ヘッドフォンアンプ⑦出力段の音質差

前回と同様に、トランジスタを交換し音を追求します。
まあだいたいこの辺で道に迷う人が多いですな。



この時点で単純にアンプのTrを変更しても電源ほどには差が出ません。
それで「出力段のTrは音に影響が出にくい」と結論してしまう。
エヘヘ修行が足りないですよ。(爆)

【負荷を正規の物に戻す】
楽な方法という事で8Ωスピーカーにつないで聴いていましたが、
音の差が判りにくければ音量を上げるしかありません。
でも8Ωスピーカーで音量を上げるとさすがに歪率の影響が出ます。
ハープ演奏、ピアノ演奏、エコーが効いた部屋でのフルート演奏など、
音が濁りますな。
そういう訳で、しょうがないのでヘッドフォンを使用します。(爆)
当方の奴はテスター測定で40Ωのヘッドフォンです。


【アイドル電流は増やすべき?】
良く聞く話で、アイドル電流が少ないと「音が荒れる」という状態。
殆どの人は歪み率が関係してると思ってますが、どうでしょう?
当方は電源の駄目ケミコンが原因と判断しています。
音声信号が急に動き始めても、ケミコンにとって急激な充放電はキツい。
電解液のイオン伝導が「ザザ〜ッ」という、ケミコンの悲鳴ですな。(爆)
だから駄目ケミコンを常に助走状態にさせて出遅れない様にする。
波の上下について行き易い様に、谷の底上げをする。
それがアイドル電流増加の効果ですよ。
そういう訳で、当機は非該当ですからアイドル電流は2mAでOK。(爆)

でも相変わらず出力段Trの差は少ない。じゃあ何でしょう?
CDPとかRCAケーブル、ヘッドフォンそれ自体が駄目なら話になりません。
精神集中が足りないとか?(爆)


【ボトルネックは何処に?】
トランジスタの音質差がマスクされる位に、何かが邪魔している訳です。
そういう所に気がつくかどうかが重要です。
・劣化場所はボリューム(可変抵抗)です。
 「出力段のTrよりも可変抵抗の方が劣化は大きい。」という経験則。
 いつも聞く角度の抵抗値をテスター測定し、抵抗2本の分圧回路に変更します。
 一時的な処置ですが、高音質アッテネータを作るまで我慢です。(爆)
・次にゾーベルネットワークも少し影響がありました。
 定電圧電源の音が改善された事で聞き取れる様になりました。
 C5,R11を変更します。(抽出した回路は下の方に掲載します。)
 0.01uF+10Ωは音の広がり奥行きに悪影響が出ました。
 音の劣化が少なく発振防止できる定数は1500pF〜3300pFくらい。
 抵抗の方は発振しない範囲で大きめに選択します。
 という訳で2200pF+3.3Ωに変更しておきます。
 (品種や定数の微調整は最終仕上げの時になりそうです。)
・入力DCカットのコンデンサ。これは問題無しでした。
 あらかじめ良い物を使用すれば心配無用です。
これで聞き分け出来る環境が整いました。
(いずれも出力段を聞き分ける便宜的な暫定処置という事をお忘れなく。)


【メタルキャンを使いたい】
メタルキャンの熱暴走。そこを色々と考えて実験したりしましたが、
理由が判りましたよ。
TO-18というパッケージに問題があるんですな。
TO-18は半導体チップの熱が外に流れにくい構造でした。
TO-39やTO-5なら半導体チップは金属キャン上にあるので放熱良好です。
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温度検出ダイオードD2は品種とアイドル電流値により適宜決定します。
チップダイオードは接着剤の代わりにワニス等を塗れば密着して良好です。
写真の2N4033の場合はD2に680Ωを並列して電流値を調整しました。
その時のアイドル電流は5mA程度です。
2N4033以外にTO-39型で使えそうな入手が容易な物は、
PNPでは、2N2905A(中身はTO-18の2N2907Aと同じ)。
NPNでは、2N2219A(中身はTO-18の2N2222Aと同じ)。
いずれもSTMicroの現行品で、扱っている部品屋さんも何件か有ります。
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【MOSFETの音も聞いておきたい】
オーディオ用途で有名な、2SK1056〜1058,2SJ160〜162
コンプリは無視してテキトーな組み合わせでOKですよ。(爆)
普通のMOSFETと違う変わった特性で高周波用?
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MOSFETのゲート抵抗の品種が音に影響するという方もおられますが、
あれはD2の代わりに抵抗を使うからです。ゲート容量充放電の悪影響です。
バイアスにはD2のダイオードを使ってスッキリ解消です。
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フィンがソース端子で、ヒートシンクを付けると小さい容量に見えます。
アンプのつもりで作ったら、実は高周波発振回路だったりします。(爆)
よってヒートシンクに取り付けない用途にお勧めです。(爆)


【出力段トランジスタの音質】
やはり回路形式の理由から、PNPは音の差が出にくい感じがあります。
面倒なので候補に入れて無いTrもあります。

PNP
1:2N4033,TO-39:実体感と空間の再現が良い。滑らかで透明。
2:2N2905A,TO-39:広がり奥行きが良い。中域が少し濃い。
3:2SB744:空間表現がそこそこ良い。
4:2SA1306:少しドライな印象。明瞭だが奥行き足りない。
5:2SA817A:少しボケる。
6:2SA1015:少し固く前に出る音。わずかに粗い。

NPN (甲乙付け難い物は同じ順位にしました。)
1:2SC1008,TO-5:2SC781に似て色艶あるが空間的で芸術的。
1:2SC1216,TO-18:透明で明瞭。奥行きも細かく聞き取れリアル感あり。
2:2SC781,TO-5:響きが美しく艶が乗り広がり奥行きがある。
3:2SC639,TO-18:低音が軽めだが艶があり空間表現が良い。
3:2N2222A,TO-18:少し濃密だが広がり奥行きが良い。
4:2SC2078:ドライなモニター的雰囲気の音で色づけが少ない。広帯域。
5:2SC968,TO-18:ボーカル帯域だけが非常に濃い。エフェクター?(2SC971)
6:2SC2314:2SC3623より空間的表現がぐっと高まる。
7:2SC3623:2SD794Aに似ている。
7:2SD794A:少し濃密で伸びがある。
7:2SC3331:2SC3421よりも滑らか。
8:2SC3421:横方向の広がり感がある。押し出し感もあるがなめらか。
8:2SC1843:少しドライな印象で線が細い印象。モニター的。
9:2SC3326:若干ボヤケるが広がりを感じる音。(2SC2878)
10:2SC1013:少し柔らかく艶も乗るが横に広がるのみ。
11:2SC1815:しっかりした前に出る音。横方向への広がり。

やっぱり前回の定電圧電源の評価結果と同じでした。
いずれも僅差なんで順位が上の方であれば楽しめる良い音ですよ。
  う〜ん2N4033ですか? 2番手が2N2905A。
  RSで扱ってる様ですな? 今後も使いそうなんで入手するかな?
  NPN側は手持ちに余裕があるんで2SC1216かな?
  2SC1216は40Ω負荷なら大丈夫みたいです。熱暴走には至らないっぽい?


【そしてMOSFETの音は】
2SJ162+2SK1058の順位は、2SB744+2SC2078に近いグレードでした。
バイポーラと比較して少し優しめの音で、低音も若干ソフト傾向。
アイドル電流を20mAに増やしても意味無し。音の変化は殆ど無しです。
パワーアンプに使うと弱い音ですが、ヘッドフォンアンプには良いかも?
温度補償の熱結合も不要なので簡単です。
(音は優しめですが、価格はキツめでした。)


【その他】
・Ic定格が50mAのトランジスタは当機には使用出来ません。
 それらはプリアンプの実験を行う時に使ってみようと思います。
・かなりの高音質になってきましたが、まだ追求する場所は多いです。
 次は入力段のJFETと、電源の0.1uFあたりを確認します。
 入力のDCカットコンデンサは影響が出にくいのでその後です。


【注意事項】
上記は当方のオリジナル回路と検討結果なので勝手に真似しないで下さい。
記事を鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。当方は一切サポート致しません。
まあ簡単に良くなる方法はですな、酒です。(爆)

以上です。
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by ca3080 | 2013-04-05 17:38 | オーディオ&電子工作
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