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D級アンプTPA2006D1 その④

前回までの検討で数万円の市販品アンプに勝てるレベルになりましたが、
更なる高音質化を検討しました。




今回の投稿は④になります。 過去記事①〜③をご参照。
( 左側メニュー「タグ」→「ミニアンプ」→過去記事①〜③ )
今回で回路図と部品が決定ですな。
 



【前回までの回路図】
前回の再掲じゃなく少々整理しました。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_122588.png






【電源はどうか?】
①最初はデカップリングに2200uFの電解コンを使い実験しました。
②次に電解コン不使用にした場合の音を聴きました。上記回路図ですな。
 それなりの音質がするレギュレータICを用います。
 ちょこっと半田付けして容易に音質確認できます。
この段階で普通レベルの音質だったら検討終了だった事でしょう。しかし、
D級アンプのTPA2006D1が普通レベル以上の音質である事が判ったんですな。
更に改善する見込みが出て来ました。
次の段階として、更に高音質な電源回路を組み込んでみようと思います。

ところで、②の段階で超高音質な電源を組み込めば良いとお考えの方。
苦労して組み込んでも大した改善が得られなかったらどうでしょう?
超高音質電源なんてデタラメだ! と勘違いしちゃうかも知れません。(爆)
アンプ自体の音質が頭打ちなのか電源なのか、切り分けが不能になりますから、
やっぱり段階を踏んで確認した方が良いと思います。(爆)



【高音質電源を考える】
レギュレータICで「超高音質」と呼べる物はあるのか?
判りません。無いかも?(爆)
そんな訳で、当方の今までの蓄積から考えますとエミフォロ電源+α程度の物。
・まあ今回はパワーアンプですからバイポーラのエミフォロはキツいですな。
 電流もけっこう流れますのでMOSFETのソースフォロアになります。
・MOSFETもどれでもOKとか電流容量だけじゃなくて、
 端子間容量が小容量。VGS(on)が小さめ。ON抵抗も小さめ。1W以上クラス。
・発熱を考えますとLDO(ロードロップアウト)電源にする必要があります。
その辺の詳しい検討は→2W x2chミニアンプ②定電圧電源に記載しています。

ソースフォロアじゃなくてドレイン出力なら、ごく普通のLDO-ICと同じ構成です。
しかし高音質LDOとするにはソースフォロアの必要がありまして、
そうなるとゲート電圧が足りません。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_127147.png

どっから持ってくんの? アホなの?



【無いはずの電圧が、ある!】
簡単簡単。(爆)
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_127539.png

*TPA2006D1の出力端子は常に250kHzの矩形波が出ています。
 これを整流すれば簡単ですな。
*電源を入れた瞬間だけですが、多少の負荷が掛かります。
 C31 0.1uFのインピーダンス=1/(2*π*250kHz*0.1E-6)=6.37Ω
 まあTPA2006D1の負荷は4Ωまで許容されていますので問題ありません。

しかし、こういう使い方をすると反発する先生が居たりします。
「そんな使い方はどこにも書かれていない。保証がない。」という言い分ですな。
当方はアホですから、頭カチコチ先生とはうまくやって行ける自信がありません。
言論によるノイズの輻射から思考をシールドした方が良いかも?(爆)

そんな訳で下図の様な構成になります。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_6514270.png

詳しい最終の回路図はこのページの下の方に掲載します。




【もうちょっと電源を変更する】
ここまでの音質ですが、かなり良くなって来ました。
音像も小さくまとまり、前方5メートルほどの奥行きが出て来ました。
そして更に小変更です。
上記の構成でも動きますが、気のせいレベルで良さそうな変更を施しました。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_1284448.png

*発振する場合はQ31のC-E間に小容量のコンデンサを付加します。
 ゲート容量の大きなMOSFETなどを使用しない限り発振は大丈夫と思います。

あとは高域の癖みたいな所ですが、出力フィルタでしょう。



【出力フィルタのコンデンサ】
使用する容量は0.47uFと0.1uF。
まあ高音質フィルムコンを使えば良いんでしょうが、
安価な物を使う場合には、せめてポリプロピレンを使用ですか? デカいですよ。

小さいサイズのコンデンサで何とかなる方法はあるんでしょうか?
こんな方法も含めて検討した方が良いでしょう。0.1uFだけで構成します。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_1291257.png

ルビコンのPMLCAPも使えるかも知れません。
まあ当方は、最高じゃないけどそれなりに使えるセラチップを選択しました。
2012サイズ、X7R 100V 0.1uF。可能ならTDKか村田。(爆)
具体的にはC2012X7R2A104K125AAを使いました。
  104ZはF特性でして、音質がNG。パーツ屋にある多くが104Zです。Zは駄目。
  104Kの100V品。妥協しても50V品。25V品は音質がNG。2012 or 1608。
判らない場合は必ずフィルムコンにします。


けっこう滑らかな伸びのある音になって来ました。
ジャンク箱に帰って行く部品たち。(爆)
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_1293936.jpg

また逢う日まで。(爆)




【出力フィルタのコイル】
33uHで1A以上流せるなら何でもOKじゃありません。
まずはこんなコアに手巻きで作ってみました。アミドンFB-801というコアです。
巻線が太いので音も良さそうに見える? そういう色眼鏡が失敗の元です。(爆)
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_1210048.jpg

ちゃんと33uH近い値です。6巻ですな。

これを実装して波形を見てみました。駄目ですな。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12103651.png

歪率のグラフも取ってみました。悪過ぎです。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12105439.png

何が起こっているのか? 飽和しちゃうんですな。コアの選択は難しいんです。
可飽和コアとかはモロにこういった特性です。アモビーズとかも怪しそう。(爆)
(可飽和コアは整流ダイオードのヒゲ状ノイズ対策に適します。2015.06.16)

それじゃ正体不明のこういうコアはどうでしょう?
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12111514.jpg

まあ何とか、歪率は問題無さそうです。
両チャンネルに付けて音を聴いてみました。基板に入りませんな。(爆)
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12113086.jpg

うーん音がNG。音に厚みが出まして、音像が膨れますな。奥行きが狭いです。
これはコアが特殊です。アモルファスでしょうか?フタを開けるとこんな感じ。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12115294.jpg


つまり歪率が悪い物は論外ですが、音を聴いて判断するしか無いかも?(爆)
それ以外には定格に余裕を見ると言う事ですな。
下図の様に直流を重畳してもインダクタンスが変化しない物を選びます。
今回のD級アンプはオーディオ信号の低い周波数で0.625A流れます。余裕を見る。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12123374.png

  B-H曲線の角形比が関係するんでしょうが、
  手持ちのコイルについてB-H曲線の資料がありません。

D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_1214361.jpg

そんな訳で、過去記事①の時に電源フィルタに使用していたコイルを採用しました。
インダクタンスは33uHに足りず27uHですが誤差範囲内で問題ありません。
東光の989BS-270Mですな。
秋月扱い。
上の写真に掲載しましたコイルの中では一番素直でストレートな音が出ます。
まあ微妙な音質差かも知れませんが。



【入力カップリングコンデンサ】
カップリングには村田のX7S特性4.7uFを使っていましたが、
これに0.1uFをパラに入れました。




【最終の音質】
以上を全て盛り込みまして、かなり良くなりました。
奥行きもスピーカーの向こう側に7メートル先くらいまで再現できる感じです。
当方宅のスピーカーの向こう側は1メートル弱で壁です。(爆)その壁が消えます。
1Wしかありませんが、音の立ち上がりが鋭いため音量を上げる必要がありません。
普通に十分に楽しめる音量ですよ。音質をアップしたら音量も違和感がありません。
これ以上いじくっても大きな音質改善は無いでしょう。
当方が以前に作った2W x 2chミニアンプに非常に近い音になりました。
10万円台クラスを超える市販品アンプにも勝てる可能性があるんじゃないの?(爆)



【まとめの回路図】
最終の回路図ですな。複雑になりましたが、それほど難しくも無いでしょう。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_1214353.png

そしてキット基板側の改造箇所です。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12144654.png

まあ当方は下図の方法で改造しています。少々理由があります。後日掲載の予定。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12145659.png





【基板】
最初は動作実験からスタートしまして、現状では基板が小さ過ぎます。
このサイズの倍くらいの大きさで組んだ方が良いと思います。
まあ狭過ぎる例として参考に掲載します。
D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12151267.jpg

D級アンプTPA2006D1 その④_e0298562_12153462.jpg





今回のD級アンプですが、超高音質に近い高音質アンプを自作する事を考えますと、
比較的簡単な組み立てで作る事が出来ると思います。
音量調整のATTが最もお金を食いそうですな。



記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。


2015.09.12 追記ですが、この記事には続きがあります。
TPA2006D1をシャーシに組み込んで作り直しました。こちら→筐体に組み込む
by ca3080 | 2015-06-14 12:24 | オーディオ&電子工作
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