D級アンプTPA2006D1 その①

D級アンプをいじくって実験してみました。
秋月で基板が売られていますが、公称出力は1.45Wしかありません。




インタホン用とか、自動アナウンス機などの用途でしょう。
音質は期待できないでしょう。判らんけど。(爆)


【概要】
品物は秋月の TPA2006使用 超小型D級アンプキット です。
モノラルなので、ステレオで使う場合は2個必要です。
その他、端子類、ACアダプタなどの5V電源があれば動作します。
このまま動かして性能が良いのか、どこかを変更すれば性能アップできるのか?
その辺を遊んでみようと思います。



【回路図と基板の作成】
秋月のTPA2006D1キットに添付されている説明書を見ますと、
ほとんど外付け部品が不要。よって回路図も非常に簡単でした。
ただしD級アンプは電源電圧をスイッチングして出力する内部回路なので、
電源の影響が無いとは言えないでしょう。
まあそこん所は簡単に、デカップリング・コンデンサと電源コイルを付けました。
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*C31,C32は単純に大容量とすればイージーに安定化されるでしょう。
 コンデンサの種類は一般用です。ニッケミSME(今のシリーズではSMG?)等、
 大手メーカーの標準品です。ニチコンVRとか、ルビコンPKなど。
 まあとりあえずは実験ですからテキトーに。
*L31は適度なインダクタンス(30μH程度)と、低い直流抵抗の物が必要です。
 ここは東光の989BS-270M にリード線を後付けして使ってみました。
*TPA2006D1のデータシートを見てみますと
 Optimized PWM Output Stage Eliminates LC Output Filter とあります。
 出力フィルターがいらねぇっつーこったぃね。

そしてTPA2006キットですが、回路図みたいに左右シンメトリーに配置するため、
ピンヘッダはL用R用の向きを変えて装着しました。
丸ピンを使った理由は、高さ&接触抵抗&当方の部品在庫 です。
写真の右側の様に、/SDのランドを半田ショートして常時ON状態としました。
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あとは端子類とユニバーサル基板(ジャンク再生品)で実験基板が完成です。
かなり簡単でしょう。 RCAジャックも超ジャンキーですな。(爆)
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これにTPA2006キットをブッ刺して完了。
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【ダミーロードの話】
その前に、まあスピーカーの代わりとなる実験用の8Ω負荷が必要ですな。
当方が前から使っている実験用8Ω負荷は下図の様な物です。(爆)
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*ダミーロードという名称があったりします。
*15Ωと1Ωを直列にして16Ωです。これを2パラにすれば8Ωです。
 16Ωと8Ωはスイッチで切り替えられる様に作りました。
 ヘッドホンアンプやミニアンプ専用の小電力ダミーロードですな。
*ミノムシクリップやオシロのプローブを挟み易い様に、
 U字に曲げた裸銅線がついています。
*台座にはシェラックニスを塗って木目家具調に仕上げました。(爆)
 ニスも使い場所が無いと納戸に眠ったままですし。
 無意識にネジの上に置いちゃったりしても台座があればショートせず安全です。




【PWM動作波形を見てみる】
さて、ダミーロードを接続して実験です。
波形を見てみるのはいいですが、スピーカー出力はブリッジ出力となっています。
オシロのプローブはGNDを基準にし、+端子と−端子の波形を同時に見てみました。
TPA2006D1への入力は10kHz正弦波で見てみました。
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*1kHz正弦波で確認すると相対的にパルス波形が細かくなり過ぎて見にくいです。
 よって10kHzで見てみました。
*オシロの演算機能を使って、+端子と−端子の差を見てみました。
 この赤い波形がスピーカーに印可される波形となる訳ですな。
*例えばですが、
 +端子だけをもらって100uFくらいのカップリングコンデンサを使えば
 そのまま使えそうですが、そういう訳にはいかない様です。
 クロスオーバー付近ではパルス波形のデューティーが50%ですな。
 その50%デューティーをスピーカーに印可したら効率が悪いでしょう。
 ツイーターが発熱とか。
 赤い波形みたいな状態なら大丈夫ですな。
 クロスオーバー付近では印可パルスが消滅します。なるほどね。
 +端子と−端子のパルス波形に位相差が作られる事で成立する訳ですな。
*そしてパルス周波数は240kHzという事が確認できました。




【パソコンのAudio Interfaceを改造】
次にパソコンへ取り込んで歪率や周波数特性を見てみようと思いますが、
スピーカー出力がブリッジ構成ですからAudio Interfaceもブリッジに対応します。
以前にRIAAフォノEQを作った時は直流電位差を解消する改造をしました。
下図の回路です。
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しかし今回は上記回路みたいな簡易的なバランス回路では駄目でしょう。
スピーカー出力の+端子と−端子は電源電圧をPWMスイッチしているだけですから、
電源変動も重畳してきます。
+端子と−端子を正確に引き算するから電源変動も消える訳です。
よって今回は測定系もほぼ完全なバランス回路に改造します。下図です。
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*R5のボリュームを可変してもバランス能力には影響がありません。
*R3,R4に誤差があっても次段のR6〜R9の回路で吸収されます。

実際の改造状態です。ずいぶん前からこの状態です。(爆)
これは測定専用で、オーディオ用ではありません。
Transit USBという奴から電源と入出力を直出しして箱に組み込んでいます。
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【いざ測定!】
と思ったらアハハハハ。正弦波なんだけどな。
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こりゃ測定どころじゃありません。




【LCフィルタの追加】
上記みたいな波形になる理由を色々実験してみましたら、
出力フィルタを追加すれば解消される事が判りました。フィルタは必要みたいです。

TPA2006D1のデータシートp18の記載を見てみますと、
何々?ノイズが多くてFCCとかCE規格に適合不能な場合はLCフィルタが要る?
フェライトビーズは30MHz以上にしか効かないみたいな?
という事で、33μHのコイルを使った下図のフィルタを追加しないといけません。
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*負荷8Ωを2分割して真ん中をGNDにしているのはシミュレーション上の話。
 まあ簡単にブリッジ出力をシミュレートしてみた訳です。
*フィルタ特性のQ値は負荷抵抗に大きく依存します。グラフにしてみました。
 8Ω負荷に最適化されている定数という事です。
*コイルの直流抵抗R1,R2はあまり影響がありません。適度に小さい物でOK。

そのフィルタを回路図に入れ込みました。
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次に部品の選択ですな。
コイルは直線性が良くないので安直に選べません。飽和すれば歪みますし。
コンデンサもフィルムコンなら問題無いでしょう。セラミックも確認しました。
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*特性が同じなら小さい部品を採用して省スペースとします。
*コイルは結局上図の右下にあるTDKの面実装品。品名は忘れました。
*コンデンサも100V,X7R特性の0.1uF。これはF特性は駄目です。
 50V,Z5U特性の0.47uF。同様にF特性はNGです。474KはOK。474Zは駄目。
*セラコンの特性が不明な場合はフィルムコンにして下さい。

そんな感じで基板をリワークしました。
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まったく苦労しちゃうよ!




【あらためて測定!】
わーい!正弦波が出たー!(爆)
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やっと測定できる状態になりました。
*水色のクリップ波形はパソコン上で画像合成したので同時の観察ではありません。
*ノークリップ最大で約2.73Vrmsですから0.93Wの出力が得られました。
 これはデータシート3ページにあるスペックで1%歪時に1.19Wとあります。
 妥当な測定結果ですな。
 スピーカーを鳴らしてオーディオ用途として使うには音量が足りませんな。


追加したフィルタの前後もオシロで波形を見てみました。
基板のGNDをオシロのプローブのGNDに接続しての確認です。
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何となく効いていますな。
ブリッジ出力をバランスで受ければ奇麗な波形になる訳ですな。


そして、やっとたどりつきました。(爆)
歪率特性です。
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データシートのグラフと比較しても同じ様な値なので、
まあ問題無く動いている様ですな。


次はクロストーク特性ですな。
これはユニバーサル基板にLch/Rch2枚構成で、電源共用ですから漏れがあります。
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まあ妥協の範囲内ですな。
Audio Interfaceの特性も加算しない様に測定方法を良く考える必要があります。


次にD級アンプで気になるPWMノイズ、スイッチングノイズです。
はたして可聴周波数の帯域に影響するんでしょうか?
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う〜ん微妙ですな。
橙色の波形みたいに出力が出ていない時には問題ありませんが、
水色の波形みたいに出力を上げると盛り上がりが生じます。
ノイズっぽい粗い音に感じるのかも知れませんな。




次回②に続きます。


記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。
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by ca3080 | 2015-05-16 11:53 | 電子工作(一般)
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