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DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!

ちょっと性能などをシミュレーションで確認して実用に耐えるのか考えまして、
その後に若干の手を加えましてオリジナル回路に変更してみました。





教科書にも載っている古典的なDEPP-Amp回路でしたが、
入力トランスが気に入らないので削除しまして、周波数特性を改善していったら、
いつの間にか差動回路+NFBになってました。

当方の人生で何度か泣かされた差動+NFB。
勘弁してくだせぇ〜。(爆)









【入手しやすい定数】
現時点の回路は下図の様な構成です。
回路構成とか動作点などの必然性は前回までの検討の結果です。
詳しくは過去記事 DEPP-Amp その① DEPP-Amp その② をご参照。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20015831.png
*ここで変更したいのはR14の56Ωです。
 原始的な回路から変更を重ねていった結果が56Ωだったという話なので、
 許せる範囲内で別の定数に変更します。
*定格の余裕を見ると0.3W以上が必要になり抵抗器の選択範囲が狭まります。
 56Ωじゃなくて、6系列の47Ωなら入手も容易でしょう。

*R14に流れる電流値を重視してR14の印加電圧を2.6Vに下げます。
*それにはバイアス回路D1のツェナー定数と、
 D1に流す電流を決める抵抗R7の定数を変更すればOKでしょう。

ツェナーの選定は下図の感じ。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20153427.png
ツェナーに流す電流は下図の感じですな。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20161623.png
微調整しまして、
下図の変更と致しました。
パワー抵抗の47Ωも入手しやすいでしょう。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20175733.png





定数はこれで良しと致しますが、
古典的な古〜い回路なので性能も悪そう!(爆)
という事で、
次は外部から流入するノイズを除去できるかシミュレーションしてみました。










【GND〜GND間ノイズ】
これは真空管回路だと悲惨な結果になる事が多い様ですが?(爆)
まあ半導体ですし、入力系GNDとパワー系GNDをきっぱり分離して、
同相除去できれば良いでしょう。

こんな感じにSIG-GNDとPW-GNDを分けまして、
その間にノイズを注入して出力電圧を見てみます。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20283541.png
*ここでNFBの抵抗R16をどこのGNDに接続するか?
 差を見てみました。
 下図の感じで2種類を比較しました。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20321770.png
出力に漏れてくるノイズは下図のグラフとなりました。
まあ普通ですな。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20334327.png
*注入したノイズ0dBに対して、出力は何dBか?というグラフです。
 値が小さければ低ノイズ。しかし+9.563dBは増幅しちゃってますな。
*ノイズを増幅したくないのなら、NFBのGNDは入力側にすべし。
 当たり前の結果でした。(爆)











【バイアス回路のノイズ】
これはツェナーのノイズもあるでしょうが、
電源からR7を経由して入ってくるノイズもあるでしょう。
更に、R12とR13同士でクロストークも生じるでしょう。
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シミュレーションでは下図の結果です。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20410354.png
*一応は除去率がありますな。
 悪くても14dBくらいは除去できる様です。
 しかし優れるとは言えない値なので注意は必要な感じがします。













【電源からのノイズ】
同様に電源にノイズを注入して、出力にどう出てくるか?
下図の回路で確認しました。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20440206.png
結果は下図の感じ。
古い回路にしては良い感じです。
これはプッシュプルですから、トランスでノイズも打ち消しあうんでしょう。
プッシュプル回路じゃないシングルドライブの場合は悲惨な結果でしょう。
ハムノイズ出まくりの真空管アンプが多い理由です。(爆)
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*ノイズ漏れ放題ではありませんでした。
 そこそこ注意すれば使える範囲内。(爆)











【発振するかも?】
次にオールオーバーのNFBが持つ欠点の話です。
ここまでお読みになって、100kHz以上の領域に怪しい感じを受けた方も
もしかして居るかも知れませんな。妙なピークがある。

出力の周波数特性と位相を見ますと、現状回路のままでは下図の感じです。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20544315.png
*利得があるのに位相が180度回っちゃったらヤバいですよ。
 アンプを擬人化させまして、その人間の首が180度回るのと似ています。(爆)
 発振はそのくらいヤバい。

*そこで位相補償を施します。
 もっとも効くのは下図の箇所ですが、高域の歪率も若干悪化します。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_20594186.png
その結果が下図ですが、
だいぶ余裕になるとは思います。
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んーしかし、
差動+NFBという事には変わり無し。
どうにか一歩でも抜け出したい!












【ひとひねりでオリジナル化】
差動はしょーがねーとして、せめてオールオーバーのNFBから脱したい!
つまり下図の様に、トランスの出力側からNFBを掛けるんじゃなくて、
トランスの前の所からNFBを掛ければ、
ちょっとは良いんじゃない?
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_21131155.png

この上記の回路ですが、
接続を変えずに、部品の場所を移動したりして書き直しますと、
下図になります。(爆)
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_21172145.png
局部帰還と書き入れたら一気にアホアホ回路な雰囲気ですな。(爆)
こんなアホアホ回路で本当に成立できるんでしょうか?
低域の周波数特性も補正できているんでしょうか?










【局部帰還に変えての、電源からのノイズ】
オールオーバーのNFBを廃止したんだからノイズ除去率も悪化したでしょう。
まあこんな感じでした。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_21225192.png
*ノイズ垂れ流しまでには至っておりません!(爆)
 除去率9dB確保!(爆)
 まあ古典回路だから。

そういう訳で、綺麗な電源を併用しなくてはなりません。
下図の様に定電圧電源回路を必ず設ける必要があります。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_21272166.png
ついでにケミコン無しで行きましょう!











【局部帰還に変えての、発振余裕度】
全く問題はありません。
ダーリントン接続でもほぼ一石と同じ感じで90度くらいの回りの様です。
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無問題。
位相補償不要!











【局部帰還に変えての、利得】
影響あんじゃねーの?
いいや無いです。(爆)
下図はシミュレーションです。前回の記事からあまり変化無し。
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そして下図は、
ブレッドボードで実験しました実測値です。
オシロの波形。
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シミュレーションとほぼ同じでした。












【局部帰還に変えての、周波数特性】
出力トランスST-41Aの歪みによる限界もあるため、
周波数特性は実測値のみを掲載いたします。
下図の様にレベルを下げればフラットと言える範囲の特性でした。
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特に問題が無さそう?
当方も意外でした。











【局部帰還に変えての、歪率特性】
DEPP-Ampの歪率をこのブログで掲載するのは初めてですな。
まあ改良型DEPPで、更に局部帰還ですが。
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*思ったほど悪く無い?
 普通のエミフォロSEPPと同じ程度じゃないですか?
 何かいけそう?

横軸を周波数にした歪率が下図になります。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_21492517.png
*んー低い周波数はトランスの性能ですな。
 しかしトランスは不思議ですな。歪率が非常に悪くても音は悪くない。
 何でかは判りません。



2Vrms近い出力で、周波数を100Hzに下げますと下図になります。
上記掲載の1kHzでは波形もクリップしませんでしたが、100Hzではクリップ気味。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_21543680.png


40Hzまで下げますとこうなります。
これはトランスのST-41Aそのものの特性です。
DEPP-Amp その③小変更でオリジナル化!_e0298562_21555490.png

音楽で40Hzのフルスイングでボリューム最大で聴くという事は無いでしょうし、
問題は生じないのかも知れませんな。












何かちょっと?
もしかして? この回路で実用上でもイケるかも知れませんな。

ただしオールオーバーのNFBを廃したのは良いんですが、
実用上を考えますと差動の問題がまだあるんですよ。
素子のバランスとか、バラツキの話ですな。
その辺を次回に確認してみようと思います。
















トランス結合

略してトラケツ。



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当方は一切のサポートを致しません。だって古典回路だもん。(爆)
古典回路なので誰でも自由に自己責任の範囲にてご利用可能です。
局部帰還にして独自化した部分も大した方法じゃないのでご利用OKと致します。

しかし当記事の定数や部品のまま使うのではなく、自分で設計して下さい。
解らない所があったら参考書を見れば載ってますよ。
そして皆さんが設計されたものに関して当方は一切関知致しません。
たまたま定数が一緒でもそれは偶然の一致です。当方は無関係。(爆)
by ca3080 | 2017-06-09 22:23 | 電子工作(一般)
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