APB-3とリターンロスブリッジで高周波領域のインピーダンスを測定できますが、
低周波に特化した10Hz〜100kHzくらいを測定できるアダプタを作成してみました。 そんな低周波用は検索が甘いのか何なのか、ちょっと見つかりませんな。(爆) 【APB-3でインピーダンス・アナライザ】 まずは普通の話から。 比較的高周波を測定するインピーダンス・アナライザですが、 APB-3のマニュアルに手段が掲載されています。 下図の様に、 リターンロスブリッジを接続すればAPB-3がインピーダンスアナライザに変身。 くわしくはAPB-3のマニュアルをご確認下さい。 リターンロスブリッジですが、下図の様な回路の様ですな。 *原理はブリッジ回路です。R1=R5=R3=50Ωとすると、 回路図のDUT端子に50Ωを接続すればバランスが取れまして、 INPUTから周波数をスイープさせてもOUTPUTには何も出てきません。 何か出てくればDUT端子には50Ωじゃない物が接続されていると言う訳ですな。 *リターンロスを測定する物なのでリターンロスブリッジ。 SWRを測定する用途に特化した物はSWRブリッジ。 今回の物はインピーダンスを測定するのでインピーダンスブリッジと致します。 これは呼び名の話ですな。(爆) *上図の回路では100kHz以下を測定できません。 高周波トランスは低周波まで伸びていませんから不可能なんですな。 【帯域幅を広げたインピーダンスブリッッジ回路】 低周波まで伸ばす対応としましては下図の方法が知られています。 OP-AMPを使った完全バランス回路を使えば目的が達成できると言う訳です。 高周波トランスとは逆に、高い周波数はOP-AMPの高域特性で制限されます。 ところで、この回路には最大の欠点があります。 電源が必要と言う所です。(爆) そしてよく考えてみますと、 10Hzから50MHzまで一度に一気に見る必要はあるんかいな? という所。 やたら帯域が広くったって全部いっぺんには使いませんな。意味無し。 数百KHz〜50MHzは高周波トランスを使ったリターンロスブリッジでOKでしょう。 低周波用のインピーダンス・アナライザという物は、 10Hz〜20kHzくらいのオーディオ帯域をカバーすれば使えるんだんべ? と思ったんで御座います。 【低周波インピーダンス・ブリッジの回路】 電源不要で動くと言うのが課題でしたが、後から考えれば簡単でした。 単純に、低周波トランスを使えば良かったんです。試してみなきゃ判らんですな。 こんな単純な回路でうまく動きましたよ。(爆) *最重要の部品はトランスT1ですな。 当方は昔なつかしモデムの基板をバラして部品を外して使ってみました。(爆) TO-BXF56Kという奴を分解しました。 「TO-BXF56K 基板」で画像検索すれば基板写真が見つかるかも知れません。 まあ恐らくはサンスイのST-71でも問題無く動くとは思いますが。(爆) *次に重要な部品は50Ωの抵抗です。高精度である必要があります。 50Ωは24系列にありませんから100Ωを2パラにしました。 まあ当方はススムRE-35をテスター選別して採用しました。 こんな用途にしか使えない低音質の金皮抵抗です。(爆) 下図は作成例です。低周波なのでシールドも不要でした。 トランスの極性が不明な場合はOUTPUT側のコネクタをプラマイ逆で試します。 銅箔テープでベタGNDにしても意味がありませんでした。(爆) DUT端子はワイア直出しで、ミノムシクリップを付けました。 こんなんでOK。(爆) 【早速使ってみらー】 作成した低周波インピーダンス・ブリッジをAPB-3に接続しまして、 測定する周波数範囲とかRBWを設定します。 次にAPB-3のマニュアルに記載されている様にキャリブレーションします。 DUT端子がオープン状態で「測定」し、結果をチェックします。 次にDUT端子をショートして「測定」し、 ショートキャリブレーションをチェックします。 準備完了しましたので、実際のアキシャル抵抗を測定してみます。 縦軸の設定をしておきます。 *左軸をABSにします。抵抗の絶対値を表示させます。 *右軸をPHAにします。位相を表示させようという訳です。 これでDUT端子に抵抗をはさんで「測定」してみたのが下図です。 *ちゃんと抵抗値が測定できてますな。 *ただし100kHz以上の領域は駄目な様です。 これは使用したトランスの特性でしょう。 サンスイのST-71では違った結果となるでしょう。 *つまり当方の作成したインピーダンス・ブリッジは 10Hz〜100kHz専用という事が判りました。 *けっこう使えそう。 【キャパシタを測定してみんべ】 抵抗の次はコンデンサだな。と思いましたが、 コンデンサのインピーダンスは理論値に近い値となっちゃいまして、 個体差が出てくるのは1Ω以下の非常に低いインピーダンス領域ですな。 APB-3のインピーダンス・アナライザはそういう測定には向いていない様です。 さてそれでは、 スーパーキャパシタならうまく特徴を把握できそうですな。 こんな部品を測定してみました。1個は電解コン。 改めて周波数帯域を10Hz〜100kHzに変更しまして、 キャリブレーションをやり直します。 測定した結果は下図です。 けっこう違いが明瞭に判りますな。いいんじゃない? *見えなかった物が見えてくる! これですよ、世界が広がる感じがします。 作った甲斐がありました。(爆) *電解コンデンサ100uFですが、容量値からインピーダンスが計算できます。 上図の様に20Hzで79,577Ωになるのが理論値ですが、だいたい合ってますな。 (まあ実物のニチコン100uFは90uFくらいしかありません。) こういう左上がりのグラフが測定できない場合は何かが間違っています。 縦軸をABSにしなきゃ駄目ですよ。 *実験の中では最もインピーダンスの低いKAMCAP円筒型ですが、 位相が暴れてますな? これはレベルが小さ過ぎるための測定エラーと思います。 低インピーダンス領域を拡大してみます。 *やっぱりKAMCAP円筒型はゼロΩに近いので測定限界域でしょう。 *普通のスーパーキャパはインピーダンスが高いんですな。 使用する周波数によっては電解100uFの方が低インピーダンスですな。 品種によっても大きな差がある事が判りますな。 *測定してみますと色々と判りますな。 【スピーカーを測定してみんべ】 定番ですな。まあこれは一例で、当方の自作した小さなバスレフ型の物です。 *バッチリ使えるでしょう。かなり良さげです。 次はイヤホンを測定してみました。 *ふーん? 平坦なんだ? ヘッドホンです。改造品なので市販の物と違う特性かも知れません。 *けっこう起伏がありますな。 *振動板にニスを塗ったりすれば共振周波数が変化したりするでしょう。 【iPodTouch5のヘッドホン端子を見てみんべ】 今度はヘッドホンアンプの出力インピーダンスを測定してみます。 iPodを測定するには無音の音楽ファイルを作成して、それを再生中に測定します。 結果は下図です。意外にも低インピですな。iPodに採用されたLSIの能力でしょう。 インピーダンスが平坦なので出力カップリングコンデンサは不使用、直出しですな。 下図は当方が自作したヘッドホンアンプを見てみました。 ボリューム最小時ならアンプは無入力でも測定可能ですな。 *ポタアン(爆)が8.5Ωと高目な理由は何でしょう? まあたぶん、アイドル電流をケチってるからでしょう。(爆) *据え置きタイプの方ではDCサーボの影響もある様ですな。 しかしヘッドホンの共振周波数より低いですし、 位相ズレも30Hzで12度くらいと少ない様です。 ヘッドホンだから無視できる領域なんでしょう。 *2015.10.12追記。この測定グラフは何を表しているんでしょう? アンプは無出力ですが、そこに強引に信号を加え、残った電圧を測定しています。 つまりヘッドホンで発生した逆起電力がアンプに戻ってきた場合の挙動かも? インピーダンスが平坦で位相ズレも少ないなら逆起電力は吸収されるでしょう。 ヘッドホン32Ωに対しアンプも30Ωなどと高インピなら逆起電力も残りますな。 それに加えて2kHz〜20kHzあたりに位相ズレがあるなら音が影響あるかも? 【総括】 けっこう簡単な作りでしたが、 色々な測定に十分に使用できるという事が判りました。 電源不要と言う所が気軽に使えて良い感じ。 今回はこんな感じで御座います。 記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。 そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆) 以上です。 2017.06.28 以下の随想を追記。 世の中にはアイデアを盗んで自分で考えたそぶりで記事を公開する人が居ます。 自分をすごい人に見せたいんでしょう。その某先生の考察も浅はかで陳腐ですよ。 昔の人はよく言ったもんで、「人の褌で相撲を取る」という諺がありますな。 当方の褌はウンコ臭いと思いますが如何ですか? 貴方はウンコ愛好家?(爆) 虚栄心、自己顕示欲、自己欺瞞、そんな人は哀れです。精神的な成長を願います。 皆さんもそんな人間にならず、大らかで楽しく謙虚に正直に生きましょう。 。
by ca3080
| 2015-10-10 16:23
| 電子工作(一般)
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