人気ブログランキング | 話題のタグを見る

APB-3の改造(過入力保護)

CQ出版社で販売されているAPB-3ですが、使っているうちに故障しちゃいました。
どうやら入出力端子が過入力などに弱い様です。よって修理のついでに改造です。
(以前に公開した記事から当改造記事だけを分離しました。)



【APB-3の話】
けっこう便利に使えて性能も素晴らしい。おじさん工房の人って凄いですな。
でもちょっと問題があります。故障するのも問題ですが、
パソコンのUSB接続経由でコモンモードノイズを持ち込んでしまうのと、
ACアダプターの電源品質が影響する所ですな。
その2つの問題を対策出来れば素晴らしい計測ツールになります。
その辺も含めてご検討した方が良いと思いますよ。
ビンボーな私でも電子工作の世界が一気に広がりましたのでお勧めです。
まあ当方は、USBケーブルをフェライトパッチンコアに数回巻きまして、
ACアダプターの方はシリーズレギュレータ式の5V電源を自作しました。


【スペアナと故障の話】
「スペアナは過入力に弱い」
まあこれは計測器メーカーのスペアナをご活用されている人ならご存知と思います。
壊れると修理代が高いらしいですな。10万円とか?
よって気になる計測の時は数百Ωの抵抗や1000pFくらいのCを入れて計ったり、
20dBアッテネータを使ったりと、けっこう気を使います。
APB-3に関しても同様に扱っているつもりでしたが、故障してしまいました。
何でかな〜? プローブを扱っている最中に何かに触れちゃったんかな〜?
それにしても、ちょっと弱過ぎる感じがします。
サービス用パーツを入手するのも金銭が発生します。皆さんもお気をつけ下さい。


【改造の具体的回路】
まあ簡単には保護ダイオードを付けるだけです。
でもちょっと何かね、入力カップリングの100uFが気になります。
故障するだけのエネルギーを溜め込んでいる雰囲気があります。(爆)
そんな訳で、入力抵抗が50Ωの時は9kHz以上に制限する事と致します。
普通のスペアナもスペック9kHz以上ですから問題無いでしょう。
1MΩの時は低周波数のオーディオ帯域もカバーできてますし。
改造回路は下図となります。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_20183582.png

当方のブログで始めに公表した改造回路と一部違いがあります。
それは図の右側に付加するダイオードですな。3個にしました。
端子間容量とかIV特性とか頑丈だとかで選択ですな。

上記は比較的容易な改造を行える範囲で考えた回路としました。
ですが下図の方が良い様な気もします。でもこれは改造困難ですぞ?
ハイレベルな技を持っていれば可能でしょうが、諦めましょう。
参考に掲載しときます。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_20283081.png



【出力端子もアブナイ! 壊れた時の暫定対策!】
APB-3の入力差動アンプICが壊れると測定不能くらいのダメージですが、
出力DACが故障すると判りにくい壊れ方をする様です。
当方のAPB-3は出力側も逝ってしまいました。(爆)
こんな具合でした。
ネットワークアナライザで、入力と出力を50Ωケーブルで直結し測定。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_1952484.png

正常なら-10dBを示すはずですが、3〜4dBくらい落ちてます。
このDAC ICを交換する事を考えてみましたが...
ちょっとこれは、ICの裏側が... (爆)
無謀なチャレンジはやめましょう。(爆)

これに関してはDAC ICの出力が2個あり、不使用側を使えば何とかなります。
つまり下図の改造です。故障していない貴方は下図の右半分だけで宜しいですよ。
壊れちゃったら左半分を参考にして下さい。下図でも駄目ならICを交換です。
この左半分の暫定対策に関しては若干問題もあります。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_20313115.png

レベルは治るんですが、位相が逆になるんですな。
つまりこんな感じ。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_20372958.png

まあこれに対して、入力の差動アンプICのホット側とコールド側を逆にするとか、
そういう安易な処置は可能です。
基板の方は差動アンプICのゲインを変えられる様になってる箇所がありますな。
あそこをカットして入力をクロスさせれば位相が逆になります。
(これによる影響はオシロモードで位相が逆に見える所。それ以外はOKか?)

こんな事を考えなきゃならんのは暫定対策(故障中)だからです。(爆)


【改造後の特性】
50Ωの場合は上記の通り低周波がカットされます。
それ以外は変化無しと思います。
下図は改造後の特性です。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_2046385.png

APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_20461830.png

位相を180°いじっても相対的には変化ありませんので気にしないで下さい。
180°逆のままでも正規化して使うのであれば関係無い様な気もします。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_20463221.png

APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_20464681.png

皆さんがお持ちのAPB-3特性と比較されて問題無い様でしたらご検討下さい。


これ以上の保護となると、ポリスイッチみたいな素子を入れるしか無いか?


【注意事項】
以上の改造により壊れない訳ではありません。簡単に壊れます。(爆)
何の保証もありませんし、記事の内容も当方の妄想かも知れませんよ?
改造の意図とか理屈とか効果の範囲とかをご理解願います。
当記事を元にする改造は自己責任にてお願い致します。
以上です。


2013.09.27早朝です。
やっと故障したDAC-ICを交換しました。右は差動アンプIC。
半田ごて2刀流で外せました。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_713037.jpg

足の位置合わせとか、2倍率程度の拡大鏡じゃ駄目だんべ?(爆)





2014.10.28おまけの実測値。電源とDAIキット改造 記事より転載。
APB-3の改造(過入力保護)_e0298562_953763.png









by ca3080 | 2013-08-09 21:20 | 電子工作(一般)
<< デカップリングコンデンサの効果を測定 DACのアナログ追求①構想と定... >>