対称になってるでしょ?
シミュレーションしても直流的に既に非対称なんですよ。

つまり下図みたいに非対称なのよ。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_19532088.png
だから逆に、R19とR18の抵抗値を揃えていては駄目なんですよ。
ほんとうは最適値に調整すべきなんですよ。

下図みたいに、左右の差動ペアが完全に揃った状態でも、
R19=1kΩ に対して、R18を大き目に調整すると特性改善します。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_19563535.png
クリップ電圧が改善しますな。

それじゃR18を何Ωにすればいいの?
教えて!

んー秘密。(爆)
各自調整願います。
1台だけ作るなら調整すりゃいいじゃない!(爆)

まあ何個か自作すれば判ってくるとは思います。











【インバーテッド版に改造だ!】
てな感じで優位性があるインバーテッド・ダーリントンですが、
電気的特性および音質面ではどうなんでしょうか?
普通のダーリントン版の基板が2枚ありますので、1枚を改造してみようと思います。

下図は改造前の基板です。音質対策を完全には入れ込んでいない基板ですな。
前段のトランジスタもメタルキャンじゃなくて樹脂パッケージです。
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これを下図の様に改造しました。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_20023840.jpg
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バイアスは赤LED2個くらいで丁度良い様です。
後段のトランジスタ(緑)は2SA1358Yです。














【歪特性と周波数特性】
インバーテッド・ダーリントン基板の歪率と周波数特性を測定してみました。
まずは歪率対出力レベル。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_20061086.png
おおっ!
桁がひとつ下がりました!
歪率が1/10に改善しちゃったもんね!(爆)

歪率対周波数は下図になりました。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_20075071.png
これも200Hz以上の高い周波数で顕著な改善がありますな!
低い周波数は出力トランスのST-41Aそのものの歪なので無視してください。

そして周波数特性です。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_20092683.png
おっと周波数特性も改善が見えますな。
0.5Vrms時の低い周波数がよりフラットになっています。

インバーテッド接続に変更しただけで大幅に特性改善しちゃいました。
なんで?
秘密。











【音質は?】
え〜〜弱かった低音が、出る様になりました。
ボケは判らんな。前段のトランジスタが樹脂モールドだし判断がつきませんが、
変化はある様な感じです。
妙なツヤと広がり感は変わらず。

いい方向へ向かっている感じがします。











【インバーテッド・ダーリントン版!】
という事で、
基本回路はこれだ!
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そして当方は、
インバーテッド実験基板を更に高音質化改造するのであった。
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前段のトランジスタですが、
ビンテージのメタルキャンに変更しても歪率は問題無いのか?
そこを確認してみました。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_20184816.png
イケますな。
いい感じです。












【改めて感想コメント】
普通のダーリントン版と比較試聴しました。
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やはり低音が充実しています。
ボケた低音じゃなくて、ブリブリゴリゴリ鳴る低音が出てきました!
そしてボケていた音が締まってきた様な?
妙なツヤと広がり感は相変わらず強いですな。

いや〜アホアホDEPP回路でしたが、
ここにきてウホウホDEPP回路に変身か!(バカ)














【何でインバーテッドにすると改善するのか?】
マグレじゃなくて再現実験が可能です。実際の結果として特性改善になります。
しかし理論的にはどうなのか?
当方には詳しくは判りません。計算式で証明はできません。
しかし、こんな事をシミュレーションしてみました。

下図の様に、
普通のダーリントン(左)と、インバーテッドダーリントン(右)を比較します。
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*V1を徐々に増やしてベース電流を流したときに、
 負荷電流(R3の電流、R1の電流)が、どう増えるのかを見てみました。
*普通のダーリントンはVBE電圧が1.4Vくらいあります。
 インバーテッドダーリントンは0.7Vくらいですな。
 この差を補償するためにV3を設けて適宜設定し、電圧を固定します。
*R6は無くても有っても似たような特性になる様です。
 これはシミュレータを使える人なら確認が可能ですな。

下図の様に、
負荷電流30mA程度に調整してみました。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_20372384.png
*このままV1電圧0.664Vを徐々に可変すれば、
 普通ダーリントンとインバーテッドの差を観察できる事でしょう。

V1を0V〜4Vまで可変した時の、負荷電流が下図になります。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_20400961.png
*縦軸は負荷抵抗1Ωの印加電圧なので、そのまま電流値として読めますな。
 すると縦軸3Aとか4.5Aは大き過ぎですな。
 今回のDEPP-HPAは最大75mA程度で動作しています。
 グラフのスケールを変えて見たほうが良いですな。
*そして何か、小信号領域が怪しい違いが見えていますよ?


実際の電流値に合わせて拡大してみました。
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*今回のDEPP回路で使う電流範囲を見てみますと、
 インバーテッド版の方が鋭く立ち上がり、直線的に見えます。
 普通のダーリントン版はなだらかに曲がってMOSFETに似ていますな。
 普通のダーリントン版は指数関数的な曲がり具合ですな。
*という事は、そのまま
 直線性が良い=低歪
 という事を表しているのではないでしょうか?
 色々な文献とかを当たりましても、
 インバーテッドダーリントンの優位性について記載も少々ありますが、
 こんな感じに具体的に何が生じているのか記載している物は見かけませんなぁ〜。
 当方のこの記事が世界初の記載という保証もありませんが。
*ちなみにですが、ごく普通のSEPP終段にインバーテッドダーリントンを採用して、
 オールオーバーのNFBを掛けますと非常に発振しやすく不安定です。
 そういう使い方には向いておりません。(爆)











【おまけ】
インバーテッド版の後段はコレクタ同士が短絡しても無問題です。
これは実装上も有利になる場合があるかも知れません。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_21151417.png








【次回以降】
低音の弱さは対策できました。
何となくボケている所も改善したかも?
あとは透明感が少し足りない?
癖みたいな所。
「サーッ」という雑音。(爆)
段階を踏んで直していきます。
DEPP-HPA②Inv.Darlington版で御座んす_e0298562_21241341.jpg










当方は一切のサポートを致しません。だって古典回路だもん。(爆)
古典回路なので誰でも自由に自己責任の範囲にてご利用可能です。
局部帰還にして独自化した部分も大した方法じゃないのでご利用OKと致します。

しかし当記事の定数や部品のまま使うのではなく、自分で設計して下さい。
解らない所があったら参考書を見れば載ってますよ。
そして皆さんが設計されたものに関して当方は一切関知致しません。
たまたま定数が一緒でもそれは偶然の一致です。当方は無関係。(爆)
面倒な事を持ち込まれる可能性があるので、お墨付き(許可)は付与致しません。

by ca3080 | 2017-07-07 21:36 | オーディオ&電子工作
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