iZotope RX4 の備忘録①

市販アプリの話なので番外編です。レコードのチリチリ音等を除去するソフトです。
使い方のコツを忘れるとエラい事になるので記録しておきます。(爆)



その① ←いま見ているページ。
その②
その③


2016.11.04 コメント文だけですが追記しました。(ピンクの文字です。)

2016.09.22 追記しました。
↓追記箇所にジャンプ







忘れた頃にマニュアルを読んでも上手に使うコツは出てこないんですな。(爆)
テキトーに操作すると効果があり過ぎて音が劣化しちゃいます。
その代わりに、うまく使えばミラクルな修復効果が得られます。(爆)






【本題の前の話】
リアルタイムで使うのではなく、デジタル化した音声ファイルを修復します。
値段もそれなりにするため皆様にはお勧めできません。
winとmac両バージョンどちらでもインストール可能です。
日本語版はありません。登録から案内メールからサポートまで全て英語です。
(旧版RX3の日本語マニュアルは検索すれば見つかる様ですな。)
プロ用アプリケーションでしょう。

当方は6〜7年前の初期バージョンからアップデートしつつ現在に至ります。
アップデートは有意義で、初期のRXに比べ最新のRX4はかなり進歩しています。
下図は古いパッケージですな。
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*Advancedじゃなくて普通版を使う理由は費用です。(爆)
 Advancedにしてしまうと後々のアップデート費用もバカになりません。
*当記事の内容はRX4で記載していますがRX5でもほぼ同じ様です。
 つまり該当機能はRX4でほぼ完成したんでしょうか?
 当方はRX5にアップデートしておりません。(爆)
 (2016.11.04追記。)
*RX6 Standardへアップグレードしてみました。
 生録をする方や音楽を作成する方にはRX6は有効でしょう。
 しかしまあレコード盤のノイズ処理としてはRX4とほぼ同じです。
 レコード盤の取れなかったノイズは相変わらず取れませんし?(爆)
 処理速度も特に早くなった感じは致しません。(爆)
 (2017.04.22追記。)


*当記事にはチリチリ雑音以外の、一連の修復作業も記録します。
*当記事は当方のやり方を記録します。推奨の使い方を説明する物ではありません。






【音声ファイルを用意する】
取り込み自体は当方の録音機(改造ADC)を使います。
録音機でモニターしてみますと、
サンプリング周波数は96kHzよりも192kHzの方が良い音に聞こえます。
96kHzで取り込んだ物と192kHzで取り込み96kHzに変換した物を比較しますと、
同じ96kHzですが同じ音にはならず、後者の方が良い感じです。
録音機にファイルを戻しても同じ感想ですな。
つまり音質差はサンプリング周波数の差では無いという事ですな。
たぶんADC-IC内蔵のデジタルフィルタに問題があるんでしょう。
録音機には癖があり、録音機を変えたら再検証が必要という事です。

96kHzにすればHDD容量の節約になりますし、当方の再生環境でも扱えます。
RX4の処理時間も大幅に短縮されます。
44.1kHzに落とせれば良いんですが、中々に難しいですな。(爆)







【RX4の基本操作】
RX4の[Preferences]は初期設定のままと致します。
ファイルはドラッグアンドドロップで読み込めます。
波形選択の操作はほとんどを下図の基本ツールで行います。
他の選択ツールは特殊な時のみ使用。下図のツールに戻します。
(と自分に言い聞かせる様に記載しています。)(爆)
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カーソル位置は選択範囲の外にも移動します。行き過ぎちゃった場合は下図の様に、
黄色矢印の左右のエリアをクリックする事で移動できます。
他の場所をクリックすると選択解除になっちゃったりします。
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青色が電圧波形で、オレンジ色は声紋ですな。







【リサンプル】
192kHzから96kHzにダウンサンプリングしますが、
その前にスペクトルを確認します。
メニューバーの[Window]から[Spectrum Analizer]を開きます。
カーソルを波形の適当な位置に置きます。すると下図の波形が見れます。
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*50kHz以上の大きい盛り上がりはADC-ICで付加されたノイズシェーパーですな。
 ノイズシェーパーのための192kHz? オラ要らね。(爆)
*音声の方はだいたい50kHzくらいまで伸びています。どれもこんな感じです。
 つまり96kHzに変換しても大きく損なわれる事は無さそうですよ。
 44.1kにしてしまうとクロック干渉により沢山のエリアシングが生じるかも?
 エリアシングが少ない設定は強力なデジタルフィルタの癖があるのかも?

[Resample]を開いて設定します。
それなりにうまく設定しOKならProcessのボタンをクリックして完了。
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*波形の振幅最大値が-3dB以下ならPost-limiterはノーチェック。
 振幅が上下幅いっぱいに振れている場合はチェックして下さい。(爆)
 録音しただけならば上下幅いっぱいという事は無いでしょう。
*サンプリングレート以外のパラメーターは奥が深いので要検討ですな。
 インパルス波形などを用意してリンギングの生じ方を見た方が良いですな。
 グラフ上の赤色はエリアシングですから、これも要検討です。
 グラフ軸の-40dB以下はマウスドラッグすれば見れます。
*上図の設定はデフォルト値です。参考にしてはいけません。(爆)
 うまい設定ができたらPresetsの右横にある歯車アイコンをクリックし
 個人的な設定を保存します。








【音割れ デクリップ 簡単な例】
こんな判り易い波形クリップのケースは滅多に無いでしょう。(爆)
ですけれども、次の説明に繋がる作業なので記載しておきます。
この例みたいな明確なクリップならば、全波形を選択して一気に作業できます。

[Declip]を開いて下図の様に設定します。
潰れた部分を復元するには上側にスペースが必要ですな。
しかし上には伸ばせないので全体を下げる様に③Makeup gainを使います。
②Post-limitterはそれでも足りない時の保険ですな。
④Thresholdの値はSuggestボタンをクリックすれば自動で設定してくれます。
適切かどうかは試聴しながら決定します。
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OKなら⑤Processボタンをクリックして復元完了ですな。
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うまく行かなかった場合でも作業途中の状態に戻せます。
ウィンドウ右下にあるUndoによって作業の途中へ戻る事ができます。
クリップしていた部分が上に伸びました。ズズッと言う歪み音も消えました。
消えてしまった物が戻る訳ではありませんが、濁りも消えて自然な再生です。(爆)









【音割れ デクリップ 難しい例】
音割れが無ければデクリップの作業は不要です。
ところが波形はクリップしてないけれど音割れするレコードもあります。
金管楽器の咆哮とか、声を張り上げた時にバリッと不快な音がする場合です。
バリバリとか、チチジジジとか、聞いた事がない人には理解不能。(爆)
  もしかするとレコードプレイヤーのAnti-skatingが不適合かも知れません。
  バリバリッと音割れするレコードの該当箇所を試聴しながら調整してみます。
  ・Anti-skatingがゼロ(不使用)だった場合には推奨値にしてみる。
  ・またはAnti-skatingをゼロに下げて音割れが生じなければ効き過ぎ?
  ・Rchがひどい→足りないかも?  Lchがひどい→効き過ぎかも?
  ・Anti-skatingの原理とか理論、推奨値などを信じてはいけません。(爆)
  (2016.11.04追記。)


つまり見た目に判断できない場合です。試聴して耳で判断するしかありません。
チリチリ音を先に除去しますと音割れの一部も一緒に除去され復元不能になります。
よってチリチリ音を片付ける前に、音割れを先に修正しておく必要があります。

全体を一気に処理できませんのでMakeup gainが使えません。
よって復元する余裕があるかどうかを注意しておきます。
音声ファイルの音量最大値が低目である事を確認します。
最適でない場合は[Gain]を開いてGainのタブを選択し、レベルを下げます。
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次に試聴して音割れしている該当箇所を見つけたら、その場所を狭く選択します。
下図の①ですな。該当箇所を狭く絞って地道に作業します。
レコードの音割れでは全波形を選択して実行すると成功しない様ですな。
[Declip]を開いて設定します。
この様なケースではSuggestボタンがうまく機能しません。
下図の④の所に少し段差があるのが怪しい部分です。
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OKかどうか、修復可能かどうかは試聴でしか判りません。
設定を色々変えてみても駄目な場合も多いので、その時は諦めましょう。
多少のプチプチ音が残るのは次のデクリックで消去します。
つまり、やり過ぎは禁物です。
試聴しながら設定を変えてOKなら⑥のProcessをクリックします。
下図の様に振幅が伸張され、音割れも小さく聞こえる様になる可能性があります。
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【チリチリ音 デクリック】
音声ファイルの頭の部分を見てみますとこんな感じです。
声紋の縦縞がチリチリ音ですな。矢印で示した部分以外にも無数にあります。
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パチパチ音もボコッという音も、バツッと言うPOP音も対象になります。(爆)

[Declick]を開いて①Declickのタブをクリック。これを設定します。
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*②の設定ですが、
 Single-bandはデジタルエラーで生じたピチッというノイズに適します。
 チリチリに加えポツポツとか色々まじっている場合には向きません。
*M-band(periodic clicks)は周期性のある場合ですな。
*周期性が無い場合のチリチリ音はM-band(random clicks)を使用します。
*③はレコードの場合はClickを選択します。

楽器のアタック音が除去されない様に設定する必要があります。
打楽器とか、ギターのピッキングの音が弱まる設定はNGです。

作業としましては④をチェックして、除去されるチリチリ音だけをモニターします。
⑤で試聴しながらスライダーを設定します。
アタック音が漏れていないか試聴します。
リズムに乗ってピチッピチッとか言わない様に設定すればOK。

設定がOKなら波形の範囲を選択します。
全域にチリチリ乗っている場合は音声ファイル全選択でもOKですな。
⑥のチェックを外して、⑦Processのボタンをクリックします。
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⑥のチェックをしたままProcessをクリックしますと楽音が消えます。(爆)

チリチリ音除去の処理にはパソコンのCPUパワーが必要です。時間が掛かります。
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見た目には無音部が判り易いですが、楽音に絡んだ無数のチリチリ雑音が消えます。
上図では処理2/3くらいの途中ですが、10355カ所が除去されています。(爆)
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うまく消えました。

どうしてもアタック音がそがれてしまう場合、
アタック音の部分を波形選択しない様に小分けにして作業すればOKです。
地道な面倒なやり方ですな。(爆)









【ゾリゾリ音 デクラックル】
チリチリ音が除去されても声紋を見ると浅い縦縞が残ってますな。
いわゆるゾリゾリ音です。(爆)
ゾリゾリ音が目立たないレコードも多く、[Decrackle]の必要はありません。

この[Decrackle]は多少の音質変化が生じるかも知れません。
スッキリし過ぎるとか、雑味が消える、音が痩せる様な傾向があります。
まあ場所を限るとか、どうしようもない時だけ使用を検討します。
アカペラのソロみたいな場合は除去したくなるかも知れませんな。

[Declick]を開いて①Decrackleのタブをクリック。これを設定します。
②のQualityですが、酷いゾリゾリ音の場合はLowにしますと強力に除去されます。
Highでは微妙な部分が繊細に処理され、音質の変化も少ない様です。
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Amplitude skewを下げると小音時のみDecrackleが掛かる設定になります。
アタック音が削がれる場合はAmplitude skewを-5.0程度から調整してみます。
試聴または声紋の縦縞を見てアタック音が削がれる度合いを確認できます。
(2016.11.04追記。)

③の試聴およびClackle onlyですが、チェックの有無両方を試聴して判断します。
Clackle onlyのみを聞いての判断は難しいかも知れません。
デクリックの時よりもCPUパワーを使いまして更に処理時間が掛かります。
OKならば④でClackle onlyのチェックを外して⑤Processをクリックします。
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今回の例ではうまく出来た様ですな。
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【POP音の個別除去 インターポレート】
上記の作業でほとんど修正できますが、分離不能なPOP音が残る場合もあります。
そんな場合の対処方法ですな。インターポレートとは補間の事ですな。

下図の波形は一例ですから、見た目に判り易い波形となっています。
実際には音を聴きながら、POP音が残っている場所を拡大して行きます。
e0298562_1027937.jpg

ひたすら拡大しますと不連続な波形となっているPOP音が見えて来ます。
電圧波形で不明な場合は声紋で判断しますが、これも領域を絞ります。
なるべくPOP音の部分だけをカーソルで選択します。
e0298562_10272033.jpg

L/Rの片側チャンネルだけの場合もあります。該当チャンネルを選択します。
(チャンネル選択は波形ウィンドウの左端にある▶︎が使えます。)

次に[Declick]を開いてInterpolateのタブをクリック。これを設定します。
そのままProcessをクリックします。
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結果が波形に反映されます。
e0298562_10275120.jpg

POP音のあった両サイドの波形とスペクトルから補間してくれる訳ですな。
補正された音も確認します。これも全く違和感がありません。
うまく行かなければUndoによって戻れます。何度でもやり直しが利きます。






2016.09.22 以下追記。
DeclickやDecrackleの取りこぼし例を追記します。
耳で聞くと判りますが、波形としては目立たない時の例ですな。

声紋を明るくして見やすくします。声紋のゲージをドラッグします。
e0298562_922155.jpg

取りこぼしのプチッという箇所がよく見えます。だいぶ見やすいですな。
e0298562_9225599.jpg

小さく選択しまして、[Declick]のInterpolateですな。
e0298562_9252654.jpg

完璧に修正されます。
e0298562_9261967.jpg


ヒゲみたいな場合が多いですが、雑音みたいな場合もあります。
下図はLchの方は普通のヒゲ状のプチ音ですが、
Rch側には瞬間だけ雑音みたいなパスッという音が入っています。(爆)
e0298562_9291874.jpg

これも同様に[Declick]のInterpolateで修正します。
こんな感じで領域選択を幅広にした方が良い場合もあります。
e0298562_9295770.jpg

異音が消えて良い感じ。(爆)

えー、[Declick]のInterpolateだけに頭が行きがちですが、
普通のDeclickや、Decrackleを使った方が効果的な場合もありました。
下図の様に幅広に領域選択しまして、
e0298562_94181.jpg

下図の様にDecrackleを強めに設定してみました。
e0298562_9421064.jpg

似たような設定としまして、Declickを使って比較的幅広に選択しまして、
Sensitivityを8くらいにすれば有効な場合もあるでしょう。
e0298562_944383.jpg

取りこぼし箇所も何とか処理できました。
2016.09.22 以上を追記。








【作業を中止する】
おおよそ半分くらいまで作業が終わりました。更にハムノイズ削除などが必要です。
でも長くなりそうなので一旦RX4を終了します。

RX4は作業の途中であればファイルを保存する必要はありません。
タブを閉じずにアプリを終了させればOK。
タブを閉じていなければ、再度RX4を起動した時に継続して作業できます。
Undoも前回起動時の状態が保持されてますから便利ですな。
e0298562_1028821.jpg

ただし開いて作業している音声ファイルのディレクトリを変更しない様にします。

仮に未完了の作業途中で保存するならば32bitで保存します。
(アプリの中では32bit浮動小数点で処理中です。)
プルダウンメニューからExport…を選択し、32bitを選択して保存できます。




YouTubeにデモムービーがあります。
イヤホンで聴きながら見れば判り易いですな。ただし解説は英語です。
注意点ですが、実演販売の影響を受けて衝動買いしないで下さい。(爆)
チリチリ音ゾリゾリ音の除去
波形クリップの復元





続きはこちら →その② →その③
※2015.02.22追記。著作権などの法令は遵守しましょう。
自己責任にてお願いします。












チリチリ? チリコンカンもたまにはいいですな。(爆)
バツッとクラッカーを割って上に掛けてから食うんで御座んすよ。











by ca3080 | 2015-01-24 11:17 | オーディオ&電子工作
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