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DACのアナログ追求⑦コンデンサその1

音質の詰め第1弾。電源のパスコン、デカップリングです。



【適材適所を考える】
高音質コンデンサを、どの場所に投入すべきか? そんな話からスタート。
DACのアナログ追求⑦コンデンサその1_e0298562_21162267.png

*平滑①、平滑②。電源C、D、E。
  ここは低インピーダンスのコンデンサを組み合わせて使います。
  音への影響はほとんど無しでした。特性重視ですな。
  ただし各部の電源ノイズがお互いに回り込まない様に、
  個別に電源を組むとか、チップフェライトを使用して分離します。
  コイルはQが高く特定の周波数でピークを生じるので駄目です。
  その他は反共振が出ない事。とにかくピークがあるのは駄目っぽい。
  AC100Vをトランスで減圧し平滑は?…関知致しません。
*電源A、B。
  ジッタ等に影響が出るらしいですが、耳で聞いても判りません。(爆)
  音が良いコンデンサは不使用でOKと思いますが、特性重視です。
*電源F。
  音を聞いてみると電源の影響が最も大きい箇所です。
  ここに何を使うかで当機の音質が決まってしまうくらいの大影響です。
  要注意です。他の回路と電源共用とか絶対にやめましょう。
*電源G。
  これはヘッドフォンアンプの時と似た傾向があります。
  小容量で安定化する電源回路の方が音が明瞭に聞こえます。
  今回も電解コンデンサ無しで、10uF未満の組み合わせで構成ですな。
  前回の記事でI/Vコンバータの出力電圧は、V=⊿I*R でした。
  パラメーターに電源電圧は出てきませんから影響は少ないんですな。

以上により、音質部品を投入すべき箇所は2カ所、電源F、電源Gです。


【DAC-ICに注目してみる】
DAC-ICのアナログ電源は音の影響が大きい。そこを考えてみます。
PCM1792のデータシートには電源の影響などの項目は無い様です。
しかし他のメーカーのΔΣ型1bit-DAC等でデータシートを見ると、
リジェクションレシオじゃなくて、出力電圧が電源電圧に依存する様です。
0dBの出力電圧=0.6*AVDD  等の記載があります。
そこでAVDDは純粋な5Vじゃなくて、 AVDD=5V+高周波ノイズ+1/f雑音
それを代入するとですな、
0dBの出力電圧=0.6*(5V+高周波ノイズ+1/f雑音)  (爆)
DACの出力=信号×電源ノイズ×(爆)


【PCM1792をいじめてみる】
話だけじゃなくて、本当はどうなんでしょう? そんなに影響するの?
という事で、実際にDAC-ICのアナログ5V電源にリプルを乗せてみます。
簡単な発振回路を作成して、TL431に注入してみましょう。
(DAC-ICの定格オーバーにならない範囲で実験します。)
DACのアナログ追求⑦コンデンサその1_e0298562_21192634.png

ちゃんとした比較という事で、C9Bの220uFを10uFに変更し、
印可用の47kΩを付けたり外したりで測定してみました。
CDプレイヤーからSPDIF経由で、11.025kHz正弦波を再生します。
まずはリプルを加えない時です。
DACのアナログ追求⑦コンデンサその1_e0298562_2120993.png

そしてリプルを印可しました。近傍に測波帯が出ますな。(爆)
AM変調ですか、こりゃ音は同調が外れたラジオみたいに濁るんでしょうか?
(そんなに極端には酷くは無いか? )
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結論。DAC-ICは危険。(爆)


【コンデンサ評価の準備】
さて、面白そうな実験は以上で終了しまして、
敏感なDACアナログ電源に、実際にコンデンサを取り付けて評価してみます。
PCM1792のアナログVcc電源コンデンサですな。C9Bです。
容量は音質的な理由から220uF前後です。
並列の小容量Cは影響が大きいので外しておきます。
Vcom端子のCはなるべく良さそうな、仮の物を付けておきます。
リンクだけですが回路図はこちら→ DAC-IC周り
  未実装→ C4B,C7B,C121,C122,C78,C79,C74,C75,C76,C77
  仮設。良さそうな物を付ける→ C5B,C6B
  評価対象→ C9B

ところでC9Bは5Vが印可されるので6.8V耐圧が必要ですが、
VcomのC5B,C6Bは4V耐圧でも大丈夫かも? 自己責任にてご判断下さい。

評価には当サイトに掲載したヘッドフォンアンプを使います。
同様に改造ヘッドフォンも使用します。CDプレイヤーは安物です。
評価基準はリアル感、広がり奥行きなどの空間表現力を最重要とします。
音に過剰な艶が乗り変な色づけがあると奥行きが狭くなる等で判断出来ます。
分離がよく混濁感が少ない事も必要ですな。


【評価結果】
ランキング形式です。No.1が最高に良い部品。No.17は最悪。
こんな結果となりました。

No.17: ニチコン VR 220uF/50V
  モヤモヤ感カスレ音。粗い。いわゆるケミコンの音です。

No.16: ニチコンFW 47uF/25V
  中域の色艶が付け足されます。奥行きが無くモコモコしています。
  残響音が変に色づけされて横方向に広がるのみ。嘘の創作音ですな。

No.15: 日ケミ ASF 100uF/50V
  やや高音寄りで、ニチコンFWよりはずいぶんと明瞭でクリア感が出ます。
  低音がスカスカかも知れませんな。
  (追記です。外皮の印字インクが白です。白印字は某有名メーカー特注品?
    という訳で、金印字の普通品とは音質が違うかも知れません?)

No.14: ルビコン ZA 220uF/16V
  アタック感が出ますな。ニチコンFWや日ケミASFよりも分離感があります。
  しかし粗々しい。(現行品のZLも同じでしょうか?)

No.13: 三洋 OSコン 220uF/10V 、日ケミ OSコン 100uF/20V
  高域が顕著に伸び、横方向に広がりが出ます。滑らかな音です。
  ですが奥行き方向の表現が無くスピーカーにへばりつく音で駄目ですな。
  日ケミのOSコンも全く同じ音がします。

No.12: ニチコン MUSE ES ノンポーラ緑 220uF/25V
  電解の音っぽく中高域はそれほど伸びませんが、変な音作りが無く素直。
  カスレ感もあり奥行きも狭いです。
  しかしOSコンよりは良く、癖の無い自然な音に感じます。

No.11: ニチコン FPCAP 導電性高分子アルミ 220uF/6.3V
  確かに音の密度が高くカスレの無い音ではありますが、音が曇る印象。
  高域と低域に音の分離が悪い所がある? 少しボケていて力が弱い音ですな。

No.10: ニチコン LFシリーズ 導電性高分子アルミ 470uF/16V
  OSコンの様な滑らかさ緻密さはありますが中域寄りでFPCAPにも似ています。
  奥行きはまだまだ悪い方と判断してますよ。

No.9: エルナー セラファイン 220uF/25V
  ケミコン特有の粒子感や粗さがありますが、定位感と奥行きも少々感じる。
  個々の音が少し分離して聞こえる所もあります。しかし、やはり粗い。
  本当はもう少しランキング順位を下げるべきかも?

No.8: 日ケミ PSシリーズ 導電性高分子アルミ 180uF/16V
  音の密度が高く滑らかでアタック感も結構ある音ですな。でも軽い音。
  奥行きも若干狭く濃さが足りない薄い音という印象です。癖は無いので良し。
  PSAも同じ音でしたね。市場投入し始めのPSはもっと変な音で駄目でしたよ。

No.7: ジェルマックス ブラックゲートPK 100uF/10V
  高域の伸びも足りない様なカマボコ型の表現みたいで粒子感もあります。
  しかし、定位と奥行きがマトモでかなりリアルな音に感じますよ。
  粗さをカバーするだけの魅力とか艶がある良い音と思います。

No.6: ニチコン タンタル F95 フレームレス♪ 220uF/6.3V
  音の密度が高く滑らかで伸びもあり、透明感も感じます。
  それに加えてブラックゲートの様な定位や奥行きが出る部品です。
  しかも音の分離が素晴らしい。若干ですが低音が締まり過ぎかも?

No.5: ジェルマックス ブラックゲートNX 220uF/6.3V
  密度感がほんの少し足りず粒子感が残ります。滑らかさがあとちょっと。
  しかし、それをカバーする程の音の艶。分離感と奥行き。リアルで素晴らしい。

No.4: AVX タンタル (面実装) 220uF/6.3V
  BGより数段上の音の伸び、密度感、奥行き、アタック感。全てが勝っています。
  悪い所をあえて書けば、少し艶が載り過ぎてリアル感を阻害しているかも?

No.3: KEMET タンタル (面実装) 220uF/16V
  BGやAVXタンタルの悪い所が全て改善された良い音。
  落ち着いたシックな飽きない表現で癖が無くパワー感と繊細さの両立。
  去年までは当方の認識で最高峰の220uFでした。今でも良いと思います。

No.2: パナ(三洋) POSCAP 導電性高分子タンタル 150uF/6.3V
  わずかに高域の粗さが残るが、第4位、第3位のタンタルを超える空気感。
  (粗さは3.3〜4.7uFを並列にすればかなり改善される。)
  そして空間の広さ、現実感。

No.1: KEMET KO-CAP 有機ポリマータンタル 220uF/6.3V
  POSCAPみたいな粗さも感じず更に良い。とてもリアルで驚きです。
  超高域まで美しく伸び、鮮烈さもある。そして広大な演奏空間。
  欠点は耐圧が高い物は非常に高額だという事です。入手性も悪い。(爆)
  220uF前後の定数の中で、現時点ではこれが最高です。
  DACのアナログVccとVcomに、迷わず採用決定です。

今回登場したコンデンサの画像です。3.3uFも写ってますが無視して下さい。
DACのアナログ追求⑦コンデンサその1_e0298562_21233072.jpg

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(2014.06.30)追記です。慣れ親しんだ部品でもデータシートの確認は必須です。
ま〜自作基板でタンタルコンが燃えた原因の多くは極逆だったりします。(爆)


下図の物もNo.7くらいには入っていますがランキングに記載していません。
DACのアナログ追求⑦コンデンサその1_e0298562_212498.jpg

どうせデカすぎてケースにはいんねーから不採用だし。


【入手のガイド】
評価結果が良かった部品はDigi-Keyなどで入手が可能です。
月曜日に注文したら金曜日に届いた事もありました。意外と早くてビックリ。
(紹介した所で当方は何の利益もありません。)
*ニチコン製タンタル フレームレス♪ 220uF/6.3V
  F950J227MBAAM1Q2  → Digi-Keyのページ
*AVX製タンタル 220uF/6.3V
  TAJD227K010RNJ  → Digi-Keyのページ
*KEMET製タンタル 220uF/16V
  T491D227K016ZT  → Digi-Keyのページ
*パナソニック製 POSCAP 150uF/6.3V
  6TPC150M  → Digi-Keyのページ
*KEMET製タンタルポリマー KO-CAP 220uF/6.3V
  T520B227M006ATE070  → Digi-Keyのページ

 ※追記です。POSCAPとKO-CAPのリンク先が消滅しましたな。(爆)
   入手不能と思った貴方は短絡思考かも? 絶縁材が必要です。(爆)
   電子回路も思考回路も不具合対策すれば問題ありません。(爆)
   まあその、カテゴリーが変わっただけなんじゃないの?


【内部写真】
お恥ずかしながらの掲載です。(爆)
DACのアナログ追求⑦コンデンサその1_e0298562_21355379.jpg

 

【次回の話】
次は220uFにパラにする小容量のコンデンサです。
I/Vコンバータで使用するコンデンサにも触れます。


【注意事項】
実験は自由ですが、当方の検討結果とか考案の回路を勝手に採用しないで下さい。
記事を鵜呑みにせずご自身で実験評価して下さい。当方は一切サポート致しません。
DAC-ICの電源にリプルを乗せ近傍ノイズが増えても、音は判らんかも?(爆)
結局はコンデンサで音が決まったりする。(爆)


以上です。










2017.12.29追記。
9月から告知致しておりましたが、予定通りコメント蘭を削除させて頂きました。
今までコメント頂きました皆様には感謝申し上げます。ありがとうございました。





by ca3080 | 2013-10-04 21:56 | オーディオ&電子工作
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