TIA型RIAAフォノEQ その②

前回の記事は回路図の説明でしたが今回は実際に検討してみます。
重篤なシミュレータ依存症になる前に実践した方が良さそうです。(爆)



ほぼ現実と同じ結果ならエミュレータ。近い結果はシミュレータ?
さて、
計画は重要です。計画の他にも試作して様子見する手段もあります。
それは良いとして、んま〜細かい所にネチネチうんざり!(爆)
ごもっともで御座います。

しかし、それでも記載しない訳にはいきません。なぜならば、
失敗の原因とは別に、要因となるのは下調べや計画の不備ですよ。
電子工作以外にも、あらゆる事に共通します。
まさに
「石橋を叩いてわたる」「転ばぬ先の杖」「あらゆる災害を想定した原子炉」(爆)
皆さんもめげずに素晴らしい作品を成功させましょう。(爆)



【動作電圧、電流を予測】
前回で考察した回路図は下図となります。(画像クリックで拡大すると便利。)
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仮にQ101を2SK117BLとします。
シミュレーターは実際の動作を完全には表現できない様なので、
漏れ電流に相当するR10を追加しています。
下図は各部の電圧と電流です。
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初段Q101の電流値とQ102,Q104の電流が完全に同一!という所も注目。
初段のJFETが作り出した電流は格段を経由しても変化しないと言う事です。
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【利得の調整】
次に入力振幅を徐々に上げていってヘッドマージンを見てみます。
1kHzを見ています。当然ですがQ101しか増幅してませんから反転増幅です。
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6V少々取れていますから、だいたい4Vrmsが上限ですな。
CDの出力は2Vrmsですから振幅値としては問題ありません。
当機の出力4Vrmsに対して、MMカートリッジの出力5mVを想定しますと
上限の利得が求まります。
Av=20*Log10(4Vrms/0.005Vrms)
 ≒58dB
これ以上の利得では歪むという事です。
しかし利得は下げる方向に調整する事が出来ます。R20を調整します。
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この値は初段Q101に使うJFETのgmに依存します。現段階では2SK117BLです。
MMカートリッジに合わせるなら、
128Ω〜256Ωの中間という事で150Ωを使用すればOKでしょう。

通常のシステム構成ならば、
後段に20dBアンプを設けてスルーの切り替えSWを付ければMM/MC両対応です。
あるいはMCトランス、またはMCヘッドアンプを別に用意します。
MMに対して20dBアップすればMC対応OKですな。

MC専用にするなら、
初段の石を2SK170BLにすればMCカートリッジでもそこそこな利得でしょう。
あと10dBくらい足りないかも知れないけど、足るを知る者は富む。(爆)


【改めて漏れ電流の影響】
次はシミュレーションが苦手な漏れ電流の影響です。
仮にR10の値を10メガΩ〜100ギガΩまで変えて見てみましょう。
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けっこう厳しいですな。縦軸を拡大しているから大げさに見えるんですよ。
よく見ますと低域は0.4dBくらいしか下がっていません。
実際の交流インピーダンスは10MΩあるんでしょうか?
まあそういった限界値というのは仕方ありませんので、うまく補正します。
これは簡単です。
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【電源部】
あとは何とかなりそうなので作って特性を見ます。
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*今回はACアダプタもシャーシ内に納めてハムノイズに挑戦してみました!
 実際には5VのACアダプタじゃなくて15VのACアダプタを使いました。
 過去に作った基板を流用しました。
 ノイズ性能は上図の回路図が優れていますので、上図の回路で作成しましょう。

下図は定電圧電源です。極小コンデンサで超高音質を狙います。
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*音が良いコンデンサとバイポーラTrは過去記事を参照してください。
*Q409は印可電圧が小さいので2SK170。
 Q403,406は2SK246BLですが今回は小電流なのでフィルター能力にて選定。
*初段の-13V電源がショートしても大丈夫な様にポリスイッチを設けました。
カートリッジまで引き回しますからね。ショートする可能性は高いですな。
 ポリスイッチの両端にLEDを付ければ警告ランプになります。


【実際に動かして判ったこと】
次にアンプ回路へ行く前に、
作ってすぐに判った事があります。
電源ON直後からC101,102が充電するまで、出力がマイナスに偏ります。(爆)
予想できませんでした。(爆)
う〜んしょうがないから対策です。急速充電用。言わばミュート回路です。
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*MUTE-Lという物が追加されています。
*D101は保護用です。
 カートリッジの出力レベルが高くても20kHzで0.1V以下でしょう。無問題。
 入力コンデンサは当方の試聴により無しが最良でした。
*ゲート抵抗の代わりにチップフェライトを入れていますが音質対策です。
 抵抗なら820Ω〜1kΩを使用。抵抗も何も無いと発振する可能性が極めて大!
*RIAA定数ですが大きい抵抗値は直列の方が高音質です。
 コンデンサは並列にした方が高音質です。

下図はミュート回路、ミュートドライバですな。
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*Q301,Q302はミュート専用Trです。2SC2878,2SC3327が使用可能。
*時定数はC302,R304で、D304は電源OFF時の時定数放電用。
*Q303ですが、実験の当初は2SA1015を使って検討しましたがマイッタ!
 最近入手した2SA1015ですが漏れ電流が多過ぎ? 2SA1015で何故?
 初体験?(爆)  これじゃ1015採用できねーだろ!
 微妙にミュートONになったままOFFしませんでした。(爆)
 困った結果のPch-MOSFETです。
 2SJ680、IRFU5505PBFなどパワー用でも使えます。
*R303でマイナス電圧に吊ってQ301,Q302が確実にOFFになる様にします。
 ミュートOFF時のR303両端電圧は両端ともに-9.6Vのはずです。
 違う場合は漏れ電流が多いと判断。危険視して下さい。
*あるいはリレーで作り直す!(爆)

漏れ電流恐るべし!
最近の新規出荷品が怪しい! 倉庫に眠っていた古い部品の方が性能良いかも?
当方も今の内から括約筋を鍛えてお漏らし爺さんにならぬ様にするのだ!(爆)


【初段による利得の差】
初段Q101を取り替えて実際の利得を測定確認してみます。
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*入力が-60dBですから-20dB以上あればMMカートリッジに対応可能です。
 2SK170BLなら、やはりMCカートリッジでもそこそこOKですな。
 ま〜音質は別として。(爆)
*2SK30Aや2SK246は低域の落ちが大きいですな。使えないっぽい。
*他の素子は予想通りっぽいですが、2SK161Yが健闘していますな?


【初段による雑音の差】
そして雑音です。
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*ハムノイズが少し乗っていますな。1kHzあたりにもヒゲがあります。
 これは内部構造、配置の問題です。次回に対策します。
*2SK241はさすがに初段には使えません。
*素子のバラ付きなのか偶然なのか不明ですが、意外にも2SK161Yが健闘中。
 ファイト!


【初段に何を使うか?】
ここで早い段階ではありますが初段JFETの音質を聞いてみます。
あ〜あやっぱり2SK161が良いです。次に2SK117BLでした。
これは過去記事のFET音質判断と同じ結果です。
んま〜、
2SK117BLでもかなりの高音質で市販品を軽く凌駕できるレベルかも?
少しの差かも知れませんが、明瞭度と現実感、空間性が勝るのが2SK161。
音を聴いちゃうともう2SK161以外は考えられません。(爆)
利得が足りなくても他で何とかする! と思わせる2SK161に惚れたよ俺は。(爆)
ですが、色々実験を重ねるうちにこんな事も判りました。
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個々のバラ付きもありますがおおむね少IDSSの方が良さそうです。
素子の限界能力まで来ちゃってる究極回路! たぶんですが。 (爆)
2SK161YでもIDSS=4mA以下ならOK? f特は2SK117でも同じ程度。
1dBくらいの差ですから、R113を調整して低域のf特を少々上げれば使えますな。

2014.08.02追記です。2SK161Yが入手不能なら2SK161GRとします。
 更にQ102の2SK241はYじゃなくてGRとします。
 20Hzで若干レベルが落ちる場合はR113の値を調整します。
 2SK211Yも使用可能です。データシート上では2SK161と2SK211は同じ。
 2SK211のIDSS選別は小さいので困難ですよ。(爆)

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初段の石とRIAA定数が決定しました。
利得はgmに依存しますからQ101はLch,Rchともに同じgmの物を使います。
gmの測定は難しいので同じIDSSの物を選別して使用します。
利得が合わない場合はQ101をL/R逆にしてみます。
それでも駄目ならQ104をL/R逆にするとか、そういった手段でうまく合うかも?




【次回の話】
ハムノイズ対策、RIAA偏差の測定(f特の最終判断)、
歪み率の測定、S/Nの測定、クロストークの測定。
そして語られる事の少ない意外な音質案件をひとつ。(爆)
内部写真も公開致します。
録音した音も公開したい程の出来具合ですが、権利絡みで難しいですな。




【注意事項】
実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の回路や検証を断りもせず
商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。
記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。
by ca3080 | 2014-07-18 21:03 | オーディオ&電子工作
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