IV変換部を再検討③高域ノイズ、LPF

①と②からの続きです。



前回までの話で有望な回路方式が見つかった訳ですが、
細かな所も追求しておかないと超最高級の良い音にはなりません。
そんな所を詰めたというのが今回の内容で御座います。

当記事の上半分がノイズ対策の話。
下半分はLPF回路の話です。




【高周波ノイズ対策の見直し】
PCM1792Aの電流出力端子には強力な高周波ノイズが出力される様です。
特に50MHz〜500MHzという高い周波数領域に強い共振が生じたりしました。
これは鈍感な低周波用の回路なら気付かないでしょう。OP-AMPとか。(爆)
   ただしOP-AMPでも何らかの症状が出るかも知れません。高域の暴れとか。
   寄生発振みたいな症状ですな。位相補償が必要になるかも知れません。
まあディスクリートだから症状が明確に確認できたんですな。
悪い症状がハッキリ出るのは良い事です。原因と対策そして効果確認が容易です。

当方の自作した旧DACでは、
PCM1792Aから漏れ出るノイズを小容量のコンデンサでシャントする方式でした。
しかも何カ所にもコンデンサを追加する必要がありました。
これはもしかして、基板レイアウトや引き回しに依存しているかも知れませんな?
そんな怪しい所を直しつつ、もうちょっと効果的な方法を検討してみました。

下図は旧対策と削除対象です。
e0298562_8543657.png

対策コンデンサ(絆創膏)だらけで痛々しいですな。(爆)
こういうのを対症療法と言います。一応は保険適応内ですから。(爆)

上記の対策を、下図の対策に変更します。
かなりシンプルになりました。
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*コンデンサでシャントするのではなく、
 EMI除去フィルタでノイズの伝達を阻止します。
*フェライトビーズやインダクタに置き換えしてはいけません。

EMI除去フィルタはフェライトビーズではありません。コイルでもありません。
コイル等を使いますと共振が生じます。波形にリンギングが出ます。
しかしEMI除去フィルタはリンギングを抑える波形になります。真逆なんですな。
どちらかと言いますと、抵抗です。
e0298562_9124677.png

*上図の様にインピーダンスのほとんどは「R」抵抗の成分です。
*低周波では1Ω以下の抵抗。100MHzでは1kΩの抵抗。
 グラフから読み取りますと、1MHzでは50Ωくらいです。

FETのゲート抵抗をBLM18RK102SN1Dに置き換えて確認しますと、
高音質な抵抗器を使用するよりも良い音ですよ。
EMI除去フィルタを使う方が高音質になります。





【もう一つのノイズ対策】
試行錯誤の結果ですが下記の方法もノイズ対策に有効でした。
200MHz〜400MHzあたりの細かな沢山のノイズが6dBくらい下がります。
出力RCA端子に、直接に68pFのコンデンサを追加します。
e0298562_926412.jpg

*IV変換回路の出力バッファ回路にとっては負荷になりますが、
 そもそもRCAケーブル容量を駆動するのが出力バッファ回路の役目です。
 悪影響はありません。
*気になる場合は想定される範囲でRCA端子の負荷容量を実験し、
 発振するかどうかを確認すれば良いでしょう。
*68pFは音が良い定数です。まあ当方の気のせいかも知れませんが。(爆)




【ノイズ対策のまとめ】
回路図の変更箇所を掲載致します。
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下図のR112は旧IV変換基板の忘れ物なのね。(爆)
このタイミングで入れるしか無かったのね。(爆)
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【ノイズ対策の効果を確認】
下図は旧DACのRCA端子です。
e0298562_9433750.png

それを新しいノイズ対策に変更してRCA端子を測定しました。
e0298562_9434811.png

*ちょっとは良くなってますな。
*この対策はレイアウトの差とか引き回しの影響を受けにくいと思います。
 再現性が高いと言う訳ですな。
*当方が購入してDSDの波形などを確認した市販の某USB-DACがありますが、
 それよりも良い値です。(爆)
 某USB-DACの測定結果は次回にでも載せてみようと思います。





【LPFの検討】
次の話はIV変換の後に接続するLPFの話です。
旧IV変換基板のLPFをそのまま引き継いじゃうと進歩がありません。(爆)
折角の新しい基板なんだから、何が良いのか試聴してみるのも良いと思いますよ。
従来のLPFが高音質なのか?新しいアイデアは高音質に繋がるのか?
その結果は今後も何かに活かせるかも知れません。

旧IV変換基板のLPFですが、
2700pFと68pFのみ使用、抵抗は6.8kΩ以下にして高音質化できました。

新IV変換基板では、新たにコイルを使ったLPFを考えてみようと思います。
考えるのにも時間が掛かりましたが、2種類のLPFを追加で検討致します。
合計で3種のLPFですな。





【候補1 RC-LPF】
最初の候補としては旧IV変換で使用したLPFです。
しかし、よく確認してみたらポカミスがありました。まあいつもの事です。(爆)
測定をみっちり行うのは重要なんですな。(爆)
具体的には、IV変換抵抗を倍にしましたが、時定数も倍になっていました。
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*でもまあ、20kHzの減衰量がわずかに0.5dBくらい下がった程度です。
 耳で聴いても判らないかも知れない程度かもね。

対策は下図の様に、2700pFを直列にするしかありません。
1300pFを使用すると細いチャラい音になっちゃうので、2700pF直列!
e0298562_1071941.png

*まあコンデンサの低インピーダンス領域がメインで効いているのは
 6.8kΩの右側。C96ですから。
 2700pFを直列にする悪影響は無視できると思います。

それを更に微変更しました。
下図の様に順番を変えました。カップリングを上流側。LPFは下流に集めました。
カップリングの0.1uFを2パラにした理由は音質向上を狙った技です。(爆)
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*この回路を候補1のRC-LPFと致します。





【シミュレーション上の話】
候補2の前に、シミュレーション上の話を記載します。
PCM1792Aは電流出力なので、電流源でシミュレーションするのが普通です。
しかし出力は2Vrmsになるため+6dBと表示されてしまいます。
よってIV変換抵抗に電圧源を接続してシミュレートしようと思います。
e0298562_10161559.png

RC-LPFをシミュレーションしてみましたが減衰特性は同じです。
1kHzのレベルが+6dBか0dBになるかの違いですな。
(実際の回路としても、電圧源で駆動する場合は同じ手法で対応可能です。)





【候補2 RLC-LPF】
次の候補はコイルを使ったLPFです。
抵抗6.8kΩをなるべく小さくして音質劣化を避けようという作戦です。
代わりにコイルが必要になりますが、音は聴いてみないと判りません。
更にコイルは歪みが生じる物が多くあります。
ハムノイズなどの誘導も受けますから、磁気回路は閉磁路じゃなきゃいけません。

まあ、下図の回路を考えました。
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*変更点も少ないですな。
*減衰量が取れますな。DSDなどにも十分に使える特性でしょう。
*肩特性が良いですな。20kHzあたりのダラ下がりも改善します。
*そして、音声経路の抵抗値は6.8kΩから470Ωに小さく出来ます。1/10未満。
 この変化はかなり音質に効くと思いますが、実際に聴いてみないと判りません。

もうちょっと470Ω以下に出来ないか?
このままでは難しいですな。
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*実際に作って測定しますとシミュレーションよりもピークは控え目に出ます。
 その辺も確認して470Ωとしました。
*ピークが出ない、ダラ下がりじゃない最適に近い値が470Ωなんですな。

そんな感じでして、候補2のRLC-LPFは下図となります。
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【候補3 新LC-LPF】
普通に考えると思いつきませんが、ある所を妥協すると新しい回路が見えてきます。
これを思いつくのにけっこう時間が掛かりましたよ! つまりですな、
オーディオ用DACなので20kHzあたりはフラットとしても、
40kHzあたりの肩特性はフラットじゃなくても良いんじゃない?
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*音声経路に直列となる抵抗が無くなりました!
*音が良いかどうかはこの時点では判りません。

そんなこんなで、候補3の新LC-LPFは下図となります。
e0298562_10381151.png





【5mHのコイルはどうするん?】
実験して試聴する前に良いコイルを選ぶ必要があります。
歪まない物で、小型で、閉磁路の物? う〜ん市販品から探すのは困難ですな。
良い物が見つかっても廃止品になったら駄目ですし。
そういう時は自前で巻くんですな。手巻き寿司。(滑)

飽和するコアは使えません。「飽和=歪み」なのです。可飽和コアは落選。
そして、「同じインダクタンス値なら巻き数が多い方が低歪み」です。
つまりファインメットコアを使ってはいけません。(爆)

巻き数が多過ぎるのもナニですし、コアの入手性の問題もありますし、
巻線の太さが最適という所にも注目して決めました。
おなじみのアミドンFT-50-75です。またコレでした。(爆) 万能だなお前!(爆)
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ラリホー ラリホー ラリルレロン♪ コイルは5mHっちょボヨヨのヨン。(爆)

黄色い紙テープも超万能!(爆)
巻線は、音が良いφ0.55のPEWを使用致します。
コアの品種と巻き数が合っていればお好みでφ0.40などもOKです。
下図は半周分くらい巻いた状態と完成の写真ですが、だいたい一周半くらいですな。
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5%程度はバラ付くでしょう。10%くらいバラ付いても大丈夫でしょう。
巻き数が合っていれば大丈夫でしょう。


マイトの出番だパラッ パラッ バラ付きッ♪ (爆)





【組み立て実装】
いよいよ基板を作りまして、最初はLC-LPFの状態で軽く動作確認しました。
まずは部品面ですな。
e0298562_10594459.jpg

*GNDは銅箔テープで引き回しています。
 その上に黒いエナメル線でプラマイ電源を引き回しています。
*カップリング・コンデンサの0.1uFは面実装の部品が見えますな。
 これはTDKのC3216C0G1H104J160AAです。C0G特性品です。
 2パラにする事で更に高音質を狙います。
*ツェナは今回はアキシャルで、海外の1N751Aにしてみました。

半田面です。検討中の写真なのでフィルター部分は回路図と違いがあります。
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動作確認しまして、問題無く動く様です。
歪率もずいぶんと良い値です。(次回の掲載予定。)
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音質ですが、旧IV変換基板よりも確実に良くなってますな。
こりゃLPFもまじめに試聴して確認しなきゃなりません。
LPFの採用を決めた後に音質の総合評価をしようと思います。
まあそれは次回ですな。





【LPFを決定する】
各々のLPF回路が同じ条件になる様に仮接続します。
6.8kΩの所をスイッチで切り替えれば良いでしょう。下図は色々と実験試聴中。
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まあ色々ありまして、候補が3回路ありました。名付けてスーパースリー。(爆)
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*新LC-LPFで聴いた後にRC-LPFで聴くと若干の混濁感と粗さを感じます。
 抵抗6.8kΩの粗さの様な気がします。
*候補2のRLC-LPFはやはり中間な感じでした。コイルで音質劣化は無さそうです。
 どう考えても信号経路に直列に入る抵抗が音を尖らし曇らせている感じがします。
*新LC-LPFに変更しても定位や音像は変化無さそうですし、そして滑らかです。
 分解能も更に細かくなる様ですな。

新LC-LPFに決定!

まあ検討中に追加でいじりまして、(爆)
上図の新LC-LPF回路を更に発展させた下図の回路を採用する事と致しました。
e0298562_11233232.png

いや〜OP-AMPでは絶対に到達出来ない領域でしょう。(爆)
当方の中だけにある領域かも知れませんが。(爆)






【次回の話】
安定化電源のJFETをちょっと変更しましたのでそれを記載します。(爆)
それで終わりにします。
最終回路図を掲載した方が良いですな。まとめですな。
リファレンスナンバーも一新した方が良いですな。
各種の測定結果も掲載する予定です。






【注意事項】
実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の回路や検証を断りもせず
商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。
記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。


















2017.08.22 以下を追記およびコメント削除の通知。
皆様から頂いた貴重なご意見ですが、一部のコメントを削除させて頂きました。
コメント当事者様だけの個人的な見当違い、思い込みによる問題であり、
当記事の本題とは掛け離れた内容で他の閲覧者様には無関係と判断致しました。

皆様も「認知バイアス」に陥らず広い心にて認識ご判断頂けたらと存じます。




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by ca3080 | 2015-12-12 12:01 | オーディオ&電子工作
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