MCトランスの自作

激安の一般部品で作ります。
市販のMCトランス(普及帯)と比べても遜色無い音質かもね?



【激安トランスの選定】
最も入手し易くて安価なトランスと言えば、サンスイのトランスです。
橋本電気さんが供給している現行部品なので入手が容易です。
サンスイにもMCカートリッジ専用トランスがありますが値段が高いので不使用。
安価な「トランジスター用小型トランス」のシリーズを使おうと思います。

同じ様なMCトランスの自作について検索してみますと記事が見つかります。
ST-12を使われている様ですな。
ST-12の2次側を入力として、1次側から出力を取り出す使い方です。

    1次   2次  巻き数比
ST-12 100kΩ 1kΩ  10.0:1

ちょっと1次側の100kΩというのが気になります。デカ過ぎな感じ。
RCAケーブルとかフォノアンプの入力回路に影響されそうな雰囲気です。
という訳でして、当方は他の種類を考えてみました。
その結論はST-75です。
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    1次   2次  巻き数比
ST-75 10kΩ  600  4.15:1

ちょっと昇圧比が4倍じゃ足りないんじゃない?
そこはアレです。
2次巻きはセンタータップが出ています。センタータップを使えば大丈夫。
巻き数が1/2=0.5、インピーダンスは1/(2*2)だから1/4で150Ωです。
150Ωという値もMCカートリッジにうまく適合しそうな感じですな。

    1次   2次  巻き数比
ST-75 10kΩ  150  4.15:0.5

昇圧比は8.3倍となりました。
スイッチで切り替えれば倍楽しめます。(爆)


【作る前に動作確認】
サンスイのST-75、これと発振器、オシロがあれば動作確認できます。
2次側(白緑)に発振器をつなげて1次側(赤緑)をオシロで見ます。
2次側も1次側も緑をGND側とします。
発振器は20kHzのノコギリ波で、振幅も小さく絞って確認します。
MCカートリッジ出力と同じまで絞らず、良い塩梅にします。(爆)
こうなりました。(爆)
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ビヨンビヨン震動しています。(爆)
これに対して小容量のコンデンサを付けるとかで対策しちゃ駄目ですよ。
音質も悪くなります。

1次側端子(出力側)のインピーダンス10kΩに対して
オシロのインピーダンス1MΩが高すぎな訳です。
1次側(出力側)に10kΩの抵抗負荷を付ければ収まります。
ですが10kΩ時の波形が気に入らないので色々と実験しました。
その結果15kΩと致しました。
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10kΩだと波形が鈍りますし、後段のフォノEQも負荷として繋がりますから
ちょうど良い波形と思います。
昇圧後の振幅が理論値4.15倍に対して3.5倍という所はまあアレです。(爆)
それよりも、20kHzのノコギリ波がこんなに鋭く出てくるんだから
高い周波数まで特性が良いと考えましょう。

センタータップから入力した場合も確認してみます。
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いけそうですな。


【作成】
詳しくは書きませんがハム対策とかも考えまして1次2次のGNDはショートせず
いいあんべーの値で抵抗やコンデンサ等を使って浮かしてあります。
その結果の回路図です。
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*R1,R21は音質に影響します。良い部品を使いましょう。
*C1,C21,R2,R22は音質に影響ありません。安価な一般部品でOK。
*SW1は小信号用の物を使います。電力用の物は音質劣化がひどく不採用です。
*RCAピンジャックが4個ありますが、各々のGND側はすべて独立しています。
このまま作っちゃいます。
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当方の所持していたST-75はジャンクなので足が折れていたりしまして、
ボビンに半田して固定したりしていますがそれ以上の意味はありません。(爆)
ST-75の向きは写真と同じ方向とします。(クロストーク特性が影響します。)
ST-75のリード線はビニル被覆なので音が悪いでしょう。(爆)
いーやんべーに短く切ってエナメル線で延長します。
短く切り過ぎるとST-75が不燃ゴミとなりますから注意。(爆)
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当方は長い真鍮スペーサーで基板を固定しました。シャーシアースも兼用。


【測定】
波形はST-75と15kΩで実験した時と同じです。
周波数特性を確認してみました。
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*発振器の出力レベルを調整するのが難しいので縦軸がこんな値です。
*150Ωポジションだと20Hzで3dB強くらい落ちる様ですな。
 600Ωポジションは20Hzで1dB落ちくらいです。
*MCカートリッジの直流抵抗分によって結果が変わります。

上図は25Ωで実験した場合です。下図は6Ωでも見てみました。
e0298562_1051047.png

*150Ωポジションの特性が改善しまして、20Hzで2dB落ちとなりました。
*昇圧レベルも少々アップしますな。

次に歪率と行きたい所ですが、レベルも小さく測定が難しいのです。
まあトランスそのものの特性ですから、推して知るべし。(爆)


【音を聴いた感想】
シャーとか言う雑音が増えたりは致しません。
MCトランス不使用の時よりハムノイズも対策し易くなるかも知れません。
音質はかなり良いです。音質劣化が非常に少なく悪い所が無さそう?(爆)
あえて書けば、気のせいレベルで金皮抵抗の様な曇りがあるかも知れません。
でも気付かないでしょう。(爆)

確認で使ったカートリッジは内部インピーダンス7Ω、推奨負荷100Ω、
出力電圧0.25mVという仕様の奴です。
定価で15まんえん近い?らしいですが半額以下で入手した覚えがあります。
素が気に入らない音なので改造しまして違う音となっています。
要はですな、
中級MCカートリッジで確認しても音質劣化が確認できないMCトランス。
という事でご了解下さい。(爆)


※気に入らない、つまり当方としては駄目音のMCカートリッジ。
 高価でも駄目な奴がいっぱいあります。買うだけ損です。





【おまけ】
MCヘッドアンプの夢。
こんな簡単な物。
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Q1,Q2はVBE電圧をテスターで選別してペアとします。
Q1,Q2のベースとコレクタはDCで0.6Vになります。
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実際の回路はこんな感じ。
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FB1は面実装のEMIフェライトで音質対策兼、雑音対策。
当方の他の記事でも多数使っています。

波形はこうなりました。ちゃんと反転増幅ですな。
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まあバイポーラの入力にストレート接続なので雑音が非常に少ないかも?
ですが、ハムノイズ対策が難しいです。
入力のGNDが浮いていますから測定も難しいですな。

色々と音を聴いてみて、色々と考えた結果ですが、
MCトランスの方が扱いも簡単でトラブルも少ないでしょう。
音質が優れるのはMCヘッドアンプという事でも無さそうですし。(爆)
MCトランスで良し。

アンプを入れるならフォノEQの出力を20dB増幅した方が扱い易いです。
そんな訳でMCヘッドアンプは廃案となりました。(爆)
ここは当方の備忘録なんで、記録だけは残しておきます。





【注意事項】
実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の回路や検証を断りもせず
商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。
記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。
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by ca3080 | 2014-08-02 12:00 | オーディオ&電子工作 | Comments(2)
Commented at 2017-03-21 22:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ca3080 at 2017-03-22 07:07
非公開コメントの方への回答。

AMラジオ電波のかぶり→C1,C21
静電気ショックによるフォノアンプの保護→C1,C21
静電気の除電→C1,C21,R2,R22
AC100Vからのフリッカー誘導→C1,C21,R2,R22
皆さんのご環境は色々ありますので余裕を持った設定にしております。

ちなみに
当方はカートリッジDL-110をメインに使用しておりますが、
このMCトランスを併用しておりません。
当方宅の環境ではフォノアンプの利得が十分に取れておりますし、
カートリッジの負荷抵抗についてのこだわりがあるのが理由です。
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