TIA型RIAAフォノEQ その③

ハムノイズ対策と測定です。S/Nとか市販品と比べてどうでしょう? エヘヘ。
フォノEQの入力抵抗値が音質に大きな影響を与えている話も記載。



関連ページ
  RIAAフォノEQをどうすんべ?
  逆RIAAアダプタの作成
  TIA型RIAAフォノEQ その①
  TIA型RIAAフォノEQ その②


音質うんぬんを語る前に、ハムやノイズ対策はけっこう重要です。
雑音とかハムノイズが聞こえたらフォノアンプを使う気になりません。
凄く旨いレストランでゴキブリを見ちゃった様なもんです。(爆)
ゴキブリ対策の他にも保健所に来てもらって検査をすれば安心!(爆)

つまり、様々な電気的特性を測定しておけば安心という話。(爆)
気分良くレコードを楽しみたいですな。


【ハムノイズ対策】
当機はシャーシの中にACアダプターも入れ込んで作りました。
AC100VラインとACアダプターからはハムノイズが膨大に出ています。
ついでにSW電源基板も組み込んでいるので高周波ノイズも出まくりです。

何にも対策しないで作り込むのもアホですから判っている事は実行します。
よって無対策の測定データがありません。(爆)
その点はご勘弁下さい。
フォノアンプを作って測定した事があればお判りと存じます。(爆)
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*こんな感じで、
 輻射したハムとか高周波ノイズはシャーシに飛び乗ります。
*シャーシに飛び乗ったノイズはコモンモード成分として戻ってきます。
 アンプ部を経由すると電位差を拾って音声にかぶるノイズになる訳です。
 そうならない様にすればOK。
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*メインシャーシに飛びつかない様にする。
 飛びついたノイズはすぐに戻す。

以上の対策を施して、下図の状態です。
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ちょっとハムが乗っていますし、蛍光灯フリッカーみたいな物も見えます。
これはですな、純粋に空中を飛んでアンプ基板に飛びついている成分でした。
アンプ基板と電源部の間にアルミのしきり版を追加したらOKでした。
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ノイズらしき物はなんにも無くなりました。ヤッター!(爆)
上図ノイズスペクトルのグラフですが、けっこう良い値とは思いませんか?

具体的には下図の内部写真となりました。
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左側がアンプ基板、右上がACアダプターで、右下がSW電源基板ですな。
ACアダプターはアルミで巻いてありシャーシとは絶縁されています。
  ※追記:アルミの内側に薄いブリキ板を入れれば更に効くでしょう。
      ブリキは海苔の缶とか缶ジュースが使えます。(爆)
ショートの危険が無い様に空間距離や沿面距離を十分に設定します。
SW電源基板の下側にアルミ版があります。いずれも絶縁スペーサーを使用し
シャーシからは浮いています。
真ん中にしきり板がありますな。しきり板はシャーシとショートしています。
このシャーシの背面パネルはハメコミのため、たまにGNDから浮く事があります。
ハムが治らんと思ったら裏パネルの接触不良だったよ。
裏パネルと基板ビスの間に黒いワイアを追加し確実にGNDへ接続させます。


【その他のハムノイズ】
以上は当機単体でのノイズです。接続時にもハムノイズ等が出ますが、
それは別の現象ですから分離して考えて下さい。
①当然ですが要因はアースです。プレイヤーからアース線が出ているので要接続。
②プレイヤーとフォノEQを接続するRCAワイアのシールドが甘いとハムを拾います。
 2014.08.11追記。RCAケーブルにフェライトクランプを付ける技もあります。
    GHz帯に効く物やAM帯に効く物などフェライトの種類は色々あります。
    近所に電波塔があってラジオが飛び込む場合も有効かも知れません。
    アース線にフェライトクランプを付けると逆効果かも知れません。
③次にターンテーブルの皿とか軸がアース線に繋がっているかどうかですな。
 テスター等で接続を確認して必要があればアース線を追加する等を行います。
④プレイヤーの電源OFFでハムノイズが消えれば、これはプレイヤー内部です。
 プレイヤー内部にあるトランスからの漏洩ハムノイズかも知れません。
 これは改造以外に対処の方法がありません。
⑤ターンテーブル(モーター)が回っているときだけうなり音が出るなら
 モーターからの漏洩かモーターの震動が原因かも知れませんが根が深そうです。
⑥更に大地アースからのアース線も有効ですが、逆効果の場合もあり半々かも?
⑦ポタアンと据え置きアンプで差があるなら据え置きアンプがノイズ源です。


【高周波ノイズ】
高周波ノイズですが、これも面倒なので対策前のデータがありません。(爆)
上記の対策に依って下図のレベルとなりました。
電源OFF時に対して電源ON時にどれだけ出るかを見て判断します。
電源OFF時にも出ているヒゲはラジオ波かパソコンのノイズです。
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当方の提唱するSW電源とノイズ対策はフォノアンプでも有効です。(爆)
SW電源からのノイズは完全に押さえ込んだと言ってもいいレベルかも?


【S/Nを測定】
今回の様なフォノEQですと雑音量が多いですからパソコンだけで測定可能です。
まあ一応、過去に作った測定ツールでも確認してみます。
DSSF3のスペアナにはIHF-A特性がありまして、信号のrms値も直読できます。
(図をクリックで拡大できます。)
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A特性を選択して、平均化も入れます。そのrms値を読みます。
-93.83dB?上図では93.88dBって書いちゃいました誤記です。(爆)

当方所持のパソコンオーディオIFの基準レベルがCDと同じ2Vrmsです。
これを1Vrmsとするため6dBを引きます。93.83-6=87.83dB
当機のS/Nは87dBと出ました。
自作の低雑音計測ツール(60dB)を使った結果ではS/N=91dB
まあS/Nは約90dBという結果です。


【f特と歪を見る前に!】
次は周波数特性なんですが、
そういえば当機フォノEQの初段はマイナス電源に繋がってるんだった!
測定するにはパソコンのオーディオインターフェイスを改造する必要があります。
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パソコンオーディオIFの入力を差動で受ける必要がありますな。
あるいは特性の良いバランス/アンバランス変換装置を使います。
信用できる方法で測定しないと意味がありませんのでよく吟味の事。(爆)


【f特】
改めてf特を測定した結果が下図です。この時点でCSV出力します。
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出力されたCSVファイルを表計算ソフトで読み込みます。
これを自作の逆RIAAアダプターの特性で補正します。
表計算の所も含めてくわしくは逆RIAAの記事をご参照。
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おさらいですが、逆RIAA(パソコンIF類含む)の特性は下図の様な特性でした。
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これを引き算する事で絶対偏差が得られます。
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まあ0.1dB以内に収まりました。
NFB不使用で、増幅回路はJFETの1段だけです。それでもうまく出来ました。
実用的には±0.5dB以内なら上出来で音質的にも問題無いでしょう。


【クロストークと歪率】
クロストークです。L/R別電源にしなくても良い値ですよ!
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歪率ですが、初段の石に依存します。ご参考に2SK117BLの場合を掲載します。
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2SK170を使えば更に良い値になります。
でも2SK170は濃厚すぎる音で見通しが悪い曇った音がするため不採用です。
(そう思えるのは2SK170よりも良い音を聴いてしまったからです。)
以上の歪率は参考です。当方が採用したのは2SK161Yです。
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まあ普通程度に収まっているので良しとします。
歪み成分はほとんどが2次歪みの様です。
(計測ソフトDSSF3ではTHDと2次、3次を選択してみる事が可能です。)
歪率が良いから音が良ければ世の中の装置はみんな高音質の筈です。
そうじゃないから面白い!
横軸を周波数にして測定した結果が下図です。
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まあ問題ありませんな。


以上で測定は終了です。



【意外な音質案件】
MMカートリッジは負荷によってf特が影響を受けます。
47kΩが標準ですが、SHUREのM97xE とかモコモコの鈍った音になります。

そこでM97xEのユーザーガイドを参考に、負荷にコンデンサを付けてみる訳です。
アーム内配線と、RCAケーブルの寄生容量込みで200〜300pFと書いてあります。
これをその通り色々といじくり倒しても良い音にならないんですな。何で?

そういう観点から、MMカートリッジが良い音で鳴る方法を色々と実験しました。
コンデンサは不使用、無しの方が音質的に良い結果でした。
CR直列の物を47kΩにパラってもいまひとつ。
負荷抵抗を変える事で高域の伸びがかなり変わります。
耳を研ぎすまして聴くと分解能とか空間的表現も負荷抵抗で変わりますよ!
フォノアンプの入力抵抗を47kΩ固定というのは駄目音質だった!

その結果ですが、入力抵抗切り替えスイッチを設けました。
当記事の上の方に内部写真がありますが、そこに写っています。
抵抗器の種類にも影響されます。ここは迷わず進のRGでしょう!

当機はMCカートリッジとしては利得が足りませんが、
高出力MCカートリッジはどうでしょう?
抵抗値を変更しながら音質を聞いてみましたが、けっこう影響あります。
カートリッジを変えても低出力MCを使っても同じ音質傾向を感じます。
500kΩあたりに立体的な艶のある良い音が出る抵抗値がある様です。
47kΩ以下は平板、47k〜400kΩでも平板、470kΩは素晴らしい、
  当方は470kΩが最良と感じました。
560kΩは精緻な感じですが立体感も残っています。
  560kΩは金田先生が使っている抵抗値ですな!
680kΩ以上ではまた平板で細い音になります。(47kよりはマシ。)
もしかして当方が初記載かもーーー!(爆)

ちなみに2MΩまでしか確認しておりません。
10kΩ以上の場合は数個を直列にして使った方が高音質です。



以上の話から当方は初段をサテライト型とする事は致しません。
音の鮮度につきましてはアーム内配線とRCAシールドケーブルを対策する事で
何とかなる感じで御座居ます。



この話を盛り込んで、下図の回路図となりました。(図をクリックで拡大。)
SW101の④402kΩは音質差を確認する用(平板になる事を確かめる用)です。
MM時には①②③から選択で、MCならどれでもOKですが⑤or⑥となるでしょう。
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2014.08.02追記です。2SK161Yが入手不能なら2SK161GRとします。
 更にQ102の2SK241はYじゃなくてGRとします。
 20Hzで若干レベルが落ちる場合はR113の値を調整します。
 2SK211Yも使用可能です。データシート上では2SK161と2SK211は同じ。
 L/Rのレベルを合わせるためIDSS選別しますが2SK211の選別は...(爆)

2016.06.12追記。当方の改造録音機ですが、
 ついこのあいだ入力回路を変更したら利得が取れ過ぎの状態になっちゃいました。
 抵抗ATTで音量を絞るというのが普通ですがフォノアンプの利得を下げました。
 現在は、上記回路図の初段Q101にソース抵抗100Ωを追加しております。
 L/Rとも同じ定数でOKでした。利得を落として調整するのは簡単という事ですな。
 ATTも不使用で劣化無し!(爆)

2016.06.16追記。おっと忘れてました。Q101のソース抵抗を追加しますと、
 Q101のドレイン電流も減少するのでC101,C102の印加電圧を再確認します。
 C101,C102の極性を逆にする必要があるかも知れません。
 またはR110の100Ωを大きい値にしてバイアス電圧を合わせればOK。




【その他の回路図と基板の写真】
SW電源基板もハムノイズ対策を入れ込んだ回路図を掲載します。
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ミュート回路と安定化電源は変更無しですから前回の記事をご参照下さい。

フォノEQアンプ基板です。
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Q104は上図の写真ではチップの2SK209BLを使っていますが、
2SK117BLと同一チップ品で音も同じです。当方の在庫の関係ですな。

そしてC101とC102の220uFはこれしかありません。
もし貴方が霊視できれば濃紺に輝く高貴なオーラが見える事でしょう。(爆)
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オーラは見えないかも知れませんが音質イメージとしてご理解下さい。(爆)


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RIAA定数は進のRGとチップセラC0G特性です。
チップセラのC0Gが超高音質であると当方が主張していますが、
そもそもはRIAA定数に使用してみて発見したので御座います。
疑うなら交換できる様に作って耳で確認するべきです。(爆)
何個か並列で使うと双信のSEコンと同等かそれ以上の音質です。

下の写真は電源投入直後にミュート回路が動作している時のLED。
および入力がショートした時のポリスイッチ動作、警告LEDです。
LEDをパネルに設けるのは面倒だったので基板上です。
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ショートしても安全です。
下図の様なカートリッジはよく考えて対策しましょう。
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【結】
これにてRIAAフォノEQが完成しました。
お陰さんで当方の使っていた旧フォノEQは解体する運命となりました。(爆)
こんな感じで電源部とアンプ部を別筐体にしていました。
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中身はデールの巻線抵抗や水色の大きめの金皮抵抗が見えると思います。
デールの巻線ですがR型フォーミングで立てて実装している箇所が多いです。
R型フォーミングだと見えませんな。青い円筒型の理研RMGが見えますな。
チューブラー型ケミコンはBCコンポーネンツのエラい奴の皮を剥いた物。
赤いケミコンはブラックゲートNXですな。
これらの部品も過去の遺物となり果てました。

ちなみにカートリッジですが、
MMと高出力MCの情報量の差があまりにも歴然として聴き取れる様になりました。
最安の高出力MCと書けばお判りの方も多いでしょうが、
今までは何かチャラチャラ付帯音がする薄い音の高出力MCと思っていましたが、
違いましたね。フォノアンプの限界とか、相性があったんでしょう。
チャラチャラする原因は、フォノアンプの高域が混濁していたんだと思いました。
これ使えるよ!

別種の高出力MCも聞いてみますと旧フォノEQよりしっとり艶やかに鳴ります。
高出力MCと低出力MCは音量以外にはそれほど大きな差を感じません。
MCカートリッジの個性も色々と違いが判る様になりました。
MMはもう、活躍するチャンスが無いかも?(爆)



【注意事項】
実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の回路や検証を断りもせず
商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。
記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。












by ca3080 | 2014-07-26 12:13 | オーディオ&電子工作
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