あまり見掛けない方式の電子スイッチ式ATTを作ります。
回路は簡単ですが、本稿と同じ方式の作成例を見た事ありません。初公開? 有名な4066は不採用です。アナログスイッチICはON抵抗や歪みが問題です。 まあとにかくアナログスイッチICは使いません。 【電子スイッチ式ATT回路図】 さて当方の提案する方式は、簡易型ATTをミュート回路で作成する方法です。 ミュート回路なので難しい所はありませんが、けっこう深いですよ。 回路図です。(クリックで拡大) *R1〜R12は好みの高音質抵抗を使用します。 減衰量や各段の間隔なども好きに設定すれば宜しいですな。 *Q1〜Q11がスイッチになる。ただそれだけ。接点による音質劣化は心配無用。 E-Cが逆だよ? と思った貴方はミュート回路の勉強が必要です。 まあE-Cはどっち向きでも大した違いはありません。 そして、制御用スイッチSW1を1個だけで多チャンネル化が可能ですな。 *Q1〜Q11は、ミュート用に開発された専用トランジスタを使用します。 回路図には3品種が記載されてますが、それ以外のTrは推奨できません。 VBE逆耐圧が非常に大きい事でVBE逆漏れ電流が流れません。さすが専用Trだ。 漏れ電流は音声信号の振幅と、Trの温度に依存するんで確認が面倒ですよ。 他にもON抵抗や端子間容量など、要確認ポイントが多いです。 素直に2SC3326を使うのが楽で安心です。 *R41〜R51はOFF時の逆バイアスです。 これが無い場合、LchとRchの音声が逆位相になった時だけ問題が生じます。 同じ正弦波をL/R両方に入れてモノで実験すると症状が出ないんですよね。 ミュートTrのベースは両chで繋がってますから、漏れ電流でON動作します。 よって完全にOFFするために逆バイアスを掛けておく必要があります。 逆耐圧が高いTrだから出来る技ですな。(要スペック確認。) *D1〜D11は上記の逆バイアスに加え、L/R間の完全分離をフォローします。 *C1〜C11はチャンネル間のクロストーク抑制用です。 D1〜D11も数ピコの端子間容量がありますな。その容量で漏れてくる。 そのわずかな音声信号の漏れをC1〜C11で吸収します。 エミュレーターでの効果確認は行ってますが、実際の効果は未確認です。 検討するにもR41〜R51、D1〜D11、C1〜C11を全部取ったり外したり辛いネ。 仕事なら検討しますが、これはホビーだもん。効くらしいから使おうよ。(爆) *SW1は安物です。ノンショート型です。おおむねショート型は高価ですな。 ノンショートだから、切り替え時にはコモン端子が瞬間オープンになります。 つまり切り替えの度に瞬間だけ最大音量になってボコッと鳴きます。 そうならない様に、Q61,Q62,R62〜R64を設けます。 コモン端子がオープンならば、Q61のベース電流がOFFになります。 その結果Q62のOFFが解除されて、Q1のベース電流を供給します。 *SW1がポジション12の時はR52によってQ61のベース電流を流します。 *R61,C61,R64,C62は電源のリプルフィルタですな。 【組み立て例】 もうこれは簡単ですな。部品の選別も不要ですし。 ノブが緩い場合はシャフトのDカット部分にテープを貼ると改善。 【特性など】 *歪み率ですが、当方の環境では単純に抵抗分圧したものと同じです。 つまり歪みの劣化は無し? 当方の環境では歪みの変化が確認出来ません。 (CdS方式だと信号レベルが大きい程ちょっとだけ歪みが悪化するんですよね。) *次にクロストークです。心配項目ですな。 測定したら高域で10dB程悪化しますが、全く問題無しという範囲でした。 下記の結果です。 *次は周波数特性です。これも懸念がありました。 トランジスタ端子間容量が、11ポジション分もぶら下がる訳です。 それではという事で、f特を測定してもほとんどフラットみたいです。 よって矩形波の応答を確認してみました。 まずはシリーズ抵抗R12の4.7kΩだけを付けた場合です。ATT回路無し。 これに対して、Trスイッチ式ATTの波形はこうなりました。 まあ予想していましたが、こんな程度に収まっているので問題無しです。 ちなみにCdS簡易型ATTではこうなりました。 まあ普通ですな。 Trスイッチ式ATTも、減衰させてインピーダンスを下げれば改善します。 以上の様に鈍りはありますが問題は無い範囲でした。 あと10ポジションくらい追加できる余裕があるかも知れませんな? 以上の結果から予想するに、ミュートTrの代わりにMOSFETを使うのは 端子間容量の関係で怪しそうです。 【Trスイッチ式ATTの音質】 うーん非常に良い。(爆) スイッチと抵抗だけで組んだATTと同じ? 波形鈍りの影響とか判りません。 違いがあるかも知れませんが、気のせいとか先入観を払拭できませんな。 よって結論は、 ・細かな調整、減衰量 → CdS標準型ATT ・細かな調整、簡単に作成 → CdS簡易型ATT ・音を重視、簡単に作成 → スイッチ式簡易型ATT ・音を重視、接点の経年劣化無し → 電子スイッチ式簡易型ATT コメントとして、抵抗2個ごと切り替える標準型のLパッドATTについて。 音声信号がスイッチの接点を2個分通過します。そこが怪しい所です。 スイッチも高価ですし、高音質の半導体化回路というのが考えつきません。 (高音質じゃない奴は出来ますよ。) 【次回以降の話】 この後にプリアンプとか考えてましたが、実際には音も劣化しますし不要かな? DACの出力レベルが可変できてゲインアップする設定なら良いんじゃないの? という訳で、先にDACを何とかしようと思います。 でも、ちょっと問題があるんですな。季節的にちょっと怖いんですよ。 夏だと言うのに冷たい風がす〜っと首筋を通っていくと、アイツがやって来る。 あの恐ろしい、エアコン電気代が。(爆) 当方宅は怖いんで毎日スイッチOFF状態で、回路をいじる環境じゃありません。 汗ダラダラ意識もうろうで記事の投稿はいつになるやら。秋か?(爆) (まあネタの仕込みが出来ていない訳です。) 【注意事項】 上記は当方のオリジナル回路と検討結果なので勝手に真似しないで下さい。 記事を鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。当方は一切サポート致しません。 マイコン制御も可能だけどお金くれたら教えたげる。(爆) 以上です。
by ca3080
| 2013-06-21 19:49
| オーディオ&電子工作
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