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LME49600をいじる

出力電流250mAが得られるバッファICです。歪率0.00003%?(爆)



2016.06.29注意事項です。このページに掲載した回路図ですが、
たくさんの箇所でVCC電源なのにマイナス電圧を書いちゃってました。
見た人は心の中で訂正してね! 僕ちゃんバカ過ぎて御免。(爆)





【バッファ回路と音質】
LME49600に行く前に、まずはバッファ回路の話です。
電圧利得は1倍です。負荷電流を流しても電圧は下がらないのがバッファ回路です。

波形の振幅が2.5V、負荷抵抗が500Ωとすれば、
2.5V÷500Ω=0.005A
このくらいの能力なら多くの電子部品で実現可能です。

色々な回路がありますので音質も比較するのは簡単ですな。
色々比較してみますと、OP-AMPで組めば歪率が非常に良い物ができます。
ところが、OP-AMPで組むよりトランジスタの方が高音質なんですよ。
LME49600をいじる_e0298562_8165511.png

LME49600をいじる_e0298562_8171838.png

*発振しない事を確認。同じ電源回路で比較。
*JFETやバイポーラTrで上記の回路にしますと歪率はそんなに良くありません。
*バイポーラTrで上記の回路にしますと出力電圧が約0.6V下がります。
*NJM4580と2SC1815の比較なら余裕で2SC1815が勝てちゃうかも?(爆)
*トランジスタの音質は当ブログの過去記事をご参照。

出力電流を5mA以上流す場合にはマイナス側が定電流回路じゃ駄目なので、
プッシュプル構成にする必要があります。いわゆるSEPP回路ですな。
よく見る普通の回路が下図です。
LME49600をいじる_e0298562_8281575.png

*C1は発振防止です。C1を大きすぎる値に設定すると20kHzの歪が悪化します。
*OP-AMPの部分をディスクリートで組んでも音は最高にはなりません。
 当方は、差動回路とオールオーバーのNFBが音質劣化要因と思っています。

まあ良く見る回路は下図のダイアモンドバッファですな。SEPPですな。
OP-AMP不使用のダイアモンドバッファならそこそこの音質です。
LME49600をいじる_e0298562_8315528.png


まあSEPPをそのまま使うという事ですな。
そこでLME49600の話になる訳です。
下図はLME49600の内部回路ですが、ごく普通のダイアモンドバッファです。
OP-AMPと組み合わせないで、このまま使いましょう。(爆)
LME49600をいじる_e0298562_8355271.png








【歪率0.00003%の話】
歪率0.00003%との事みたいですが、データシートにはFigure26)とありまして、
Figure26にはOP-AMPと組み合わせて測定するという内容が書いてあります。
引用いたしますが、こんな回路を使って測定したら0.00003%になる。との事です。
LME49600をいじる_e0298562_8393928.png

これをOP-AMP不使用で測定したらどうなんの?
という疑問をweb検索したら、
メーカーさんのブログに測定結果がありました。→0.00003%の超低歪率を謳う〜

当方の自作ヘッドホンアンプと似たような歪率です。
だって普通のSEPPなんだから同じ性能になりますよ。
つまりLME49600じゃなくても、下図の回路でも同じという事です。
LME49600をいじる_e0298562_8281575.png

OP-AMP不使用運動実施中。(爆)








【LME49600の歪率を実測】
一応ですが確認という事で、基板に組んで実測してみようと思います。
回路図は簡単に、下図の感じです。
LME49600をいじる_e0298562_8495541.png

*ひとまずはBW端子はオープンにしました。
*FB102はEMIチップフェライトです。発振防止ですな。
 R1と並列に100pFくらいを入れてもOKですが、
 EMIチップフェライトが使用可能かという事も確認してみました。
 これが使えれば音質的なメリットがありますしね。
*入力カップリングのC3を設けていますが、
 バイアス抵抗R1を大きめに100kΩとして、オフセット電圧も確認してみました。
 オフセット電圧は下の方で記載します。

測定実験用基板です。
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*回路図に入っていませんがデカップリング1000uFに小容量を並列にしています。
 B特製0.1uF/100Vのセラコンと、2700pFのC0G特製のやつです。

これで電源をつないで、パソコンのオーディオインターフェイスで測定しました。
歪率の結果です。
LME49600をいじる_e0298562_8551980.png

*何かちょっと悪いですな。予想以上に悪いです。(爆)
*入力の方で悪化している訳ではありませんな。
*無負荷ではそれなりに良い値です。

次はBW端子をマイナス電源VEEにショートしてみました。
LME49600をいじる_e0298562_8575247.png

歪率の結果は下図です。
LME49600をいじる_e0298562_8582831.png

*おおマトモになった。(爆)
 普通のSEPP回路と同じくらいの歪率が得られました。納得の結果です。
*つまりBW端子っていうのはアイドル電流を増やす端子だなコリャ。

★0.00003%の数値に囚われて目を輝かしちゃいけません。(爆)
★BW端子はマイナス電源VEEにショートして使おう! 必須!





ここから以下は、
実用的なヘッドホンアンプの回路を考えてみます。









【駄目な電源回路もあります】
良く見るこんな回路がありますな。電源を抵抗で2分圧にするやつ。
レールスプリッターって言うんでしょうか?
LME49600をいじる_e0298562_942918.png

どうにも音質が駄目です。当方はこれなら捨てるね。(爆)
電解コンの音がします。
電池を2分圧するセコい方法じゃなくて、電池を2個使ってプラマイ電源ですか?
こんな回路もよく見ますな。根本的な音があんまし変わんないんですよね。
LME49600をいじる_e0298562_963515.png

*電解コンの音をなるべく排除すべく、DCアンプ構成にしてみました。

んー、良く考えましょう。
まずは電池です。内部抵抗があるでしょう。web検索して調べてみました。
ニッケル水素電池の内部抵抗 0.2Ω
アルカリ乾電池の内部抵抗 0.5Ω〜1Ω
これから推測しますと、
9Vの006P電池は乾電池6直列なので、0.5Ω x 6 =3Ω   3Ωもあります!
ユルボケ電源ですな。

電解コンデンサを並列に入れるから大丈夫なんでしょうか?
コンデンサは周波数によりインピーダンスが変わる、いわゆるリアクタンスですな。

電解コン1000uFで100Hzの場合は、
Z=1/(2πfc)
 =1/(2*π*100*1000E-6)=1.59Ω  デカくないかい?

グラフにすると下図になります。
LME49600をいじる_e0298562_9132798.png

*超低インピーダンスのコンデンサも同じ特性です。
 だってこのグラフは、理想のコンデンサ特性なんですよ!(爆)
*100Hzでは計算通りで1.59Ωあります。

上記の駄目電源ですな。インピーダンスをグラフ化してみました。
LME49600をいじる_e0298562_9174726.png

*あまり変わりません。電解コンデンサが支配的という事です。

やっぱり高音質にするにはレギュレータ回路が必須なんですよ。
電源インピーダンスを低くして、濁らずボケずパンチもあり透明でもある音を出す!
LME49600をいじる_e0298562_9231614.png


という事で、
まあまあ音が良いという定評の、良く見る下図の電源を考えてみました。
負荷100Ωに66.5mA流れた状態で、負荷変動V2を印加してみました。
LME49600をいじる_e0298562_9254563.png

*可聴範囲をフラットにするにはC3は4.7uF。しかしインピーダンスは低くはない。

電源インピーダンスをグラフ化できましたので掲載します。
下図のC4を追加してシミュレーションすれば可能でした。
大容量(10Fとか)にすれば無視できましてV2も電源にショートしません。
LME49600をいじる_e0298562_9391665.png

*C3を220uFにする等でインピーダンスは下がりますが、電解コンの音がする。
*この回路は電流が少ないプリアンプ程度に用いるのが適応範囲で、
 ヘッドホンアンプ〜パワーアンプに使っても、そんなに良くはないという事です。

*この回路では、C3の電解コンを変更しますと、
 種類ごとの特徴ある音を十分に聞き取る事ができます。
 コンデンサに影響される部分があるという事ですな。
 しかし、次に記載しますオリジナル回路にしますと判りにくくなります。
 回路の特性がコンデンサより勝っているという事ですな。
 








【オリジナル電源回路】
もうちょっと凝った回路で電源インピーダンスを下げるという話ですな。
可聴範囲をフラットにして、電解コンデンサの音がしない電源。
LME49600をいじる_e0298562_9412963.png

市販のICで良いものがあるんでしょうか?
無さそうです。(爆)
ディスクリート回路でも凝りすぎると音が悪くなります。
やり過ぎると何か変な音になっていく様です。(爆)
レギュレータ回路の中身がOP-AMPだったりする訳です。

当方と致しましては、今の所は最も音が良いと感じる電源回路が下図です。
当方の色々な自作機器に使用しています。
ツェナーDの付け場所がアップデートしております。
負荷電流68.85mAの時の、負荷変動をグラフ化しました。
LME49600をいじる_e0298562_946440.png

*けっこう良い性能です。
*デカップリング容量が2700pF+68pFしかありませんが、動作も安定しています。

これの電源インピーダンスですな。
LME49600をいじる_e0298562_9482242.png

*0.03Ωまで低くなっているんだから
 電解コンデンサなんか付けなくてもOKなんじゃない?(爆)
*この電源回路を使います。







【LME49600のオフセット電圧】
次ですが、
LME49600をいろいろと応用するにはオフセット電圧を対策する必要も出てきます。
原因は入力端子に流れるバイアス電流ですな。
データシートに依りますと、Input Bias Current でBWピンがVEEにショート時、
だいたい平均的には±3uAとあります。最悪でも±5uA。
自前で実測したらこうなりました。
LME49600をいじる_e0298562_10141255.png

*簡単には、R1を1/10の10kΩにすればオフセット電圧も1/10になります。
*カップリングC3を不使用でDCアンプにしまして、
 さらに信号源抵抗が低いならばオフセット電圧も低くなるでしょう。
*スペック上は最悪±5uAなので当方の実験よりも4倍悪い事もある?(爆)
*そういった簡単な対処が出来ないならば、下記の方法です。

オフセット対策ですな。
オフセット電流を補償してやればOKです。
LME49600をいじる_e0298562_1018036.png

*R3の抵抗値を個々に変更すればバラツキに対応できます。
 つまり一品物にしか使えない対策方法という事です。(爆)

この対策による効果は下図の波形です。
電源ONとOFFの時を見てみました。横軸ひと目盛りは1秒です。
LME49600をいじる_e0298562_10225973.png

*ゼロに合わせ込んでいませんが、オフセット対策の効果は見込めますな。
*ちょっとプチッと言う様になったか?(爆)
 トレードオフか?
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*電源OFFの時はPOP音にも効果がありますな。

当方の持っているLME49600はすべてプラス電圧にオフセットしていましたが、
マイナスになる場合もあるんでしょうね。(爆)
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*1品物で対応。ハンドメイド専用。(爆)








【ヘッドホンアンプを作ってみんべ】
ちょっと長かったですが、色々と調べて実験結果も得られました。
情報が足りないと碌な物にならないんですな。前準備は大切ですな〜。
これでやっと作れます。(爆)
回路は下図になります。図をクリックで拡大可能です。
LME49600をいじる_e0298562_10301680.png

基板も作りました。
LME49600の音質確認用なので電源スイッチは付けていません。
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あくまで音質確認用です。

チャラッと動作確認しまして、音を聞いてみようと思います。
何か電源電圧を9Vから6.8Vに下げたら歪率が少し悪化する傾向がありますな。
まあ音質に直接作用する様な悪化ではありませんので大丈夫です。

入力ボリュームをつけるなら下図となります。
LME49600をいじる_e0298562_1155757.png

VR周りのCR部品は過去記事で音質対策として何度か記載しました。








【LME49600の音質】
ひどくはありません。
やや良い感じの普通の音ですな。(爆)
比較対象は当方の過去記事に掲載した奴です。
・メタルキャンHPA
・ポタアン(爆)Ver.2

奥行き広がりなどの空間表現、にごらないシャープな音像定位も共通ですな。
これらに効いているのは、差動回路を不使用。オールオーバーのNFBを不使用。
上記の高音質レギュレータ回路を使用。メタルキャンTrを電源回路に使用。
デカップリングコンデンサは2700pFと68pFのみ。
信号経路に抵抗無し。GNDポイントや引き回し。などによる結果でしょう。

低音の差はどうやらレギュレータ回路の影響が大きい様ですな。
モチッとしたバスドラの音などで比較しますと、
今回のLME49600はメタルキャンHPAに僅差です。
ポタアン(爆)Ver.2は低音が負けています。あれは簡易電源回路だったからね。

中高域は結構違います。
メタルキャンHPAやポタアン(爆)Ver.2は鮮やかでクリア、伸びがありますが、
今回のLME49600はフォーカスが甘く厚みがありまして、少し分解能が劣る様です。

全体にはLME49600も嫌な音ではありませんが、高域の伸びが足りないので
長時間聞いていると少々疲れる音かも知れません。
ハイハットの「チャッ」という音が曇ると同時にカスレると言いますか、
アナログシンセで作ったハイハット音の様な粒子感を感じてしまいます。

メタルキャンHPAやポタアン(爆)Ver.2では
ハイハットの音も本物みたいな真鍮の響きを感じさせる音です。


ん〜〜〜、
つまり、LME49600はバイポーラTrで組んだSEPPであって、
2SC3421あたりか、2SC3423みたいな音の傾向かも知れません。
2SC1815とは違う感じですな。
普通のトランジスタ並みの音のボヤけとか曇り、粒子感がある様な感じです。

メタルキャンTrみたいな最高な音には届きませんが、
非常にお手軽にSEPP回路が組めるという事です。
2SC1815でSEPPを組むよりも良いんじゃない?(爆)
まあ、内部回路もそんな感じだから。(爆)






んで、何に使うんべ〜?(爆)








【注意事項】
実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の電源回路や検証を断りもせず
商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。
記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。











2017.12.29追記。
9月から告知致しておりましたが、予定通りコメント蘭を削除させて頂きました。
今までコメント頂きました皆様には感謝申し上げます。ありがとうございました。



by ca3080 | 2016-06-26 11:17 | オーディオ&電子工作
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