作りっぱなしは良くありません。測定します。
要確認の項目を見極めして最終判断します。 【入力ボリューム】 作っていくうちにアンプ自体の音質グレードがかなり高くなってきまして、 やっぱり可変抵抗じゃ物足りないという事になりました。(爆) 抵抗切り替え式のATTに変更しました。具体的定数等は過去記事ご参照。 【初段FETとS/N】 当機の回路で電圧増幅の動作をしているのは初段のQ101だけです。 それだけに影響が大きい箇所ですが、多くのJFETを使用する事が可能です。 まあ好みで選択すれば良いんじゃないでしょうか? 当方は、 音の瑞々しさとか表現力で判断しますと、もう2SK241GRダントツ1位で決定です。 しかし安易に皆様にはお勧めできないポイントがあります。それは雑音です。 2SK241GRを初段に使用し、ヘッドホンで聴くとサーという雑音が耳につきます。 これはトレードオフな関係ですな。 でもスピーカー再生なら聞こえないと思います。そこをどう判断するか? そんな訳でして測定してみました。 S/N値はIHF-Aフィルタを使用。それなりの低雑音測定ツールが必要です。 2SK241GRが特に高雑音。(爆) 2SK246GRですが、優しく丸みがあり伸びもありオーディオ的な濃厚さもあります。 感想は、2SK246よりも2SK161の方がクールですが2SK241には及びません。 2SK241Y等のランクでも流す電流を最適化すれば使用可能でしょう。 Q101を色々と変更できるという話です。 Q101が決定したらTR101を再調整する事も忘れずに。 TR101は多回転型にしてみました。キャっと空中3回転ぞなもし。(爆) にゃんぱらり。 【増幅段の最終回路図】 Q101を変更した最終の回路図が下図です。(図をクリックで拡大可) GND-シャーシ間の接続は要所にコンデンサなり抵抗を入れて下さい。 【MOSFETのクロスオーバー歪】 当方はすっかり忘れていましたよ。それはMOSFETのクロスオーバー歪です。 出力段MOSFETのアンプはクロスオーバー歪みが少ないと言う噂話がありますが、 その話に対して当方は否定的です。 仮説じゃなくて、実際にクロスオーバー歪的な波形となります。 ちゃんとアイドル電流は9mA流れてますよ。 バイポーラTrなら9mA流せばクロスオーバー歪みはとても少ないでしょう。 原因はMOSFETの立ち上がり特性ですな。I/V特性の曲がり具合に由来します。 このままアイドル電流9mAで当機の歪率特性を測定したのが下図です。 NO-NFBでは、けっこう小音量から歪2%というのが頂けませんな。 NFBを掛ければ音としても歪音は聞こえませんが、NO-NFBでは音が濁ります。 このままでは当機はNGです。NO-NFBの良さが活かせません。 どこまでアイドル電流を流せば濁り音が目立たなくなるか聴いてみました。 それは20mAですな。 音質的には20mAが最低値ですが、余裕と改善具合から30mA流す事としました。 以上の歪率ですが、利得+10dBでも+20dBでも同じ特性でした。 NO-NFBとシンプル増幅モード(V/R→I*R)は歪率の差がありません。 無負荷時の特性はNFBでもNO-NFBでも利得を切り替えても変わりません。 NO-NFBでも歪率1%未満に入る様になりました。 具体的に増幅動作している素子は初段のQ101だけです。 1素子だけで増幅している回路ですが意外にもNFB時の歪率が良いですな。 2W出力時の歪率は0.02%です。最小では歪率0.007%以下を達成。 またもや差動回路を選択する理由が遠ざかりました。(爆) 【周波数 対 歪】 横軸を周波数にした歪率特性が下図です。 2W出力の値はまあそれなりですが、出力を落とせばけっこう良い値です。 NO-NFBの方は周波数依存性がほとんどありません。 スペアナでも確認してみました。問題ありません。 【出力段の最終回路図】 アイドル電流を30mAに増やしまして、最終の回路図です。 R153など使用条件を要確認です。半固定抵抗も要確認ですな。 大きな定格電力の抵抗に変更する必要があるかも知れません。 【周波数特性、クロストーク】 下図はご参考の測定です。NFBを掛けた状態です。 エミュレーションの結果と違うのは出力段込みだからでしょう。 それでも位相余裕度がある様に見えますな。 スピーカー端子へのC負荷でも安定してます。ゾーベルネットワーク不要です。 (C104を削除した状態でC負荷すると、NFB時には発振します。) 【出力段の発熱】 測定には温度ロガーがあれば便利でしょうが、当方は持っていません。 秋月の温度計を改造したものを使いました。これとiPodのストップウォッチ。(爆) 待機時間のカウントにはキッチンタイマーを活用ですな。 センサーのサーミスタをドレイン端子に接着します。 センサーが浮かない様にしてシリコンボンドか何かでくっ付けます。 ところで、当機の基板を入れるケースですが、密閉しちゃ駄目ですよ。 MOSFETの周りの空気が温度上昇したまま保温されちゃいますからNGです。 そうならない様に、 温まった周囲の空気が対流によって外へ逃げる構造として下さい。 一応はそういうケースの穴加工を行いまして、ケースに入れて温度を測定しました。 最も発熱するのが50%矩形波、その次が正弦波64%... そうなる理由はご自分でお調べ下さい。 測定時の気温が20℃くらい。夏場の部屋が最悪40℃とすればその差は20℃。 測定グラフの結果は100℃未満ですから、 最悪でも120℃までしか上昇しないという事です。問題ありませんな。 絶対最大定格150℃未満なので無問題。ヒートシンク無しでOK。 今回は過剰発熱の保護回路なども不要でOKすな。 当初の構想、計画が妥当だったという話でもあります。 【NFBの特徴ある動作】 NFBとNO-NFBの違いですが、リニア領域を外れると判りますな。 当機は増幅段の電圧が高いので波形クリップさせるとよく判ります。 間に合わずにビヨンビヨン震動してます。(爆) NFBらしい振る舞いですな。(爆) 増幅段の電源電圧が高い理由は、電力効率です。発熱が少なくなります。 出力段の波形が電源電圧までフルスイングして2W出力を出しています。 【おまけLED】 最後に、電源電圧モニター回路を付けました。 電源がコケるあたりで赤色LEDが点灯する仕様に調整します。 音量ボリュームを調整し、これがたまに点灯するくらいで最大音量でしょう。 その前に、駄目スペックのACアダプタがコケている事を疑いましょう。(爆) 【NFBとNO-NFBの音質差】 最後にNFBの違いによる音質差を記載しておきます。 オールオーバーのNFBは少し平板な音。NO-NFBの方が音の分離が良く聞こえます。 第3の、シンプル増幅モード(V/R→I*R)が最もリアリティを感じました。 ヘッドホンを使用しての比較では、去年に作ったHPAよりも音像が太いです。 スピーカーを鳴らす分にはそういった感じは判らずピンポイントに聞こえます。 低音が本物ですな。パンチのある音も軽々と出てきます。色づけも少ないですな。 電源のコンデンサが極小というのが素晴らしく効いている感じです。 ※スピーカー出力はシャーシの外に出てからバインディングポストに接続。 ※ATTはショートしないタイプの接点を捨ててショート型の接点に交換しました。 改造スイッチです。 逆の意味に書いちゃった御免。(爆 2014.04.06) 【注意事項】 実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の回路や検証を断りもせず 商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。 記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。 そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆) 以上です。 「最後に」とか2回も書いちゃってました。往生際が悪いですな。(爆) (2014.04.02) 明日は3月30日の日曜日で思い出すのがフランシーヌの場合。 その中に「本当の事」という言葉が出てきますが、本当の事とは何でしょう? 思想や理論に一致した理想世界が「本当の事」なんでしょうか? そういう左寄りな考えの方もいらっしゃると思いますが、 当方は、理論に一致した理想世界は存在しないと思います。真逆ですな。(爆) ドリフト、外乱ノイズ、不純物、ミクロの欠陥とか色々あるのが現実です。 それらの不安定要素は理論や理想からは排除されるか簡略モデル化されるか? その理論は足りないんですよ。現実世界に合わないのです。 最新のスパコンで諸々の要素を入れ込んでシミュレートしたって現実とは違う。 (天気予報もだいぶ当たる様にはなってきた様ですが。) まあ、 目の前で異常動作しているトランジスタが「本当の事」ですな。(爆) 2016.04.09画像追加。 。
by ca3080
| 2014-03-29 07:14
| オーディオ&電子工作
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