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ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響

音質検討が部品交換で済めば簡単です。しかしそうは問屋が卸さない。
予想に反してDCサーボのOP-AMPも音に影響してますな。



【DCサーボ現状の測定】
DCサーボが直流だけで動作していれば問題無いと思います。
でも実際は積分回路で、中高域はCR時定数によって減衰しています。
減衰つまりゼロじゃなくて、少し残ってる。それを測定したのが下図です。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_15523441.png

100Hzで-83dBというのが耳に聞こえて悪影響しているんでしょうか?
測定方法は下図の回路をご参照下さい。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_1641589.png



【原因の模索と対策回路】
対策として、減衰量をかせぐ様にフィルタを追加します。
①上記回路図のテスト発振器の場所にコンデンサを追加しました。
  それによって100Hzで-83dBという所は-110dBくらいに落ちます。
  でも音は、駄目でしたな。
②IC1出力側にCRのフィルタを追加します。
  同様に100Hzで-83dBという所は-110dBくらいに落ちます。
  これは良い音ですよ?
どういう事でしょう?
既存の原理原則や回路理論とかを使った音質対策は失敗します。
考えて判るんだったら世の中とっくに高音質機器だらけになっている筈です。
当方もメーカー品じゃ気に入らないからこんな所で自作してる訳です。
理論的に合わないとか思わないで、実行して耳で確認するべきですな。
対策回路は下図になりました。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_164334.png

R3とC3を追加してIC1の出力信号を減衰させた訳です。
またR1も1MΩに変更し、入力カップリングも0.1uFに変更しました。
(この辺の定数はポンピング発振に関係します。後記。)

【対策後の測定結果】
同様にIC1出力とヘッドフォン出力を測定してみました。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_15555945.png

狙い通り100Hzあたりも減衰できました。
それよりも、OP-AMPの変な音がしなくなりました。良かった良かった。
OP-AMPを交換しても耳で聞く分には変化が聞き取れなくなりました。

【DCサーボとポンピング発振】
DCサーボ周りを変更したので、ポンピング発振についても確認します。
電源ON直後のDC変動をオシロで確認します。
下図が対策前で、その下が対策後。
波形の左に突如マイナス側へ角の様に出てるのが電源ONの瞬間です。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_15564223.png

ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_15565922.png

C1は1uFじゃ低域が伸び過ぎなんですな。DCサーボに干渉して発振の傾向が
出てきます。ちょっと怪しい気がします。よってC1を0.1uFに変更します。
0.1uFへの変更でも、-3dBポイントは1.6Hzで十分に低いでしょう。
また0.1uFの定数なら音の良い部品は多いので色々と試せますよ。
C3は中程度の音が良い部品を使用します。
R1の1MΩは音に影響する様です。薄膜とか金属皮膜系でしょう。
R3は汎用の無印良品カーボン抵抗で大丈夫でした。

【最新の回路図】
最新の回路図です。上記の変更の他、DCサーボの電源を簡略化しました。
DCサーボの電源を変更しても音質には影響ありません。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_15593227.png

OP-AMPの品種で消費電流が異なります。R103,R104は最適な定数とします。
OP-AMPの電源をヘッドフォンアンプと同じ±6.2Vからもらうのはちょっと、
音が悪化するかもしれませんよ。
わざわざ分離している訳です。

【出力段温度補償の話に追記】
出力段の温度補償ですが、Ic定格の大きいパワーTrは補償が難しいですな。
下記の方法で妥協出来るレベルになりました。ダイオードの足で熱を拾う。
1SS270Aは秋月で入手。代わりに1S1588も使用可能。
D5,D6はショットキーダイオードで品種は不明のガラスモールド型。
適当な物を見つけて使用します。テスター測定でVFが0.18Vでした。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_16016100.jpg

上図のトランジスタは2SB744と2SA1306です。
負荷を掛けたりしてアイドル電流の様子を見て個別に決定します。
まあパワーTrなら同じ様な方法で何とかなると思います。
良くあるTrのC-Eを抵抗分圧しBに印可する補償回路は使いません。(音質)

【これからの予定】
DCサーボの影響は無くなったので、定電圧電源のトランジスタを聞いてみます。
下図の様に準備完了しました。
定電圧回路の不使用で行けるのかも確認します。
ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_1604297.jpg

ヘッドフォンアンプ⑤DCサーボの影響_e0298562_1605850.jpg

いや〜古い部品ですな。(爆)
音質を聞くのにヘッドフォンだと判りにくい所があります。
よって8Ωスピーカーを直接鳴らして音質検討してます。
小さい音ですが検討には十分です。割に発熱が少なくて宜しいですな。
最悪の部品と最高の部品ではけっこう音の差がでますけど、
沢山あると隣同士は僅差なんで大変な集中力を使いますな。ツラい。

【注意事項】
上記を真似して作らないで下さい。当方は一切サポート致しません。

以上です。



追記です。こちらの記事にもDCサーボが登場します。→I/Vコンバータ
ご参考にどうぞ。
by ca3080 | 2013-03-23 16:45 | オーディオ&電子工作
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