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DACのアナログ追求⑧コンデンサその2

音質の詰め第2弾。小容量のコンデンサについて記載します。
単品で使う以外にも、大容量にパラったりして使いますな。




最初は一般的な話から入って行こうと思います。音質の評価結果は記事の中程です。
ちょっとセラコン絡みの話が多いですが、我慢して下さいな。(爆)
セラコンの何が誤解なのか、本当の事を知っておけば世界が広がりますよ。



【セラコンの噂話を考察する】
オーディオ界の常識では、セラミック・コンデンサは最悪の音であるとの事。
実際にセラコンを使ってみたら高域が荒れてカサカサしたノイズっぽい音だった、
といった体験談もよく目にする話です。
そんな噂話ですが、セラコンを一括りにして判断するのが間違いですな。

例えばフィルムコンの場合、マニアの人ならば一括りにしないでしょう。
スチコン、マイラーコン、PPもPCもPPSも、みんな音が違いますよね。
構造によっても違います。
巻き構造リード線カシメ型、積層むき出し型、積層樹脂ディップ型、
巻き構造メタリコン型、それぞれ音質に特徴があると思います。
(フィルムコンの構造については検索してお調べ下さい。)

セラコンも誘電体によって多くの種類があり、それぞれ音が違います。
構造でも、円板型、積層チップ型、積層ディップ型、それぞれ音が違います。
特にセラコンはピエゾ効果で振動したりします。
よって円板型は振動しまくりで最悪ですな。平べったい構造は駄目な訳です。
チップ型でも平べったい3216サイズの物は駄目かも知れません。
樹脂ディップ型は、そんな振動を押さえる効果もある訳です。

よってセラコンを先入観で音が悪いとするのは間違っています。
高音がキンキンしてカサカサする耳に痛い音だったとしたら、
わざわざ変な物を選んだんじゃないの? (爆)



【セラコンの特性差を知る】
セラコンは主に3種類に分けられますな。検索してお調べ下さい。
日本の工業規格ではF特性、B特性、CH特性。 (SL特性はCHに似ています。)
そういった「特性」というのは温度特性の事ですが、
DCバイアスによって容量値が変化する度合いも違います。
そこを測定してみました。
簡単ですから皆さんも挑戦してみたら如何でしょう?
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パーツ屋でよく見る水色の0.1uF積セラはほとんどがF特性です。
B特性は少しはマシな方ですな。
CH(C0G)特性は微動だにしません。特性はスチコンやマイカ並みです。



【コンデンサの歪特性】
次は歪率です。素のまま計ろうとしても測定は難しいです。
当方は下図の様にして測定しました。簡単なので皆さんも実行しましょう。
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_22312936.png

カットオフ周波数約1kHzのHPFを組んで、HPF通過後の歪率を測定します。
LPFにすると歪成分が減衰しちゃうのでHPFという訳です。
よって上記の定数と手法によりますと0.1uF限定ですな。
測定ソフトはDSSF3を使っています。
まずはフィルムコンとC0G特性の積セラから見てみましょう。
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_2233678.png

差がありませんな。セラミックであっても、C0G特性は非常に良い訳です。
この結果は測定限界と同等という事です。このレベルでは確かに測定できません。
次に、いわゆる積セラ、音が悪いセラミックコンデンサです。(爆)
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これはこれは、非常に悪い! C0G特性とは比較になりません。
「デジット付属」とは、キットに付属していた積セラという意味です。
f(0)=1kHzを中心に、通過域よりも減衰域の方がコンデンサの歪みを受けます。
次に電解コンデンサですが、当方の所持品不足で下図の2種だけです。
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意外にもはっきりとした違いが出ましたな。
ニチコンVXというのは30年くらい前の一般品種でとっくに廃止品です。
日ケミASFは怪しいカーブですな。変な音作りが反映している気がします。
けっこう面白い結果になりました。
測定したコンデンサの写真も掲載しておきます。
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やっぱりC0G特性は素晴らしい。



【どんな容量を使って音を良くするか?】
これは当方が主張している事ですが、容量によって音の傾向が違います。
音の良い特定の定数がある様に感じます。参照→過去記事コンデンサを極める
そういう訳で、使うならば、220uF、3.3uF、0.1uF、2700pF、68pF。
各々の容量差はどうやら39倍程度みたいですが、その理由は謎です。
39倍ならば、150uF、3.9uF、0.1uF、2700pF、68pF。の方が近いかも?
これらを組み合わせて使用します。
そして電源のデカップリングに使用した場合、下記の様な特徴があります。
(記載の表現は当方の主観です。皆様ご自身が試聴して判断して下さい。)

*2700pFと68pF
  68pFをパラに入れると空気感、雰囲気が増す感じがします。
  2700pFをパラに入れると本当の高域がピーンと伸びる気がします。
  チェンバロの高域の響きみたいな音ですな。微妙な所が改善されます。
  当方の推奨はセラチップのC0G特性。できれば100V品。無ければ50V品。
  サイズは1608または2012。薄い3216と小さ過ぎの1005は鳴きがあるかも?
  C2012C0G2A272J   TDK製2012サイズC0G特性2700pF/100V
  GRM1885C2A680J   村田製1608サイズC0G特性68pF/100V
(※追記ですが、68pF 1608 ,2700pF 2012 ,で100Vを選択すればたぶんOKで
      メーカー違いによる音の差はほとんど無いかも知れません。)

*0.1uFについてはボーカルの息づかいなどがリアルになります。
  ギターのピッキングの音も正しい定位置から聞こえる様に改善するかも?
  アンサンブルの個々の楽器が分離する聞こえ具合にも影響するかも?
  ちょっと前までの推奨はTDK製の積セラC0G特性の物でした。
  FK22C0G2A104J   TDK製樹脂ディップ型C0G特性0.1uF/100V
  更に、最近見つけたチップセラコン。これも同じ音で鳴ってくれます。
  C3216C0G1H104J160AA   TDK製3216サイズC0G特性0.1uF/50V
  これは良いです。日進月歩ですな。セラミックの色が乳灰色〜薄ピンクです。
  昔の村田製3216 C0G特性0.1uF/25Vは鳴きがあって駄目っぽい音でした。
  KEMETのZ5U特性0.1uFはDCサーボに使用する等で使えます。
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*3.3uFは中高域の音の艶、伸び、密度感に影響を与えて改善します。
  音が粗い220uFなどにパラれば明らかな改善が得られますよ。
  具体的に何が良かったかは下記にまとめました。
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CMFじゃなくてCFMだったョ。(爆)



【音質評価 3.3uF〜4.7uF】
評価基準等につきましては前回の記事をご参照下さい。
No.7: 村田? セラチップX7R特性汎用品2012サイズ 4.7uF/10V
  いわゆるセラコンの音。よくあるセラチップ。皆さんの印象通りの音。
  効果としては非常に判り易く高域が伸びる様になりますが、
  耳に刺さる。うるさい。キンキン。カサカサ。
  定位もおかしくなる音がありますな。マイナスの部分が多く当然NGです。

No.6: ニチコン MUSE ES ノンポーラ緑 3.3uF/50V
  音が分離しません。追加しても効果が判らないっぽい。無くても同じ。
  これを使用しても意味が無い。写真は前回掲載。紛れ込んでたよ。(爆)

No.5: マルコン CFM(OSコン) 4.7uF/25V
  高音の密度感や滑らかさは改善されますが、やっぱりOSコンの音がします。
  奥行きが阻害されて横方向だけに広がる感じですな。
  そういったOSコンの特徴が高域に出て来る訳です。当方はNGです。

No.4: ニッセイ MMT(MTF) 3.3uF/50V
  滑らかにはなりますが効果の出る帯域が狭く伸び切らない印象です。
  シンバルとか表現が単調に感じる音となりますな。
  圧縮された様な濃厚になった様な色づけを感じます。
  
No.3: ニチコン タンタル F95 フレームレス 3.3uF/35V
  効果が目立たず感じにくい印象ですが癖が無いとも言えます。
  少し繊細な高域になります。印象が無いに等しいのでこれも不採用だな。
  カップリング用などには上位に入ります。小サイズで使えますよ。
  (常にDCが印可されて逆電圧が掛からない場所のみ使用可能です。)

No.2: KEMET GoldenMax Z5U特性 3.3uF/50V (C340C335M5U5TA)
  これも印象は薄い音ですがよく聞くと中高域すべての滑らかさが増します。
  奥行きや定位を邪魔せずしっかり分離良く聞こえる音ですな。
  去年の段階ではNo.1でしたが高価でサイズもデカくお勧め致しません。

No.1: 村田 積セラ X7S特性 4.7uF/25V (RDEC71E475K2K1C03B)
  滑らかさを超えてわずかに艶が乗る感じもあります。
  その艶はうるさくは無く派手でも無く定位と奥行きを邪魔しません。
  飽きない音でむしろ好ましい音です。心地よい音。
  声と楽器の良い所が引き出されて魅力が増す感じがします。
  とにかく秋月で買えて安い! 当機に採用です。
  2016.01.30 緑文字とリンクを追記。
  後継品→
RDEC71E475K2K1H03B ←たぶん同じ音。(爆)
  50V品→RDEC71H475K2K1H03B ←音質未確認。
  ちなみに、下図は直流を印可した時の容量変化です。
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_22431617.png


※追記2014.11.03 ここで皆さんは大笑いしなければなりません。
 なぜならば、最低の音がする4.7uFも最高の音がする4.7uFも
 両方とも村田の積層セラミックコンデンサです。どういう事?
 安いですから入手して比較試聴するべし。(爆)




【反共振について】
特性が良いコンデンサを並列にすると反共振が出たりします。
反共振が生じると癖のある音になるかも知れません。逆効果の場合がある訳です。
これを防止するために良く知られた手段は、低抵抗を直列に入れる事です。
0.1uF+1Ω、2700pF+4.7Ωとかです。MJの安井先生とかが用いてますな。
低い抵抗を直列に入れた事により、音質の改善効果を感じる方も多い様です。
でも、
当方は、小さく組んで抵抗を入れずに済ませた方が良いと感じます。
足は短く、半導体とコンデンサの距離は15mm以内ですな。(爆)
コンデンサ同士は5mm以内に入れ込みたいです。
本当にうまく行くかな? エヘヘ。
それでは例によって実験です。測定方法は下図の接続です。
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_22451728.png

まずは2700pFに対して、68pFを並列して見てみました。スペアナで測定。
下図のとおり反共振が現れますな。よく見る普通の記事では、ここでNG宣言。
かくの如くコンデンサの並列は危険なので実行禁止と言う訳です。(爆)
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_2249037.gif

もう少し実験を続けましょうよ。(爆)
次は更に0.1uFを並列にしてみます。するとどうでしょう?
下図の様に反共振のレベルが下がりましたよ?
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_2249413.gif

更に更に、4.7uFを並列にしてみますと、もっと下がりますよ!
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_2250357.gif

そして全部を付けてみました。下図はAPB-3を使用。クリックで拡大。
DACのアナログ追求⑧コンデンサその2_e0298562_22505595.png

アレレ音の良い定数を全種組み合わしたら反共振も対策出来ちゃった。
この結果は奇跡的な偶然です。(爆)
220uF、4.7uF、0.1uF、2700pF、68pF。全部を並列にすると音も最高。
何て素晴らしいんでしょうか? (爆)

※追記ですが、↓この資料23ページ以降も参考になると思います。
日ケミ 導電性高分子コンデンサApplication Note



【次回の話】
次はディスクリートI/Vコンバータに採用するトランジスタを試聴してみます。


【注意事項】
実験は自由ですが、当方の検討結果とか考案の回路を勝手に採用しないで下さい。
記事を鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。当方は一切サポート致しません。
39倍周期ってまさか、(2*π)^2 とかじゃあるめぇ〜な? (爆)

以上です。










2017.12.29追記。
リンク等に関しましては適切にご対応頂ければ問題ありません。
「サンキュー係数」は「音質が良くなる」という抽象的な芸術的な表現を独自に主張するものであり、当方がオリジナルの発見者です。
性能が良くなる技ではありません。
ただ単に物理的な性能が良くなるためには「サンキュー係数」である必要性はありません。よってサンキュー係数以外の組み合わせなら単なる回路アイデアなので自由に使用できるという事ですな。
0.1u+0.01u+1000pなどはご勝手にどうぞという話です。
サンキュー係数の組み合わせを使っちゃったら、当方オリジナルな技を使用した、利用したという事になっちゃうと思います。
そんな感じでお願いします。




2017.12.29追記。
9月から告知致しておりましたが、予定通りコメント蘭を削除させて頂きました。
今までコメント頂きました皆様には感謝申し上げます。ありがとうございました。
一部の行に取り消し線を追加致しました。





by ca3080 | 2013-10-11 23:51 | オーディオ&電子工作
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