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SL-1200Mk3改造⑤モーター制御回路

今回は心臓部のモーター制御回路をいじります。改善データも得られました。
良くなるはず!とかいう妄想の改造じゃないのでご安心下さい。(爆)



そして中古品とは言え改造にはリスクが伴います。
AC100Vのコンセント機器なので火事や漏電、感電の危険性があります。
むやみな改造はやめましょう。(爆)
今回も火災や感電になるリスクがあります。自己責任ザマス。


SL-1200の音質が悪い原因はダイレクトドライブ回路にもあります。
回転制御が完璧という訳でもなさそうです。そこを何とかしてみました。



【電源コネクタを付ける】
改造のポイントや動作説明は記事の真ん中へんに書きます。
その前に手慣らしという事で、改造するには基板を外さなくてはなりません。
そこから行きましょう。

基板を外すには下図のネジを外します。コネクタも外します。
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邪魔になるのが電源の配線です。電源はコネクタに交換しました。
下図の改造前に、過去記事SL-1200Mk3改造②ハム対策を実施完了して下さい。
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*外す部品:AC1,AC2のピン。C6,C5,D1。
*追加の部品:TM1のコネクタ。ジャンパー1カ所、1S3のショットキーDです。
 ショットキーDがあるのでコネクターに極逆しても壊れませんな。

以上の変更を下図の様に行いました。
写真のダイオードは1S3じゃなくて11EQS04。同等品で十分にOK。
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【オイルとグリスの話】
ちょっと脱線しますが、まあメンテナンスという事で書いておきます。
分解するとモーター軸も外れます。気になるのが潤滑剤ですな。
潤滑剤は非常に奥が深いらしいので安易な注油は逆効果になります。
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円筒の部分が滑り軸受けで、こちらは適度な粘性のあるオイルを使用します。
回転によってオイルを巻き込んで、オイル中に軸が浮いている状態になる訳です。
粘性が少ないスクワラン等を使うと回転の遠心力でオイルが流れてしまいます。
サラダ油は酸化するので禁止ですが、同じ程度の粘性が必要なんじゃない?

モーター軸を下で支える部分はグリスを使用します。
完全に拭き取ってから新しいグリスを付けます。
異種のグリスを付け足しすると潤滑性能が劣化するのでNGとの事です。
低速回転でターンテーブルの重量を支えてますからモリブデン系が良いかも?

...脱線から復帰します。


【モーター駆動を考える】
SL-1200のモーター駆動ですが、これを理解すれば改造ポイントも判るでしょう。
はじめに考えるのは、基板上ではIC101です。AN6675ですな。
自走回転と回転の速さを変える事が出来るICです。
単純化すると下図となります。(本当は3相モーターですよ。)
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*角度検出の電圧を増幅して、その電圧で駆動しているだけです。
 回転系も含めた発振回路みたいな物ですな。
*内部アンプの増幅率を変えてやると回転数が変わる様です。
 まあ仕組みは単純です。

次に回転数を一定に保つサーボ回路ですな。
サーボとかNFBが判らないとお話しになりませんからお勉強しましょう。(爆)
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注目はIC201のAN6680です。
*FG信号という物を検出して、まずは増幅します。雑音対策でBPFになってますな。
*次に基準周波数(A)に対して、FG周波数(B)を位相比較させる訳ですな。
 比較の結果は正か負のパルスが(13)(14)に出力されます。
*これにフィルターを掛けて直流にします。
 出来上がった直流でIC101を制御する訳ですな。

けっこう判り易い制御方法です。難しいのは3相駆動の部分とかかも知れません。
3相駆動の部分はIC101におまかせとなりますから考えなくてもOKでしょう。
これより詳しい回路図等はサービスマニュアルが入手可能かも知れません。

さて、
以上が大まかな動作の話でしたが、どこをいじれば効果的なんでしょうか?
IC101の外付けCR等の変更で改善する様な感じはありませんな。
電源回路も駄目っぽいですがこれといった変化が出てきません。(爆)
基板の銅箔パターンもヘロヘロですがいじっても改善がありません。(爆)
FGアンプやBPFを変更しても測定できる範囲では効果が見られません。(爆)
効果があるのは「LPF」部しか無い様です。



【安定した回転とは?】
LPF部をいじる事は判りましたが改善の指標が無いと評価できませんな。
それを探ってみました。
基準レコードに収録されている1kHz信号の周波数変動を測定して、
グラフ化してみたりしましたが、さっぱり判りません。(爆)
どうやら周波数カウンタの0.1秒測定じゃ長過ぎる様です。
それではという事で、1kHzレコードの信号をスペアナで見てみましたら、
雑音なんだかワウフラッターなんだかジッタなんだか、さっぱり判りません。(爆)

そんな中、ようやく測定可能な物が見えてきました。
それはFG信号をスペアナ解析した波形です。
FG信号は50Hzくらいの低い周波数ですが、スペアナで見える事にビックリ。(爆)
こんな波形です。
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IC201の23ピンをパソコンのオーディオインターフェイスに入力します。
下図の様なシールド線のジグが必要です。筐体の裏から引き出します。
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さて、この波形の問題点は何なのか? どうやったら改善なのか?
重要な判断の指標となりますが、下図の実験によって判明致しました。
輪ゴムで外部駆動して差を見てみました。(爆)
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その結果が下図となります。
e0298562_954318.png

*グラフはピークホールドです。赤線は輪ゴム駆動ですが、
 輪ゴム駆動では回転数がずぐ変化してしまうためピークの蓄積が出来ていません。
*差があるのは50.5Hzのすぐ脇にある盛り上がりですな。
 こいつを下げれば良いと思います。
*それとは別に、矢印3カ所に変化が無い盛り上がりがありますが、
 これは回転マグネットの着磁ムラか? FG検出の波形コイルのムラか?
 こちらのピークが変化するのは過剰な制動であるという事です。

もう一例掲げましょう。
今度はターンテーブルの重量を2kg増やして差を見てみました。
下図の様に1kgの半田を2個乗せてみました。(爆)
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その結果が下図です。
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*今度は回転も安定しているのでピークホールドのデータ蓄積が十分でしょう。
 同じ様に50.5Hzのすぐ脇にある盛り上がりに変化が見られます。

外部から駆動するのは制御が掛からない自由回転に近い物があり、
大きく回転数が変わってしまいますが細かな回転ムラは無い物と思われます。
ターンテーブルの重量増加は慣性力が増して回転ムラが少なくなると思われます。
いずれも似た様なグラフですから改善の目標に出来るのではないでしょうか?



【LPF定数変更の影響を実験】
安定した回転の指標が判ったので実際にLPFを変更して効果を見てみましょう。
その前に回路が判らないとナニですから掲載しておきます。
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*SL-1200Mk3の基板から読み取りました。どうやらMk2は定数が違う様です。
 という事はMk2はちょっとイマイチなのでMk3に定数変更したんですかね?

ここで効果が判り易い箇所としてC212の3.3uFがあります。これをいじってみます。
まずはC212の3.3uF→4.7uFに変更してみます。
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悪化しましたな。そして4.7uFより大きくしてみると、回転がブルブル震動します。
C212は3.3uFより大きくしては駄目な様ですな。

それでは逆にC212の3.3uF→1uFにしてみます。
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良くなった様です。
これでいいんじゃない?と思ってしばらく使ってみましたが、
音がうるさくなった様な気がします。
つまりFG信号の早い変動がLPFで阻止されずに通過する様になった様です。
こりゃ過剰制動でしょう。単純過ぎて良くありません。

という感じで他の部分も色々いじってみました。
その結果、LPFの減衰特性から下図の様な事が判りました。
傾向と対策みたいな物です。
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【対策方法はコレだ!】
ちょっと長かったですが、
以上の実験をふまえて下図の変更に至ったという訳で御座います。
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この変更によるLPF特性は下図となります。
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ちょうど良い性能を狙った訳ですな。
FG信号のビフォーアフターは下図です。
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C212を1uFにしただけの時よりも他の場所での改善がある様ですな。
測定結果としての効果が得られました。



【具体的改造の方法】
変更後の回路図を見ればお判りの通り基板の銅箔カットが1カ所あります。
裏付け22kΩが写真では±1%の物ですが手持ちの関係です。
±5%の1/8W抵抗で何ら問題ありません。
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以上でモーター制御回路の改造は終了です。
デカップリングコンデンサとか変更したり容量アップしても無意味ですから。(爆)
これ以上はいじらない方が良いと思います。
ネジを締めて完了と致します。



【音はどうなったか?】
レコードの録音状態に依りますから色々聴いてみないといけませんな。
これも相対比較じゃないと非常に判りにくいです。

変更前は前に出る音で、低音は音像が広がって重圧感がある気がします。
音場の広がりは奥行き方向よりも横方向が目立ちます。オーディオ的な音?

変更後の音は、何か肩の荷が降りた様な、開放的な伸びが出てきます。
軽くなった訳ではなく低音のゆるみが解消されしっかり骨に響く芯のある低音です。
分離感も増して音場も前方の奥側へ拡張される感じがします。

どっちがいいかは好みでしょう。当方は変更した方が好きな音ですよ。
でもまあ、気のせいですよ。(爆)



【コメント等】
オリジナルの回路が設計された当時では見る事ができなかった
50Hzの近傍側波帯という物をパソコンの高性能スペアナで観測し実現できました。
スペアナを配布されているefuさんにも感謝ですな。
ちなみにですが、この改造方法は当方が初めての公表と思います。



【注意事項】
当方宅では比較的小音量の確認です。大音量ではどうなるか?
多量の震動をあびて制御がおかしくなっても当方は関知致しません。(爆)
何があっても自己責任です。
何らかの問題が発生しても当方は一切の責任を負いません。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。



早速ですが追記です。アフターフォローが抜けてたよ、すんません。
ストップボタンを押した時の、ターンテーブルの停止具合が変わりますので、
停止具合を再調整する必要があります。「BRAKE調整」ですな。
回転スタート/ストップを実際に確認しながら下図のトリマを調整します。
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ターンテーブルを装着した状態でも穴から見えますので簡単ですな。















by ca3080 | 2014-10-04 11:22 | オーディオ&電子工作
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