DEPP-HPA④MOSFET版・後編

長らく休ませていただきまして有難うございます。
当方の親族が〇〇して逝く寸前となり入院しましたが持ちこたえた様です。
ひとまずは安心して投稿を再開できそうです。





MOSFETの続きという事で、DEPP回路に活かせるMOSFETを探す訳ですな。
基本的な回路は下図の感じですな。
物理的な選択肢につきましては前回の記事③をご参照。

バイアス回路をR17とR18の分圧にする事で調整可能にできます。
e0298562_18522789.png



そして前回は2SK4150を実験しました。
2SK4150は動作的には無問題ですが低音が弱かったです。
普通のダーリントン版と似た様な音質ですが、高域が若干滑らかでした。

それにプラスして、細部が教科書的な回路ですと音も良くありません。
電源の12VレギュレータICであるNJM7812は音質も雑音も問題がありました。
そんな訳で、下図の黄色(&灰色)で示した音質対策を盛り込みました。
e0298562_19003151.png
そして上記回路の様に、広範囲に調整できるバイアス回路に変更します。
様々なVGSに対応出来る訳ですな。
この回路を使用すれば2SK4150以外のMOSFETも対応可能になります。












【基板の改造】
下図は2SK4150用に作った実験基板です。
e0298562_19082441.jpg

この基板をいじります。
MOSFETの部分をソケットにしまして、下図の様に改造しました。
e0298562_19094415.jpg
e0298562_19094834.jpg














【2N7000を確認する】
置き換え可能で入手も容易な部品として2N7000があります。
手持ちの2N7000からVGSバラツキを測定してみた結果が下図(表)です。
e0298562_19123569.png
テーピングじゃなくてバラ品なのでバラツキもありますな。
まあ同特製の2個ペアが取れればOKですから、上表からしますと3ペアが得られました。
ペアを選別するには最低10個くらい必要なのかも知れませんが、保証はできません。

そして2SK4150と比較してみる訳です。

下図の様にLchとRchでそれぞれ別のMOSFETを取り付けますと比較が容易です。
e0298562_19165740.jpg
VGS調整を忘れずに。
トリマー抵抗と同時に頭のネジも回したほうが良いでしょう。(爆)
必須!セルフケア!(爆)












【2N7000を採用した場合のレベル差】
電源をONにし、おおまかに確認しました。異常動作にはならない様です。
次に出力波形を比較してみました。
正弦波の形はどれでも正弦波ですが、利得の差とか、最大出力の振幅は異なります。
e0298562_19301091.png
おっと2N7000にすると出力レベルがけっこう落ちますな。
これはON抵抗が要因では無いと言い切れます。gmの差かな? 判らん。
オープンループ利得が足りて無い感じがします。これはちょっと気になりますな。
しかしまあ保留しまして、
引き続きクリップ波形も見てみました。
e0298562_19340785.png
んー2N7000を使用しても2Vrmsくらいは出る様です。
入力レベルを上げれば出る、という事ですな。単純に利得が下がってる。

そして完全にクリップさせた波形です。
e0298562_19355246.png
んー2N7000でも、そこそこ出ます。
本当に単純にレベル差?











【2N7000を採用した場合の周波数特性】
f特ですな。これはちょっと・・・
e0298562_19382928.png
あれれれれれー、2N7000は低域がダラ下がりです。
1kHz基準で見ますと0.25Vrms入力時には20Hzで2dB落ちてますな。
こりゃNGかな?

いやいや?
2N7000を差動2石だけで組めばこういう特性でしょう。
そもそも最大定格のPDが足りていませんし、熱で故障するかも知れません。
しかし2N7000を前段に使ったインバーテッド・ダーリントンなら大丈夫かも?
そんな訳で検討確認を続けてみました。











【2N7000使用時の歪率】
歪率をそのまま2SK4150と比較するには出力レベルが異なっていますので、
下図の様な片チャンATTを使ってLch/Rchの入力レベル調整をしました。
e0298562_19473904.jpg

測定結果が下図です。
e0298562_19492873.png
んー、まあそこそこですな。(爆)
若干歪率が悪い程度で特に問題はなさそうです。
まーgmが少ないのか何なのか、それなりの特性。

2N7000に替えての音質ですが、
2SK4150と比較しますと低音がさらにヘロヘロです。(爆)
しかし音がツルツルで空間に広がるリバーブの透明感などが優れている感じです。
おもしろい!













【RHP020N06はどうなのか】
次は若干ゲート容量が大きい品種です。
性能は特に問題なさそうなんですが一応は確認しておきます。
その前に、
こいつは面実装です。
e0298562_19540423.jpg
VGS選別するんですが、
みの虫クリップで足を掴めないですな。
ICクリップで何とかできました。キてますな。(爆)
e0298562_19541063.jpg
手持ちのRHP020N06ですが、
テーピング・カット品のためか全て揃ってました。
VGS=1.9V

更に選別以外に、
こいつは基板に装着した状況ではじめて熱的なスペックを満たします。
よって広い銅箔の基板に装着しないと熱で死んじゃうかも知れないんですよ。
今回は実験という事で、下図の様な方法をとりました。
e0298562_19592235.jpg

組み入れて測定中!
e0298562_20003826.jpg
確認結果ですが、2SK4150と同じです。
測定結果としては差が見られません。

音質的な所ですが、
RHP020N06版はバイポーラのインバーテッド・ダーリントン版より音が悪いですな。
全体的に少しくすんでいて他の版と比較するとキラメキ感が無いですな。
音の伸びが少ない。
駄目か?










【BS170も確認】
今回のDEPP回路に対して、
データシートのスペックを見る限りにおきましては最も適合しそうな品種がBS170。
VGS選別も下図表の感じでした。結構揃ってますな。
e0298562_20084734.png
4ペアが取れました。
皆様が同様にペアを得られるかは無保証。

下図は2N7000(左)と、BS170(右)を装着した状態です。
間違えない様に頭にマーキングしました。
e0298562_20110964.jpg
色々測定してみましたが、
2N7000とBS170は区別ができないくらい似た特性でした。
それをもって音質も同じと判断する人はアホです。(爆)

音質ですが、
BS170版は2N7000より硬いキツい感じの音がしますな。クセが強い。
同じ音とは言えません。2N7000の方がだいぶ良い感じです。
BS170版はインバーテッド・ダーリントン版を高音質化した奴より悪いです。












【UHC-MOSFETはどうなのよ?】
超低ON抵抗、大電流が駆動できるUHC-MOS!
手持ちがありまして、2SK1297を実験してみました。
e0298562_20151328.jpg
実験する前に、
2SK1297ですが、前回の記事③では候補として上がっておりません。
なんでなのか?
ゲート容量が大きすぎるから。

実験している写真は前回の記事③の最後の写真。モザイクは各自が除去。(爆)

そして下図はf特の比較です。
e0298562_20184367.png
やっぱり駄目ですな。
高域が落ち過ぎます。20kHzで-3dBです。
ゲート容量を駆動するために前段にバッファが必要です。
しかし今回のDEPP回路と致しましては冗長な回路となりますので不採用です。

しかも歪率についても大した変化はありません。
e0298562_20230236.png
そもそも候補にすら入れておりませんし、今回の回路にUHC-MOSFETは使えません。
適材適所ですな。それが解らず苦労している人も居るかも知れませんが。(爆)











【MOSFET版のまとめ】
まず歪率ですが、
下図の感じで、だいたいどれも同じです。
e0298562_20302140.png
言える事は、ON抵抗は関係なし。gmも関係なし。

この原因はVGSカットオフ付近の直線性だと思います。
MOSFETはどんな品種でも下図みたいに曲がってますもん。
e0298562_20391428.png
あとは低音が痩せるとか、音量が下がるという品種があるという事ですな。
しかし、そんなマイナス要因を覆す音質効果がある様な気がしました。

音質的な所をランキングするとこんな感じでした。
1 2N7000版 低音が弱すぎだけど透明感と艶やかさは捨てがたい。熱で死ぬ?
2 2SK4150版 バイポーラを若干上回る、そこそこのレベル。
3 バイポーラのインバーテッド・ダーリントン版
4 バイポーラの普通のダーリントン版
5 BS170版 キツイ音でした。
6 RHP020N06版 若干ですが、何かカサカサしたノイズっぽさ。

上記ランキングは、すべて高音質化対策を施した回路です。
基本の回路のままではキツい音や詰まった音になりがちです。
このランキングは今回のDEPP回路にのみ適合されまして、しかも当方の感想です。
他の回路に採用する場合にはランキングも異なった結果になるでしょう。











この次は、
2N7000は低音がカスなのでインバーテッド・ダーリントン接続にしてみます。
はたしてバイポーラの時と同じように、MOSFETも低音がブリブリ鳴る様になるのか?
しかし透明感と艶は損なわれないのか?
それは実験しないと判りましぇん。











当方は一切のサポートを致しません。だって古典回路だもん。(爆)
古典回路なので誰でも自由に自己責任の範囲にてご利用可能です。
局部帰還にして独自化した部分も大した方法じゃないのでご利用OKと致します。

しかし当記事の定数や部品のまま使うのではなく、自分で設計して下さい。
解らない所があったら参考書を見れば載ってますよ。
そして皆さんが設計されたものに関して当方は一切関知致しません。
たまたま定数が一緒でもそれは偶然の一致です。当方は無関係。(爆)
面倒な事を持ち込まれる可能性があるので、お墨付き(許可)は付与致しません。



[PR]
by ca3080 | 2017-09-01 21:17 | オーディオ&電子工作
<< DEPP-HPA⑤FET-In... 緊急連絡用コメント欄 >>