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ER-4S その② 音質改善を考える

前回の投稿では等価回路を作って検証してみましたが、
今回はそれを利用して改善策を考えます。




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【前回のおさらい】
詳細は前回の投稿をご参照願います。
イヤホンER-4SとER-4Pはトランスデューサーの部分は同じですが、
ケーブル内蔵の抵抗値が違うという話でした。下図ですな。
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ケーブル抵抗の差が、感度と周波数特性の差を作り出していた訳です。
下図はそのシミュレーション結果ですな。
ER-4Sは究極のフラット性能と言われていますが、それに対して
音量が4倍(12dB)大きく聞こえるER-4Pはf特が犠牲になっていた訳です。
下図の様に20kHzで7dBの差が生じて高域が下がっている訳ですな。
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原因は上図の通り0dBで頭打ちになってしまうからです。
・ER-4Sは高分解能ですが線が細く豊かな音ではありません。
・ER-4Pは艶のある魅力的な音ですが高域が下がるという特徴です。
このケーブル部分を何とか変更する事によって、改善になったら嬉しいな?
と考える訳で御座います。





【抵抗値を変えてみる】
100Ωと22Ωの間にすれば良いんかいね?
と単純に考えたりもします。
しかし半分を狙って47Ωにしてみますと、既に高域は減衰しつつあります。
と言う訳で妥協の62Ωで様子を見まして、結果から更に考えてみます。
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これをシミュレーションすると下図となります。
ビミョーにイマイチかも知れませんな。
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しかし、よく見ますと0dBに対して余裕がありますな?
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叩き起こしてやんべえ。(爆)




【なんとか上がり切った】
62Ωで上がりきらないのを何とかするのは簡単ですが、
音を良くするのが目的なので定数にもこだわる必要があります。
まあ抵抗値はなるべく小さくして、コンデンサは0.1uFにすると丁度良いあんばい。
当方的には0.1uFという容量は音の良い定数ですし。
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これをシミュレーションすると下図のグラフになります。
けっこう良さそうですな。
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それでもER-4Sに比べて若干は落ちてますな?
そこはこの様に考える事ができます。
ER-4Sは元々が出過ぎの所もあったんですな。下図です。
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ER-4Sは究極のフラットでも、2kHzあたりと10k〜20kHzあたりが出っ張ってる。
47Ωと0.1uFを使用すれば、いいやんべーに出過ぎの所が下がるんですな。(爆)
ラッキー!(爆)

ところで、ヘッドホンAMPの出力インピが高い場合は影響無いのでしょうか?
そこも考えてみました。70Ωを挿入してER-4Sとの差を見てみます。
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シミュレーション結果は下図です。全く問題はありません。
ヘッドホンAMPの出力インピを色々変更しても大差はありません。
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つまり47Ωと0.1uFの作戦は良さそうと言う訳です。

実はもう既に、そんな回路の自作ケーブルで使っていた訳で御座います。
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旧作の自作ケーブルです。





【ターミネータを付けたい!】
今回は更に、
トランスデューサーの入口に音が良くなるターミネータを追加したい!
と思いました。音質向上効果は実験では確認出来ました。でも…
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これを付けると発振しちゃうヘッドホンAMPがあるんですな。
「サー」という雑音になって聞こえる事もあります。MacBookProも発振。(爆)
R11の3.3Ωがあるので完全なC負荷でも無い様に思いますし、
68pFなんかケーブル容量程度ですよ。
それでもC負荷で発振する不安定アンプ。まったく困るでな。
そんな不安定アンプを作んじゃねーよ!とも思いますが、
世の中には少なからずあるみたいですな。

という事で、妥協して10Ωを追加してみました。
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10Ω追加の影響は少ない様です。
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総合インピーダンス特性も掲載しておきます。
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これを見ると1MHz以上でインピーダンスが下がっています。
下がりきらない様に10Ωを入れた訳ですな。13Ωくらいに抑えられています。
1MHz以上のインピーダンス特性がヘッドホンAMPを不安定にさせる訳ですな。
ピエゾツイーターなんか使っちゃったら発振しちゃうと思いますが如何でしょう?

もう不具合設計はやめてもらってですな、
発振しないAMPをおねげーしますだ設計者様。(爆)





【ケーブル回路図】
ER-4SとER-4Pの回路も一応ですが載せておきます。
当方は下図の回路では作りません。
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当方が作成するのは下図のケーブルです。
ER-4Sのケーブルは破壊しないで、新規に作成します。いつでも元に戻せます。
作り方やコネクタ等のネタは次回に記載しようと思います。
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何で47Ω以外がRRなの?
無いから。(爆)

RGという略称ですが、
もしかして栄養ドリンク?缶入りの?(爆)





記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。










by ca3080 | 2016-02-14 11:31 | オーディオ&電子工作
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