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TIA型RIAAフォノEQ その①

当方のオリジナル回路です。
難問がありましたが解決する事が出来ましたので投稿します。



今回の記事は当方オリジナルの回路をどの様に発想したかを書きます。
「何でこんな回路なのか?」という必然性を説明する記事です。
ちょっと講釈ぶって嫌味があるかも? アナログ回路の話オンリーです。(爆)

さて、苦労の甲斐がありまして、当方の手元には完成品があります。
ハイレゾ同等以上の凄い鮮度やリアリティで再生できてますよ!
高価な機器をも上回る激烈超高音質かも知れません。
またまた大げさな。いや〜、イワシの頭も信心から。(爆)

まあフォノアンプだけじゃなくて、カートリッジもプレイヤーも、
要所をいじって改造する必要があるかも知れませんけどね!
徐々に投稿すると思います。たぶん。(爆)



【TIA型RIAAフォノEQを採用する理由】
TIAはトランス・インピーダンス・アンプの略称です。
前々回の記事「RIAAフォノEQをどうすんべ?」で色々と考察しました。
まあ理想素子ならうまくいくけど、実際の素子ではうまく動作しません。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_2054236.png

どうしてこの回路にこだわるのか?
それは初段JFETの電流を、そのままRIAA変換して出力するという、
言わば音の鮮度が劣化しない(かも知れない)回路だからです。(爆)

アナログ回路と言うのは伝言ゲームと一緒じゃないか? と思います。
何人も経由して行くうちに情報が欠落して別の言葉になって行く訳です。
ひそひそ声を聞いて大きい声で言い直してくれるJFETですな。
最初の一人だけで済めば鮮度が高い音なんじゃないの?


【バイアス電圧を安定化】
最初の問題は、バイアス電圧の安定化です。
それには有力な候補案がありました。ナショセミの資料に載っていた回路です。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_1147289.jpg

Vinは下側のJFETですから、下側のJFETが増幅します。ドレイン出力ですな。
*上側のJFETは直流的には定電圧になりソースフォロアとして動作します。
 +Vを10MΩで1/2にした中点電圧が出てくる訳です。
 交流的にはゲート・ソースがコンデンサでショートとなり定電流です。
*負荷は0.1uFと10MΩ//10MΩですな。

これをQ2の部分に採用します。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_219686.png

実際に実験してみますとバイアスポイントは安定化します。
しかし低周波領域の利得がうまく取れません。
問題は追加したR101,C101がRIAA定数に並列となるからでしょう。
それ以外にはR101,C101の時定数が20Hzよりも十分に低い必要があります。
Q2のgmも高くなければ駄目でしょう。

このままRIAA定数をいじってしまったら駄目です。
Q2のバイアス定電流をもっと何とか改良して性能アップできないでしょうか?
まあ色々と複雑な回路も思いつきましたが、下図の回路は画期的でしょう。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_21261171.png

*Q1のソースをVEEとします。Q2の直流バイアス電圧はR1から供給します。
 バイアス電圧はゼロボルトとなりました。出力カップリングC3を削除できます。
*C101はDCカットのカップリングCとしても動作しているのかも知れません。
 しかし、RIAA定数のある側はQ2のゲート側、つまりQ2の入力側なのです。
 出力電圧はVo=⊿I*Zの式です。
 ⊿Iの出てくる前側の部分にあるC101は出力電圧の計算式に含まれません。
 C101の内部に持つ歪みなどは影響が少ないと言う事かも知れません。


【漏れ電流の対策】
次はJFETの漏れ電流、ゲートリーク電流の対策です。
ミラー効果も同時に対策可能と思います。
最初は初段のQ1にカスコードTrのQ5を追加します。常套手段です。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_21392065.png

Q1のドレイン電流はそのままQ5のドレイン電流となり無劣化です!
(Q5をバイポーラTrにするとベース電流分の差が生じます。)
まあ実際の実験でも改善が得られますが、まだまだです。
次にQ2にもカスコードTrのQ6を追加します。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_21433839.png

*Q6はバイアスが深い2SK246BL以外には選択肢がありませんな。
 それでも使えないかも知れません。
 Q2のドレイン/ソース間電圧を1V以上確保するのは難しいでしょう。
*R101を追加すると特性改善します。いい塩梅の定数があるでしょう。(爆)

もうちょっと何とか?
こうするのです。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_21524581.png

*バイポーラのQ7を更に追加します。
 Q6とQ7はダーリントン接続になります。
*Q6のドレイン電流は、Q7のベース電流しか流れません。
 その結果、Q2のドレイン/ソース間電圧が2Vほど稼げます。
Q6の動作点は下図となります。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_21561992.png

*Q6のゲート/ソース間電圧はマイナス2.7Vくらい取れますな。
 これで成立します。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_21572481.png


まあ色々とありましたが、こうなりました。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_20471651.png



【高音質になるのか?】
高音質部品を投入できるのか?
2SK241は鮮度が高く高精細な音を出しますが雑音が非常に大きいのです。
普通ならRIAAフォノEQには使えませんな。
でも音質向上に寄与する重要箇所に使える事が判りました。
TIA型RIAAフォノEQ その①_e0298562_2215073.png

*細部は略しています。
*Q2は2SK170、2SK369、2SK117などの高gmで低電圧動作の物から選択です。
 それ以外のJFETですと低周波のf特カーブが落ちますな。
*C101,C102は最新のタンタルポリマーが使えます。
 なるべく低インピーダンスになる様な定数にしました。
 下手なDCサーボ回路を追加するよりも音が良いかも知れませんよ。
*初段のQ1も簡単ではありません。次回に記載する予定です。

以上の回路で完璧です!と言うのは言い過ぎです。
定電流回路の交流インピーダンスは理論上は無限大です。
  (しまった直流インピって書いちゃってたよ訂正。2014.07.12)爆)
でも、いくら何でも実際の部品で無限大はありません。よって10MΩとか?
ま〜限界に近いレベルにはなった感じです。
あと0.5dB足りないくらいの所まで来ました。

次回の予定ですが、
初段のJFETとf特の微調整ですな。最終回路を公開します。
他にも電源のハムノイズ対策とか色々なネタがありますよ。
測定結果もそのうち掲載すると思います。


【注意事項】
実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の回路や検証を断りもせず
商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。
記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。
by ca3080 | 2014-07-11 23:17 | オーディオ&電子工作
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