絶縁型SW電源の+15V入力対応

オリジナル回路の絶縁型SW電源です。比較的低ノイズでオーディオに適します。
いつもは+5V入力ですが+15V入力にも対応できた、という当方の備忘録ですな。



+5V入力に統一している理由の一つは、
色んな種類のACアダプターを持っていると、間違っちゃうんですな。
普通の人間でも調子が悪いときは必ずあります。酔っぱらっているとか。(爆)
よってACアダプターを5Vしか使わないというのも安全策なのです。

...そんな話では満足できない貴方はお読み下さい。(爆)


手順① 5V入力時の基本動作を頭に入れます。
手順② 15Vを印可した場合の問題点を考えます。
手順③ 問題点に対応させます。
手順④ 対策の効果を確認します。
手順⑤ 完成した物には変更点がありますが、弱点を予想しておきます。


【手順① 基本】
このブログで公開しております回路は基本的に下図の構成です。
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*入力が+5V DC。
*出力電圧はほぼトランスT1の巻き数比になります。
 上図の例では6:18なので入力5Vに対して出力が±15Vとなる計算です。
*動作周波数はR3,R4,C4,C5の時定数です。実力で約120kHz。
 まあ実際には周波数を倍にしてみるとコアに起因する損失が増大する様です。
 別のコア材を採用すれば周波数を上げられるでしょう。
 アミドンFT-50-75の場合は、実験の結果から120kHz動作とします。
*無効電流が流れます。(トランスT1のLは6巻の時に99uHとして計算します。)
 無効電流=入力電圧÷インピーダンス
     =入力電圧÷(2*π*動作周波数*トランスのL)
     =5V÷(2*π*120kHz*99uH)
     ≒5V÷74.6Ω
     ≒67mA
*無効電力です。
 トランスの無効電力=入力電圧*無効電流=5V*67mA=0.335W
 これによってトランスの温度が問題になる事は無いでしょう。
*トランスT1の①④ピンは、OFF期間になると逆起電力が生じます。
 よって、入力=+5VならばQ1,Q2のドレイン端子には倍の10Vが印可。
*同様に、R1,R2によって、Q1,Q2のゲート端子にも10V近い電圧が印可。
 詳しい波形は下図となります。
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 MOSFETのゲート電圧を9.06Vまで上げられる事でON抵抗を小さくできます。
 更にR1,R2の接続経路は正帰還です。(シュミットトリガの様な動作。)
 正帰還によって波形のON/OFFが確実となります。(同時ON防止などに寄与。)

(2014.06.22 実力値で記載しちゃった数値を理論値に修正しました。)


【手順② 問題点の予測】
入力を+15Vにした場合を考えます。
*部品の定格電圧などは適宜変更します。詳細は省略します。
*入力=+15VならばQ1,Q2のドレイン端子には30Vが印可されます。
 VDS耐圧が40V以上のMOSFETを使いましょう。
*同様に、R1,R2によって、Q1,Q2のゲート端子に30Vが印可されるかも?
 これはNGっぽいです。
 普通のMOSFETはVGS定格が±20V未満だったりします。
 IRLU3410PBFのVGS定格は±16Vなので完全にNGでしょう。
*無効電流は単純に3倍です。
 無効電流=入力電圧÷インピーダンス
     =15V÷(2*π*120kHz*99uH)
     ≒200mA   まあ多いかも知れませんが場合によります。
*無効電力が問題です。
 トランスの無効電力=入力電圧*無効電流=15V*200mA=3.0W
 熱々の様です。コア材のキュリー温度を超えMOSFETが爆発燃焼!(爆)

問題点は上記の2点ですな。


【手順③-1 発熱の対策】
*最も簡単な対策は、トランスT1を巨大化して熱分散させます。(爆)
 3.0Wの電力を食っていても問題無い大きさのコアを採用すればOK。
 まあ場合によりけりで。(爆)
*発熱を押さえる、無効電力を押さえるには無効電流を減らすしかありません。
 無効電流に関係するパラメータは周波数とインダクタンスです。
 コア材がアミドンFT-50-75の場合、周波数を上げられません。
 実験すれば判ると思いますが、無理です。(爆)
 つまり、インダクタンスを上げるしか無いのです。
 何とかなりそうな巻き数を実験してみました。

 コア材のアミドンFT-50-75ですが、AL値は2750mH@1000turnsです。
 AL値x巻数x巻数=インダクタンス
 2.75uH*6t*6t=99uH
 2.75uH*12t*12t=396uH

 無効電流=15V÷(2*π*120kHz*396uH)≒50mA
 無効電力=入力電圧*無効電流=15V*50mA=0.75W

 コアのサイズが小さいので0.75Wというのも怪しそうですが、
 まあ何とか触れる温度くらいには収まるでしょう。


【手順③-2 VGS定格の対策】
MOSFETのVGS電圧を+15V未満に押さえる簡単な方法ですな。
まずはダイオードを追加して電源電圧にクリップさせる方法があります。
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VGS定格が±20VのMOSFETなら使えるでしょう。
まあ簡単にツェナーダイオードという手段もあります。
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これなら大丈夫でしょう。

しかし、
当方としましては、R1,R2で無駄な電力を食っているのが気になります。
そこで下図の方法を思いつきました。
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*R1,R2は+15Vに接続し、定数を大きくします。
 R1,R2,C4,C5の積分効果で波形の立ち上がりが鈍ります。
*正帰還効果としてはR5,R6,C6,C7を追加します。
 C6,C7で電圧を落とす事で損失が生じない訳です。
 まあ波形で見てみましょう。


【手順④ 効果を確認】
こんな感じで作りまして実験確認です。
余計な部品とか電解コンの定数が違う等は波形に影響しません。無視して下さい。
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下図はQ1のドレインとゲートです。基本のスイッチング波形ですな。
*ゲート波形の電圧が7.18Vと、適度に押さえ込み出来てますな。
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ついでにQ3のコレクタとベースも掲載します。
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下図は2つのMOSFETがプッシュプル動作をしている確認です。
Q1,Q2が同時ONするとショート同様となり破壊します。
下図の波形では非常にうまい波形をしている事が判るでしょう。
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R1の両端波形を確認してみます。オシロの波形演算機能を使います。
*R1,R2の消費電力は0.077Wと低く抑える事が出来ました。
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R5の両端波形も確認してみます。
*こちらも問題ありません。
e0298562_8514050.png

 今回の定数では、MOSFETのゲート電圧が7V程度しかありません。
 10VくらいにするにはC6,C7の定数を2200pF等に変更し、
 R1,R2,R5,R6を調整する等で可能となるでしょう。
 今回は面倒なのでC4,C5,C6,C7を統一して、同じ1000pFで構成しました。

無効電流の実測値は54mAくらいです。
抵抗の損失等も含まれますので、妥当な値が得られました。

温度は50℃近くなる感じですな。2次側に負荷が無い状態で50℃です。
例えば負荷で2W消費したとして損失を考えますと、
効率が80%くらいでしょうから0.4Wが損失となります。
無効電力0.75Wに加えて0.4W、合計1.15W。厳しそうです。
密閉する場合は要注意です。


【手順⑤ 弱点の予想】
・トランスの巻き数が増えます。巻き数にも限界がありますからね。(爆)
 巻線の長さが何倍にもなると導線の損失が影響し始めるでしょう。
・上記の例でいきますと、2W以上のパワーを扱うには不適合です。
 まあ大きなパワーを扱うには大きなコアを使って巻き数を落とせばOKです。
 コアが大きければ少ない巻き数でもインダクタンスは大きく取れます。
 扱う電力に比べたら、無効電力も問題無い誤差範囲かも知れません。
・+15V入力として最適化した場合、+5V入力では動作状態が怪しくなります。
 低い入力電圧では不安定動作となるでしょう。


まあこんな感じで御座います。
作っちゃった実験基板は...別の工作に利用するしかあんめえ。



【注意事項】
実験や個人的な使用は自由ですな。しかし、当方考案の回路や検証を断りもせず
商品などに採用したり記事に掲載するのは駄目ですよ。パクりはイケません。
記事の内容は鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。
そして当方はめんどくさいので一切サポート致しません。(爆)

以上です。










作詞家のGerry Goffin氏19日に死去。
オールディーズの名曲「ロコモーション
e0298562_1317596.jpg

        2016.04.24画像入替。




















質問頂いた方だけに該当する極めて個人的な見当違いなので削除しました。
基礎的な回路理論すら理解できていないなら無謀な挑戦はやめるべきです。

どうぞ基礎から勉強してください。そしてチェックにつぐチェック!
参考書は是非とも学術的な電子回路理論の書籍を用いてください。
オーディオの情報は思い込みや勘違いにより根本的に間違っている場合が多いです。

そういう訳でして、
当方の情報も鵜呑みにせず、
皆様ご自身が電子回路の理解力を高めて頂き、ご検証とご判断を頂きたく存じます。


皆様から貴重なコメントを頂いておりましたが、
上記の理由により削除させて頂きました。


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by ca3080 | 2014-06-21 09:44 | 電子工作(一般)
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