BTL出力⇒トランス⇒ヘッドホン その②

トランスの電力変換ですが、ヘッドホン程度の負荷でも影響大だった訳です。




前回の実験では、インピーダンスを合わせる様に接続すると音質が駄目でした。
はたしてST-41Aだけの癖なのか、他のトランスでも同じ傾向なのか?
今回は別種のトランスを用いて再実験し、トータルで評価してみようと思います。
何かが見えてくるかも知れません。



【ST-60を実験する】
前回はST-41Aで、音質の優れた接続も判明しましたが低音がイマイチでした。
ST-41Aのサイズはヘッドホン用として妥協できる最低限の大きさという事ですな。

今回はもうちょっと低音も何とかできる物という事でST-60を選択しました。
ST-41Aと同様にサンスイトランスのシリーズで、橋本電気さんの現行部品です。

ST-60の巻線仕様は下図となります。
仕様に記されていないインピーダンスは計算して求めます。
例えば 60Ωの0.5巻きなので、自乗しまして 60Ω*(0.5*0.5)=15Ω
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この仕様では主に下記の接続について測定してみまして、評価しようと思います。

① アンプ→8Ωの端子 : ヘッドホン→15Ωの端子  昇圧比1.29倍
② アンプ→15Ωの端子 : ヘッドホン→8Ωの端子  減衰比1.29分の1
③ アンプ→60Ωの端子 : ヘッドホン→8Ωの端子  減衰比2.58分の1

まあ①で60Ω出力も可能ですし、③で4Ω出力も可能ですな。

下図は測定中の写真です。
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測定用には低歪率の必要がありますので、2Wのミニアンプを使用しました。
BTLだろうが普通のアナログアンプだろうが何ら差異はありません。





【接続① アンプ→8Ω:ヘッドホン→15Ω】
周波数特性です。ST-41Aよりも若干良い感じです。無問題。
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歪対レベルです。
比較的音が良かった「ST-41A接続③8Ω出力」の接続に似た感じですな。
特性は良さそうだけど、音質は期待できるのでしょうか?
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歪対周波数です。
これは、比較的音が良かった「ST-41A接続③8Ω出力」の特性よりも良好です。
これは期待大か?
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【イケるか!? 変換アダプター】
う〜ん。特性も良さそうですが駄目っぽいですな。(爆)
ヘッドホンのインピーダンス40Ωに対して15Ωで出力しているんですが、
そういうダンピングファクタ的なドライブ能力の問題でも無さそうです。
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ただし、音質の悪かった「ST-41A接続②50Ω出力」よりも良いとは言えます。
比較的音が良かった「ST-41A接続③8Ω出力」の方が良い音です。
ST-60そのものが駄目なのか?  それとも
昇圧が駄目なのか? アンプ側の8Ωが駄目なのか? この段階では判りません。




【接続② アンプ→15Ω:ヘッドホン→8Ω】
上記の接続①と逆の接続です。
ヘッドホン側ですが、8Ωでも4Ωでも音量以外は特性差がありませんでした。
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周波数特性は平坦なので省略します。

歪対レベルです。
特にこれと言った特徴はありません。
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歪対周波数です。
低音の歪率ですが、接続①よりも少し良くなっています。
2Vrms以外ではあんまり差が無いので音質も差が無いのでしょうか?
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さて、
接続①と②では似た様な感じで大きな特性差は無さそうでしたがどうでしょう?
あれれ?音質は大差があるぞ?

ST-60接続①は8Ω→15Ω。特性それなり。音質は良くない。ボケる。
ST-60接続②は15Ω→8Ω。特性ほぼ同じ。かなり高音質。低音の歪み有り。

どういう事?




【接続③ アンプ→60Ω:ヘッドホン→8Ω】
巻数比から半分以下に音量が下がります。
この接続も同様に8Ω出力の場合と4Ω出力の場合はレベル以外に特性差無し。
e0298562_11281514.png


周波数特性は平坦なので省略します。

歪対レベルです。 まあ特徴無しですな。悪くはないでしょう。
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歪対周波数です。
一連の実験では最も低周波の歪みが小さい結果です。
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どうかな?




【音質優先! 変換アダプター】
来たよ作るならコレです。
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8Ω出力よりも4Ω出力の方が若干クリアな感じがしますので4Ω固定にしました。
降圧ですから音量は小さくなりますが、1Wアンプと40Ωのヘッドホンでは
十分に音量が足りており問題は無さそうです。
中高域は音質劣化もほとんどありません。
低音が少しだけ膨らむ傾向がありますがヘッドホンじゃ判りにくいですな。

実際に作る時にはビニル線の音質劣化がありますので短めに切って、
エナメル線(UEWやPEW)で延長して配線します。




【まとめ】
トランスの接続と音質の関係を表にしてみました。
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*低音の歪は測定結果と音質に関連性がありました。
 それ以外は測定結果を見ても何の関連性も無さそうです。
*トランス8Ω→ヘッドホンの時に良い結果が得られましたが、
 トランス15Ω→ヘッドホンの場合は駄目な結果ですな。
 ヘッドホンを駆動するインピーダンスが最大要因という事じゃありませんな。
*とにかくアンプ側が8Ωというのは駄目っぽいですな。
*アンプ→200Ω[ST-41A]8Ω→ヘッドホン  という実験はしていませんが、
 音が良い可能性はあるでしょう。ただしアンプが1Wでは音量が不足します。





【マッチングは関係無し】
ところで、トランスを使う時にマッチングを重視するのはどうでしょう?
高周波回路じゃないんだからマッチングは関係無いんじゃない?
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アンプの最大出力までを負荷に伝える事を考えるにはマッチングも必要です。
ヘッドホンが負荷なんだから、アンプの最大出力までは使わないでしょう。(爆)

ダンピングファクタが100程度ならば、
アンプの出力インピーダンスは 8Ω÷100くらいですから 0.1Ω程度でしょう。
この場合はマッチングの考えは成り立ちません。
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トランスをインピーダンス変換部品と考えれば良いんじゃない?
するとやはりLO送り、HI受け。
トランスもHIで受けて、LOで出すのがいいのかも?



記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。
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by ca3080 | 2015-07-25 12:24 | オーディオ&電子工作
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