音量VR目盛りとアンプ出力の関係

たいへんな酷暑が続きましたが一段落した様で良かったです。
今回は軽いネタで、ボリュームとアンプの関係について考えてみました。




【音量ボリュームの前説】
音量ボリュームに使う可変抵抗を用意します。
定数は10kΩ。音量調整に使用するボリュームは「Aカーブ」です。
下図の3種類としました。
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抵抗値を測定するので目盛り板も用意します。下図の様にして測定しました。
ノブの回転角度は目測なので少々の誤差がありますが、まあ参考程度として下さい。
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測定の前に、「Aカーブ」という概念について少々書いておきます。
基準の音量を1Vとすると、
1V→倍→2V→倍→4V→倍→8V→倍→16V→倍→32V…
人間の感覚はぜんぶこういう感じです。ギターを弾く人ならよく判るでしょう。
弦の長さを半分にすれば1オクターブ上がります。
弦の長さを1/8にすると3オクターブ上がります。
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つまり「Aカーブ」は指数関数な訳です。

音量ボリュームの抵抗値は指数関数的なカーブになりますから、
それをグラフ化する時には対数グラフを使います。
当たり前の話なので簡単に調べられるでしょう。




【回転角/抵抗値の測定】
抵抗値の測定結果は下図となります。横軸が回転角。縦軸が抵抗値です。
ついでにですが、抵抗値が1/10になる箇所に注目してみました。
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*目盛り9〜10のあたりは変化がありません。
 可変抵抗の構造上しょうがない領域です。
 目盛り2未満は音量が1/100以下です。構造上バラ付きが大きい領域なので無視。
*抵抗値に段差があるのは抵抗体を塗布する関係の影響です。完璧にはなりません。
 どれも3種の抵抗塗料を塗っている様ですが重なり合う所に違いが見られます。
 Bカーブとは違い、Aカーブは各々のメーカーが工夫をしている様ですな。
*さて、抵抗値が1/10になる箇所ですが、目盛り板では3.2〜5くらいです。
 時計の針なら10時〜12時ですな。この結果を頭にブチ込んでおきます。

もしかして、
時計の針で10時の角度って、
いつも使っているボリューム角度じゃない?




【100Wアンプなら、どうなる?】
目盛り板では3.2〜5。時計の針なら10時〜12時。
そのボリューム角度ですが、100Wアンプなら何ワット出るんでしょう?
ボリューム最大を100Wとして計算してみました。
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まさか? 10Wくらいで使っているはずだ!

という事で10Wの出力をグラフに追記してみます。
計算してみますと、100Wの音量を1/3くらいに絞った時が10Wです。
28.3Vrmsなら100W。 8.95Vrmsなら10Wですな。
P=(V^2)/R=(8.95^2)/8Ω≒10W
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10W出力するには、目盛り6〜7に上げる必要があります。

時計の針なら1時〜2時。
爆音? エッヘヘヘ。(爆)
徐々に段階を追って考えてみます。




【計算で求める音量調整】
以上の記載は本物の可変抵抗を測定して、その結果に基づいて考えてみました。
実測値じゃなくて、理論値はどうなの?
と言っても、実用的な理論値を考えないといけませんが。(爆)

それを可変抵抗ではなく、抵抗切り替え式のATTで考えてみました。
ロータリースイッチは21接点、各々の感覚を2dBとします。
2dBステップならば1.26倍ずつ音量を調整できます。違和感は無いでしょう。
(21接点−1接点)×2dB=40dB
トータルで40dBの音量調整が可能です。音量目盛りの0〜10にも適合します。
これを表にしてみました。
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感覚的に判り易い様に、
実際の目盛りに数値を入れてみると、こうなります。
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うほほほ〜い。
やっぱり目盛りの真ん中は1Wだゾ。(爆)





【マージンを入れ込む】
ここまでの考察は最大値を100Wで考えました。まあ判り易く考えてみた訳です。
今度は50Wのアンプでやってみましょう。更にマージンを考えます。
ATTの1ステップは相変わらず2dBです。計算方法も上記と同じです。
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*アンプがクリップしない範囲の最大出力が50Wで考えます。
 50Wが出る目盛りは8.5。更に3目盛り上げられます。1目盛りが2dBなので、
 この場合のマージンは 2dB×3=6dBですな。
*歌謡曲などは目盛り8.5で50Wの出力が出るでしょう。
 それ以上に上げるとアンプが飽和して音が歪むでしょう。クリップします。
*クラシック等の小音量ソースでは、目盛り10まで上げてやっと50Wが出ます。
 最大音量にしても波形クリップしません。
*50Wアンプとしては実用的なマージンを入れ込んでみたんですが、
 あまり変わらないですな。(爆)





【入力から考える】
以上の話は出力パワーから考えましたが、
今度は逆方向から、入力から考え直してみます。

①先ずはCDやDACの最大出力レベルは2Vrmsです。これを前提とします。
②次に音量ATTの角度から減衰量を推測します。
 音量maxが2Vrmsですな。1/10と1/3になる角度も一緒に考えました。
③それをアンプが増幅する訳ですな。
 アンプの利得ですが、一例として26dBで考えてみました。利得26dB=20倍です。
 つまり音量maxの時は、
 2Vrms * 20倍=40Vrms という計算結果ですな。
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*パワーアンプICなどを見てみますと、利得26dBという物はけっこう多いですな。
*音量VRの目盛り5の角度では2Wとなりました。
 目盛り4まで下げると0.8Wですな。
 やっぱり同じくらいでした。(爆)


オーディオの真実
「いつも聴いている音量は1W」(爆)





【設計方法として考える】
ここまで考えてきた方法を使って最適な設計が可能かも知れません。
①DACの最大出力レベルは2Vrms。
②音量VRのマージンを設定する。例として目盛り8.5でクリップする設定。
③必要なアンプのパワーを決める。例として12.5Wとする。
④最適な利得を設定する。下図の様に10倍(20dB)が最適値となります。
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12.5W程度のアンプになって、やっと目盛り6の角度で1.2Wです。(爆)





【具体例:1W出力のD級アンプで考える】
具体的に、秋月で扱っているTPA2006D1キットで考えてみます。
TPA2006D1キットはだいたい1.1Wくらいでクリップします。
1.1Wを目盛り8.5の位置に設定して大丈夫でしょうか?
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*P= (V^2)/R = (3Vrms^2)/8Ω ≒1.1W
 1.1Wの出力は3Vrmsです。
 CDやDACの出力は2Vrmsで、TPA2006D1キットの利得は3倍ですから、
 3Vrmsの出力は可能ですな。
*2Vrms*利得3倍=6Vrms になりますから、
 P= (V^2)/R = (6Vrms^2)/8Ω =4.5W  実際には4.5Wは出ません。
 目盛りとしてはVR最大で4.5W相当の音量増加イメージとなります。
 小音量のクラシックですと音量の目盛り10まで上げてもクリップしないかも?
       (投稿当日の17時ですが上記3行を判り易い表現に書き換え。)爆)
*当方がこの1Wアンプを使う時は、ボリューム目盛りは8.5の位置ですな。
 活用し切っていると言えます。(爆)
 当たり前で御免なさい。(爆)





【よく考えた方が良かんべ】
ほんとうに100Wが必要なんでしょうか?
10W程度で良ければ、100Wで設計するよりも耐電圧や発熱の条件が緩くなります。
ハイパワーAMPでは使えなかった素子も選定する事が可能になります。
下図は再掲載ですが、
ディスクリートのアナログアンプにも同じ事が言えると思います。
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足るを知る者は富む。(爆)



記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。
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by ca3080 | 2015-08-08 11:37 | オーディオ&電子工作 | Comments(2)
Commented by yosshi at 2016-04-10 22:55 x
TPA6211A1を使った1.3W(8Ω)アンプ完成致しました!2WAYチャンデバなので、4チャンネルw
5V電源なので、高音質部品使い放題でした。
平滑容量もちゃんと計算しました(笑)
そして音質は、、、、、
今まで使ってた40Wのプロ用アンプ、引退決定ですw
音量充分。(スピーカの能率によりますが)そして、信号がピュアになるほど低音は勝手に出ますね。
銅単線のせいだと思っていた、高音のカサつきは、元のアンプの電解コンデンサのせいでしたね。スマン。単線。
よし。職場用にもう一台。
作るぞぉ 作るぞぉ 作るぞぉ
第2サティアンより愛を込めて 


Commented by ca3080 at 2016-04-11 06:36
yosshiさんこんにちは。成功された様で、おめでとうございます!
yosshiさんに喝采!(爆)

ちっちゃい8pinのICでプロ用40Wアンプに勝っちゃうというのが素晴らしい。
イイですな〜面白そうで。(爆)
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